韓国の国会は「働き者」? ・・法案通過件数(2020年5月~2024年5月)、日本377件、韓国9063件

前から、韓国社会の「法」に関する認識について何度かエントリーしてきました。「情」という個人の紐帯が法より優先され、またそれがなにかの美徳のようになっていること。「法を守るべき」より、「法を作る側になるべき」と思っていて、G7プラス(G8など)になろうとするのもそのためである、などなどです。法を信用しない人が多いとされていますが、なぜか告訴告発件数は不思議なほど多いという、妙な現象も現れています。今日の中央日報に、また法に関するデータが掲載されたので、紹介したいと思います。ほかでもない、国会でのことで、韓国で21代国会と呼ぶ期間、2020年5月30日から2024年5月30日までの間、国会を通過した法案の数が、9063件にも及ぶとのことでして。同期間、日本は377件で、フランスは243件、米国は709件などでした。

議員の数(国会議員1人あたり)にしてみても、すごいデータが出てきます。なんと、英国の152倍、フランスの76倍、日本の61倍、ドイツの51倍、米国より23倍の実績となります。人口100万人あたりにしてみると、韓国の場合は176.0。ドイツ5.7、フランス3.7、日本3.1、米国2.1、英国2.0になります。記事は、「これらの国の平均より53倍も多い立法を、私たちは経験している」としています。なんでこんなに多いのか。記事は『その分、仕事を頑張ったように見える』としながらも、『実はそうでもない』とします。たとえば「レナに1年に36着のドレスを支給する」という法案があったとします。世界的に高い支持を得て、この法案は話題になりました。すると、なぜか他の議員たちも同じ法案を出します。40着支給案、38着支給案、などなどです。100件の法案が提出されたとします。

 

こんな場合、立法効率性のため、国会の関連委員会が、それらの案を総合して「委員会代案」というのを作ります。バランスを取って120着にきまったとします。すると、多くの場合、国会通過のために審査されるのは、この委員会代案になります。そして、この委員会代案がもし国会を通過すると、国会を通過した法案の数はどうなるのでしょうか。1件ではないのか、と思われますが、そうではありません。101件です。「委員会代案」が作られる前の100件も、国会を通過したことになるからです。すなわち、なにかそれっぽい案件があると、多くの議員から多くの法案が出てくるわけです。そしてその代案が作られ、国会を通過すると、「国会通過法案」の数は急増します。これが、韓国国会がものすごく働いているように見えるからくりです。記事は、そんな議員たちを『立法技術者』としています。チキン屋やコーヒーショップもそうですが、なにか一つヒットすると、あまりにも大勢の人たちがその業種に集中して、結果的には問題となったりします。なんというか、この件も似たような気がします。他にも、告訴告発件数とかのデータも出ているので、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・21代国会を基準に、同じ期間、米国議会は709件の法案を通過させた。ドイツは473件、日本は377件、フランスは243件、英国は139件の法案を法律で成立させた。私たちの国会はどうだろうか。9063件だった。5つの国の立法実績をすべて合わせても1941件だが、なんと4.7倍にもなる。立法実績だけ見れば、韓国国会は世界で最も一生懸命働く立法部だ・・(※先の委員会代案について書いた後に)その「委員会代案」が本会議で可決されると、代案の反映によって廃棄されたもとの法案も「法律反映」実績で記録されるが、この制度を利用し、同名の法案を乱発する『立法技術者』が量産される。全体の「法律反映」から、「代案反映」法案(※委員会代案など)の割合はどれくらいになるのだろうか。21代国会で法律に反映された全体法案9063件のうち、5883件(64.9%)が「代案反映」だった・・

 

・・じゃ、「代案反映」以外だと、私たち国会通過法案数は、他の国と似ているのだろうか。それでもない。普通に原案可決、修正可決された法案だけで見ても、21代国会を基準にすると2959件だこれだけでも、同じ期間の米国、英国、フランス、ドイツ、日本で可決された法案を全て合わせた数(1941件)より多い。昨日も今日も、私たちの国会は法を変えようとする情熱がすごい。22代国会(※現国会)では、スタートしてから100日ぶりにすでに3974件の改正法案を発議した。法に訴える市民の規模も、驚きだ。司法年鑑によると、2022年末基準で裁判所に受け付けられた事件数は616万7000件余りに達する。韓国よりも人口が2.4倍多い日本の337万5000件のほぼ2倍だ。「大検察庁刑事事件動向」によると、2023年の告訴告発事件数は33万1000件余りで、人口比で見ると日本の50倍に達する。議員は法律を一生懸命作り、市民は一生懸命法に訴える。法律家たちも一生懸命働く。2023年の法官一人当たりの本案事件処理件数は日本の2倍、ドイツの4倍と報告されている。誰もが法律で働き、法律を頼りにしているのに、私たちのお互いの対立は減少していないわけだ。国会も司法部も市民も誰もが、法で戦い、法で対抗する格好になっているのだ(中央日報、政治学者パクサンフン氏)・・>>

 

 

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