韓国メディアが紹介する「『不動産価格は下がらない』と信じられている理由」

住宅ローンを組んで、毎月の返済に困っている人が多いという話。普通に借りて普通に返済していくなら何の問題もない話ですが・・そうならそもそもここまで多くの記事がでるはずもなく。前から何度も取り上げましたが、21日の新東亜(東亜日報系列)の記事に、単にデータの話ではなく、「なぜここまでローンを組んで家を買うのか」「不動産価格は下がらないと信じられている理由は何なのか」などの内容があったので、今日、紹介したいと思います。ちなみに、これらは「そう思っている人たちがいた」という取材の結果によるもので、記事を書いた人がそう考えているという意味ではありません。どちらかというと、「本当にこれでいいのか」的な記事です。記事は、題からして「給料の70%を返済に使っても、これでいい」となっています。

かなり長い記事ですが、自分なりにまとめてみると、いわゆる『ヨンクル』が増え続ける理由は、こうなっています。「そうしないと、自分だけ取り残される」、「自分だけ取り残されると、自分だけまずしくなるのと同じ」、「不動産価格は下がるはずがない」などなど。記事が取材した人たちは、この手の記事にしてはものすごく豊かな立場の人たちです。例えば夫婦共働きで年1億2千万ウォンを稼ぐ(税前)38歳のYさんの場合、こうなっています。Yさんが組んだ住宅担保ローン金額は約9億ウォン。ローンの条件は金利4.3%、償還期間20年、元利均等返済方式。夫婦は二人共に事務職労働者で、二人合わせて年俸は1億2000万ウォンくらい。税金とかをのぞいてY夫婦が実際に手にする金額は、月780万ウォン~790万ウォン。毎月返済する償還金は約513万ウォンです。それでも、Yさんはこう話します。ここからは<<~>>で引用してみます。

 

<<・・実際、住宅担保ローンを組んで住宅を購入した人たちは、「住宅価格は無条件で上がるしかない」とし「(※ローンを組む)条件がさらにきびしくなる前に融資を受けてむしろとかったと思う」と口をそろえた。今年5月、ソウル麻浦区にマンションを買ったY(38)さんは、「5年前に結婚してジョンセに住んでいたが、もう家を買わなければ、私の所得が変わらなくても周囲の資産価格が急騰し、私だけが相対的にまずしくなるのではと思い、家を買った」と話した・・・・‌(※Yさんの話)「税金を払うと、私たち夫妻の給料合計は月780万~790万ウォンだ。ここから債務の返済分(※記事によると月513万ウォン)をひくと、300万ウォンにもならなくなる。二人で節約して使っている・・

・・それでもYさんを支えてくれる力は、「住宅価格は、結局は上がるしかない」という信頼だ。彼は「文在寅政権で住宅価格が上がったとき、私の周りの友人たちはいわゆるヨンクルをして家を買って、ほとんど2倍以上の収益を上げた。少しの間価格が下がったりもしたが、結局はまた上がった。当時、私はそこまで金を借りて家を買うのはやめたほうがいいと言っていたが、私だけがバカを見た。お金を借りるのをおそれてはならないと誓うようになった」。

 

4月京畿道アニャン市に住宅を購入したKさんも「生活がギリギリになっても、結局、耐えれば家の価格は上がるようになっている」と話した。K氏の住宅担保ローン金額は6億ウォン。融資条件は金利4.5%、償還期間30年に元利均等返済方式を選んだ。1年に約3700万ウォン、月310万ウォンを返済する。夫婦の年収合計は約1億ウォン。月600万ウォン中盤の収入を上げる・・・・K氏が家を買った根拠は、韓国の自家保有率だ。昨年12月の国土交通部の発表によると、2022年基準の自家保有率は全国基準で61.3%だ(※日本の場合は約60%)。首都圏基準では55.8%だ。

K氏は「半分以上の人が家を持っているのに、住宅価格を下げるはずがないだろう」としながら、こう語った。「住宅価格が高すぎると言う人も多いし、政府も住宅価格を安定させると言うけど、だからといって住宅価格が大きく下がることはないと思う。住宅価格が下がると、家を持っていない人はいいかもしれないけど、家を持っている人はそうではない。家を持っている人がもっと多いから、政府も支持率を意識して、家の価格をさらに下げようとはしないだろう」。

 

もっと借りられなくて残念だという声もある。 5月ソウルに住宅を購入したキム某(35)氏は「年俸が多くなくて、ローンもあまり組むことができなかった。もっとローンが受けられるなら、より良い地域、より良い立地の住宅を購入しただろうに」とし「もっと借りられるのも力だ。結局、もっと借りてもっと良い家を買った人たちが、もっと金を稼ぐことになるだろう」。キム氏の年俸は約5000万ウォンで、住宅担保ローン金額は3億ウォンだ。金利4.5%、償還期間30年に元利均等返済。月給は約300万ウォン台前半、月償還額は155万ウォン程度だ(新東亜)・・>>

記事は見出しなどで、「債務が債務を生む形になった」「(家計債務など)対策のゴールデンタイムを逃してしまった」「怖いと思っては負けだという考え」などを指摘しています。「政府」というのをなんだと思っているのかは分かりませんが、ある意味、「結局は政府がなんとかしてくれる」という考えがあるのでしょう。なんでもかんでも王の問題だとしていた時代と、あまり変わっていない気もします。さて、本当に下がらないのでしょうか。それとも、「そんなはずはない」と思っているだけでしょうか。

 

 

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