韓国、「個人事業者」約860万人の月所得(総合所得税基準)が11万円にならず・・全体の約75%

韓国自営業関連ニュースは、本ブログで取り上げただけでもかなりの数になりますが・・自営業より範囲が広い「個人事業者」関連でまた新しいデータが出て、複数のメディアが大きく報じています。個人事業者4人の3人、約860万人の月所得が100万ウォン(約10万8千円)にならない、というデータです。そのうち94万人は所得がゼロでした。公式に発表されたものではなく、与党「国民の力」党の国会議員が国税庁の資料を分析してのものです。すなわち実際の収入ではなく「総合所得税(韓国の個人所得税で、人件費など経費はすべて引いた分)申告」の数値によるものではありますが、内容がなかなかのインパクトです。韓国は全就業者の約20%が自営業者で、他の国よりずっと高い割合となります。

国会企画財政委員会所属パクソンフン与党議員が国税庁から受け取った資料によると、2022年基準、個人事業者総合所得税申告分1146万4368件のうち、860万9018件(75.1%)が月所得100万ウォン(年1200万ウォン)未満だった・・とのことでして。所得が全くないという「所得0ウォン」申告分も94万4250件(8.2%)。個人事業者といっても、自営業者が多いこともあって、聯合ニュースなど一部のメディアは題を「自営業者」としています。確かにかなりのインパクトですが・・ただ、このデータにはいくつか考慮すべきポイントがあります。先も書きましたが、申告分なので実際の所得とは異なる可能性。集計期間が新型コロナ期間だったこと(2022年分)、などなどです。また、朝鮮日報(記事1記事2)によると、「個人事業者」には一般的に自営業者にはカウントしない人たち、例えば代理運転や配達バイク営業などもすべて含まれています。

 

記事によると、そういう人たちの場合、個人事業者にはカウントしますが、自営業にはカウントしません。こういう点を考える必要があるでしょう。とはいえ、先から書いていますがなかなかのインパクトです。大手からネットメディアまで幅広く取り上げており、ネットにも「やはりそうか」な意見が目立っています。そういえば、最近韓国側は平均賃金などを強調(?)していますが・・当たり前ですが、個人事業者の多くは、賃金データにはカウントされません(人によるかもしれませんが。また、聯合ニュースによると、年所得1200万ウォン未満の申告分は2019年610万8751件、2020年661万2915件、2021年794万7028件と確実に増えており、「所得0ウォン」の申告も2019年64万9016件、2020年78万363件、2021年83万1301件と増加しつつある、とのことです。記事に明記されていないので個人的な見解ですが、もちろん不況もそうですが、債務の返済額が増えたのもまた大きな理由ではないだろうか・・と思われます。新型コロナのときには、いくつか支援があったはずですが。以下、各メディアから<<~>>で引用してみます。

 

<<・・個人事業者4人のうち3人の1カ月所得(総合所得税申告分)が100万ウォンにも及ばないことが分かった。課税申告分と実際の所得が異なるという現実を考慮しても、自営業者の多くが事実上の貧困層である構造的問題点を示している。22日国会企画財政委員会所属・・・・2022年個人事業者総合所得税申告分1146万4368件のうち860万9018件(75.1%)が月所得100万ウォン(年1200万ウォン)未満だった。このうち所得が全くないという「所得0ウォン」申告分も94万4250件(8.2%)で、100万件に迫る規模だ・・・・低所得自営業者は毎年急速に増えつつある。自営業者の相当数が、賃金労働者だったが「押し出され」創業を選ぶ、「生計型」であるうえ、大型プラットフォーム企業まで手数料・配達料などで圧迫する構造的問題が反映されたものだと解釈される(聯合ニュース)・・>>

 

<<・・経済の内需不振が続く状況で、2次ベビーブーマー(1965~1974年生まれ)世代の引退が本格化すれば、自営業のピンチは一層加速するとみられる。全就業者のうち、自営業比率は2000年27.8%から今年6月19.7%まで下がったものの、米国(2022年6.6%)、日本(9.6%)、カナダ(7.2%)、ドイツ(8.7%)などに比べると依然として高い。自営業者比率が高いのは、企業のリストラなどで40~50代が早期に職場を離れたり、705万人に達する1次ベビーブーマー(1955~1963年生まれ)が、引退して他の雇用を求めることができず、生計型の創業に乗り出したためだ。現在、自営業者の人口構成を覗いてみると、60代以上の高齢層比率(37.3%)が最も多く、次に50代(27.4%)の順だ。2000年だけでも30~40代が全体の自営業者の半分以上を占めたが、今は自営業者3人のうち2人で50代以上だ。

限られた内需市場で、ちゃんと準備せずに創業に飛び込んで競争を繰り広げるため、利益率は低く、債務に耐え、結局は廃業に追い込まれる仕組みだ。今年から全人口の18.6%に該当する2次ベビーブーマー(1964~1974年生まれ)964万人が順次引退年齢に進入する。それに比例して高齢の低所得自営業者や個人事業者がさらに増えるものと見られる。政府は、下半期の経済政策の方向で「小商工人・自営業者総合対策」を出した。ほとんどが配達料・賃貸料・電気料支援など、その場しのぎのための現金性支援だ。職業訓練や創業教育を拡大するなど、カスタマイズされた政策が必要だといえる(朝鮮日報その2)・・>>

 

 

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