日本製鉄、中国企業との合併解除に続き、韓国ポスコの全株式売却

私の世代だと浦項製鉄という名で有名な、韓国鉄鋼最大手ポスコ。日本製鉄が、保有しているポスコの全株式を売却すると発表しました(時事通信の記事その1その2)。今の韓国で日本製鉄に良いイメージを持っている人はほとんどいないでしょうけど、時代によっては両国協力の象徴のような存在だった、日本製鉄とポスコ。これからも協力は続けるとのことですが、ソウル経済など一部のメディアは「いずれポスコも日本製鉄の株式を売ることになるだろうし、協力関係は弱くなっていくしかないのでは」という記事を出しています。ただ、ソース記事もそうですが、ほとんどのメディアは「USスチール買収のための資金作り」ということを強調しています。

そういう側面もあるかもしれませんが、このタイミングで資金作りのためにそこまでするともちょっと思えません。『単に』USにスチール買収のための資金作りというよりは、事業や資金の再編において、優先順位が反映されたのではないでしょうか。7月、日本製鉄は中国鉄鋼最大手「宝山」グループ参加企業との合併事業を解除すると発表しました。そして今回、海外事業では米国とインドに主力するという方針も発表しています。個人的に、日本製鉄としては、他のリスクも考えて、良い決定をしたのではないかと思っています。以下、まず時事通信の記事、そしてソウル経済の記事を<<~>>で引用してみます。

 

<<・・日本製鉄は24日、保有する韓国ポスコホールディングスの全株式を売却すると発表した。これまで進めてきた政策保有株売却の一環で、資本効率を向上させるのが狙い。売却時期は市場動向などを見極めた上で判断する。売却額は約1150億円程度になる見通し。株式売却後も技術交流などの提携関係は維持する。両社は2000年以降、戦略的提携契約を締結し、株式の相互追加取得や技術交流を進めてきた。一方で日鉄は、06年に5.04%保有していた株式を、16年には3.42%まで減らしていた。同社は今回の売却による25年3月期業績への影響を未確定としている(時事通信記事1)・・>>

<<・・日本製鉄は、四半世紀にわたる韓国ポスコホールディングスとの資本関係を解消する。ポスコは1973年6月に韓国南東部で浦項製鉄所を稼働。「漢江の奇跡」と呼ばれる高度経済成長を鋼材の供給で支えた。日本製鉄は前身企業が同製鉄所の立ち上げを支援、その後は株式の相互保有にも発展させ、日韓経済協力の象徴とされてきた。脱炭素などで協力は続けるが、大きな節目となる(時事通信記事2)・・>>

 

<<・・日本製鉄が自社が保有するポスコホールディングス株式を全量売却する。これに2000年から続いた両社間の協力関係が弱まる可能性があるという分析が出ている。日本製鉄は資金の準備を通じて今後米国のUSスチール買収に備える見通しだ。24日、日本製鉄は「戦略的提携契約などで取得・保有してきたポスコホールディングス株式289万4712株を資本効率向上のために売却することにした」と明らかにした。売却時期は市場動向などを見守った後に判断するという説明だ。売却金額はこの日の終値基準で1兆1160億ウォン。日本製鉄は保有持分全量を売却するまでポスコホールディングス持分約3.4%を保有していた。日本製鉄はポスコホールディングス株式を売却しても今後両社が成果を出すことができるようにポスコと協力関係を続けていくと強調した。

 

日本製鉄とポスコホールディングスは2000年8月に戦略的提携契約を結んだ。 2006年10月には株式の相互追加取得に関する契約を結び、提携関係をより一層深くした。これにポスコホールディングスも日本製鉄の持分1.7%を保有している。ポスコホールディングスは「持分保有の有無にかかわらず、当社と日本製鉄の戦略的提携関係は維持されるだろう」とし「株式売却関連両社間の事前協議があり、売却することも知っていた」と話した。ポスコホールディングスは引き続き「自社が保有する日本製鉄の持分を保有し続けるか、あるいは売却するかは具体的に決定していない」と付け加えた。

ただし、業界では、ポスコも今後持分売却に乗り出すなど、両社間の協力関係が弱くなるしかないと見ている。最近、鉄鋼輸出関連の条件がきびしくなり、協力に対する重要性が減ったためだ。これに鉄鋼業界の不振や環境関連の条件強化などで両社が持分の処分を通じた「流動性確保」に乗り出す可能性もあるという分析も出ている。実際の株式売却に関連して日経新聞は「日本製鉄が米国とインド市場を海外戦略中心に置き、経営資源を集中していく」と説明した(ソウル経済)・・>>

 

 

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