韓国、「JPXプライム150指数」をベンチマークした「コリアバリューアップ指数」発表・・株価は大して動かず

何度か取り上げたことがありますが、韓国政府が「日本をベンチマーク」としながら進めてきた企業バリューアップ政策がやっとスタートし、日本の「JPXプライム150指数」と似た趣旨の「コリア・バリュー・アップ指数」を発表しました。サムスン電子や現代自動車など、コスピ・コスダックの100種目となります。PBR(株価純資産倍率)やROE(自己資本利益率)などが優秀な種目(企業)ということです。いわば、政府が「これらの種目は買ってもいいですよ」という安心感を与えようとしているわけです。ただ、日本とは異なり、この中で自らバリューアップ計画を公示した企業は13社だけで、参加率は高くありません。

8月25日ファイナンシャルニュースなどが「計画公示したのは18社で、上場社の0.3%のみ」としていましたが、その18社にも今回の100社発表に入れなかったところがあったのか、13社になっています。記事によると、日本の場合、バリューアップ(日本ではこういう表現はあまり聞いたことがありませんが、いわばPBRや企業ガバナンス構造改善など、企業の各種改善プロジェクト)4ヶ月で上場社の10%が公示し、今年3月基準ですでに上場社の約半分が自発的にバリューアップ計画を公示しています。ただ、ソウル新聞韓国日報などの記事によると、株価は大して動かず、むしろ下がったとのことです。また、日本の基準を適用すると、サムスン電子、SKハイニックス、現代自動車などはすべて『バリューアップ指数(日本で言うJPXプライム150指数)には入れない』とのことで、基準がゆるすぎないか、と。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・韓国株式市場の再評価のための野心作「コリアバリューアップ指数」が発表されたが、市場の反応はパッとしない。バリューアップ指数に含まれた種目は差益実現の壁にぶつかり、編入されなかった種目は売りが続出した。バリューアップ指数発表から初日の成績が期待どおりに行かず、指数に編入された100社の選定基準に対する疑問と不満まも相次いでいる。25日、KOSPIは前取引日比1.34%下落した2596.32で取引を終えた。4日に3%台急落し、20余日ぶりに回復した2600ラインをたった3日ぶりに返却した。コスダックも1.05%下げた759.3だった。バリューアップ指数に含まれている100種目のうち35種目の株価はむしろ下がり、7種目の株価は足踏み、27種目だけが前取引日より2%以上株価が上昇した。前日、韓国取引所がバリューアップ指数を公開し、国内証券市場を牽引していくという意志を明らかにしたが、いまのところ成果につながることはできなかった(ソウル新聞)・・>>

 

<<・・韓国取引所が24日に発表した「コリアバリューアップ指数」に編入した100社のうち41社は、韓国政府がベンチマークするといった日本のバリューアップ指数編入基準に満たないことが分かった。日本に比べて緩やかな基準を適用したことで、企業価値の向上とは距離のある企業まで大挙含まれ、市場と個人投資家は疑問が隠せない。25日、本報(※韓国日報)が東京取引所の「JPXプライム150」基準を適用してコリアバリューアップ指数編入企業を分析した結果、昨年末基準、サムスン電子(4.15%)、SKハイニックス(2023年赤字で算出不可)、セルトリオン(5.07%)、シーゼン(0.06%)、高麗亜鉛(5.72%)など25社は自己資本利益率(ROE)基準を通過できなかった。現代自動車(0.58倍)、起亜(0.85倍)、新韓持株(0.38倍)、斗山ボブキャット(0.85倍)など24社は、株価純資産比率(PBR)が1倍未満の企業で、JPXプライム150基準を満たすことができなかった。ファンオーシャン、メガスタディ教育、未来アセット証券、現代海上など8社は、両方の条件に及ばなかった・・

 

・・東京取引所のJPXプライム150指数は、日本上場企業のうち基準時点(2023年5月26日)と最近2年平均のROEとPBRがそれぞれ8%以上、1倍以上の企業を75社ずつ選定した。収益性が良く、株価が帳簿価値を上回る優良企業を選んだという話だ。これに対し韓国取引所はPBRが1倍未満でもそれぞれの産業において上位50%以内に入るとバリュー業指数に含めた。ROEも最近2年平均が産業別上位100位になると条件をクリアーできるようにした・・・・(※指数に入っている)斗山グループは、斗山ボブキャットと斗山ロボティクスの合併を推進しながら、斗山ボブキャットの株主に不利な合併比率を提示し、投資家と当局の批判を受けて合併計画を撤回したことがある。

ある個人投資家は「バリューアップの逆を行くことで有名な斗山ボブキャットがバリューアップ指数企業として選ばれた」とし「バリューアップ指数を見て投資して、再び問題になれば、取引所が責任を取ってくれるのか」と話した。 3年も配当金を凍結したサムスン電子も、バリューアップに含まれる根拠が足りないという指摘も出ている。あいまいな基準のコリアバリューアップ指数に、市場の期待感も大きくない。一方、東京取引所はPBRとROEという客観的な指標でJPXプライム150を構成し、トヨタ自動車、三菱商事、ソフトバンクグループなど日本代表企業がすべて指数構成種目に入れなかった。結局、該当企業は自社株式買取など積極的な株主還元策を出し、PBR、ROEの数値を引き上げた(韓国日報)・・>>

 

 

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