サムスン電子の米ファウンドリー工場、大規模契約発表無しに完工延期 / 石破政権は「日本半導体復活」政策を受け継ぐのか

この前、本ブログでも17日紹介したサムスンの米国ファウンドリー半導体工場。前回は、スタッフの半分以上が帰国したというニュースでした。サムスン電子側は「そういうわけではない」としていますが、複数のメディアが「事実上の撤収ではないのか」と報じています。たとえばマネートゥデイ(11日)は匿名のサムスン電子関係者の話として、「(韓国からテイラーに派遣された職員たちが)実質、装備のセットアップもせずに2年以上もシミュレーションだけ回していた。韓国に戻るのが当然だ」、「テイラー工場は既に建てており、(工場運用の代価として)米国政府から半導体補助金も受け取ることにしたので、工場をやらないわけにもいかない状況だ。ファウンドリ受注がないので、韓国の工場だけでも物量は余る」と報じていました。

それは、ロイターなどがサムスン電子が世界的に大幅なリストラを準備していて、部門によってはスタッフの3割を減らすと報じたとほぼ同じタイミングでした(11日)。また、それからしばらくして、27日、朝鮮日報が、国内のファウンドリー工場もラインを相次いで縮小、設備投資も大幅に減らすという記事を載せました。少なくとも今の時点では(まだ『結果的には』とは書けませんが)、三つの記事が全部繋がっているのではないか、と思われます。先のマネートゥデイが伝えた内容も、信憑性が高いと言えるでしょう。そして、ほぼ同じタイミングで、地上波放送SBS(26日)も、「テイラー工場、完成を延期し、いまのところ顧客ができたという知らせがまったくない」と報じました。

 

いろいろ、サムスン電子、特にファウンドリー関連の記事が目立っています。しばらくの間、「『超』技術力があるから問題ない」という話が主流だったのに(最近もありますが)、なんか、最近は雰囲気がまるっきり変わりました。ただの注意喚起か、それとも何かの変化を感じつつあるのか、そこまでは分かりませんが。また、アジア経済が、石破茂政権が、安倍政権から続いた半導体強化計画を受け継ぐのかどうかという記事を載せたので、合わせて紹介したいと思います。いまのところ、石破政権は岸田政権の経済政策を受け継ぐとしています。本ブログとしてもっとも気になるのは、なんだかんだでやはり韓国関連ですが、その次は経済、特に『経済安保』関連で、さらなる推進力を発揮してほしいところです。石破さんは安保を結構強調していましたが、『経済安保とは、経済と安保を同時に言っているだけではない』という点、もっとハッキリできれば、と。以下、<<~>>が引用部分です。

 

<<・・サムスン電子ファウンドリ、委託生産部門の構造調整の噂が溢れています。サムスン電子が2030年委託生産1位を目標にして米国テキサス州テイラー工場を建設していますが、この工場の完工が近づいてきても、何か大規模の仕事が得られたという発表がまだありません。完工時点を2026年に延期しましたが、何か問題があるのではないかという話が相次いでいます。おもわしくない海外からのニュースも出ています。全世界のサムスン電子子会社、営業、マーケティング職員、行政職員を最大30%まで減らすということです(SBS)・・>>

<<・・サムスン電子が平沢キャンパスのファウンドリ(委託生産)生産ラインの一部先端工程設備を、まったくOFFにしてしまう「シャットダウン」を行ったと把握された。TSMCに追いつくために製造施設を先に建てた後、注文を受ける「セルファースト」戦略(※Sell first, buy laterのことで、注文もないのに工場から建てたという意味をこう表現したと思われます)が過剰投資につながったという指摘が提起されている。建設を推進中だった平沢キャンパスP4、P5工場に予定されていたファウンドリの発注も保留または取り消されたという。27日、半導体業界によると、サムスン電子は平沢キャンパスP2、P3工場のファウンドリラインの4nm(ナノメートル・10億分の1m)と5nm、7nmの生産ラインの設備を30%水準シャットダウンしていると把握された。新規ラインで建設を推進していたP4、P5工場などの装備搬入も延期され、事実上追加設備投資も止まっている(朝鮮日報)・・>>

 

<<・・(※民間投資がなかなか進まないこと、ラピダス支援関連法案を今年中に国会に提出できなかったことなどで)総裁選挙に続き、早期衆議院選挙解散の可能性が議論されるだけあって、手続きを進めるのが容易ではないという現実的な問題だ。齋藤健経産相は予定通り2027年に本格量産を開始できるように来年初めに定期国会に法案を提出することにした。このような雰囲気により、日本の半導体復活動力が下がるのではないかという観測も出ている。日本は2021年5月当時、甘利明元自民党幹事長が安倍晋三元首相、麻生太郎副総裁などと、自民党内の半導体戦略推進議員連盟を発足しながら半導体産業支援策を設け始めた。政治圏を中心に経済安全保障のために半導体復活が国家戦略の一環になる必要があると見たのだ・・

・・2021年10月に執権した岸田首相は、1980年代に世界半導体産業を導いた日本の栄光を再び築くという意地を強くし、支援策を用意した。特に2022年11月、自国企業が出資して作ったラピダスに大規模な支援を約束した。7月にはラピダス工場建設現場を訪問し、必要法案を早期に国会に提出すると明らかにした。民間と協力して数年間、計画的に大規模投資、研究開発も支援すると強調した。同時に、世界最大のファウンドリ(半導体委託生産)である台湾TSMCを誘致し、第2工場まで支援金を出すことにした。また、半導体サプライチェーンを一国に構築することは容易ではないという判断の下、米国などとの協力を強化した。昨年には主要7カ国(G7)首脳会議に合わせてサムスン電子、TSMC、インテル、マイクロンなどグローバル半導体企業最高経営者に直接会って日本投資を要請した・・・・鈴木一人東京大学公共政策大学院教授は、日本経済新聞に「現政権の求心力が弱まり、ラピダス支援に対する懐疑的な見方が大きくなった」とし「次期政権が半導体を支援すると約束を見せることが、結局ラフィダスの成功に重要だ」と評価した(アジア経済)・・>>

 

 

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