いわゆる素部装(ソブジャン)関連だと圧倒的に日本関連記事が多いですが、今日はめずらしく「原資材」で、中国関連です。韓国半導体の、中国からの原資材輸入、中国内生産(NANDフラッシュ工場)がますます増えています。グローバルサプライチェーン再編の中、異例との評価が出ています。ちなみに、関連した内容として、日本と韓国の貿易収支関連は8月22日のエントリーにまとめてありますので、未読の方は参考にしてください。中国から原資材など、たとえばレアメタルなどを輸入しているのは韓国だけでもないでしょうけど、どうやら半導体メインでどんどん中国からの輸入の割合が増えていて、特にサムスン電子の場合、中国内の工場での生産もどんどん増えている、とのことでして(SKハイニックスは若干減少しています)。
たとえば、(シリコンウェハーの)シリコンの中国からの輸入は2022年68.8%から2023年75.4%へ上昇。研磨材用のレアアースは61.7%(2.1%ポイント上昇)、半導体の金属配線に使われるタングステンは68.6%(プラス0.4%p)、次世代化合物半導体に使われるゲルマニウムは74.3%で17.4%ポイント、ガリウムとインジウムは46.7%でそれぞれ20.5%ポイントも上昇しました。中央日報、ソウル新聞、SBSなどが報じています。研究所側は、「半導体のすべての原材料において、輸入を1国だけに頼っていて、最大の輸入国はそれらすべてにおいて中国だった」とし「ガリウム・ゲルマニウムとレアメタルはそれぞれ昨年8月と12月に中国が輸出関連措置を施行したにもかかわらず、中国からの輸入の割合はむしろ上昇した」と説明しています。他、中国内の工場のことなど、<<~>>で引用してみます。
<<・・半導体の主要原材料の中国への「輸入依存」比率が前年(※2022年)よりも高くなったという調査結果が出た。韓国輸出入銀行の海外経済研究所が24日にまとめた報告書によると、昨年、半導体の主要原材料の最大輸入国(中国)の割合が2022年より上昇した。具体的には、半導体生産過程で微細な回路が刻まれたシリコンウェハーを作る「シリコン」の中国への輸入は2022年68.8%から昨年75.4%に上がった。半導体の主要投入物の主材料の4分の3を中国から輸入しているわけだ。同期間、半導体研磨材に使われるレアアースは・・(※先のデータと重複しますので省略します)・・これは米国半導体法のガードレール条項などによる世界先端産業サプライチェーンの再編の過程で異例の状況と指摘されている・・研究所は報告書で、今後のサプライチェーン政策の方向について「効率的な政策設計と成果モニタリングに向けた情報システムが必要だ」と提案し、「産業政策が国益になるように主要国の方向性と国内経済・産業の長所を考慮した設計が必要だ」と強調した(中央日報)・・>>
<<・・サムスン電子のNANDフラッシュ中国西安工場の生産割合は2021年29%、2022年36%、2023年37%と着実に上がり、今年40%を記録する見込みです。同期間、SKハイニックスのDRAM中国無錫工場生産比重は49%、47%、42%などに下がったが、今年も40%線を上回ることが予想されます。半導体分野の中国海外直接投資(FDI)の割合は2022年80.8%から昨年0.8%に下がりましたが、中国での追加的な事業拡張や設備投資が制限されているだけで、既存の工場稼働は維持したからだと研究所は分析しました(SBS)・・>>
<<・・米国の対中輸出関連措置などにより、グローバル・サプライチェーンが再編される中であるにもかかわらず、韓国半導体の核心原材料の中国輸入割合は増加したと分析された。原材料供給ネットワークの偏りが緩和されるどころか、深化しているのだ。昨年、レアメタルや尿素水など中国の核心資源輸出関連措置で大騒ぎがあっただけに、今でもただ中国の出方を懸念するしかない状況だ。韓国輸出入銀行の海外経済研究所によると、昨年の韓国半導体6大核原材料(シリコン、レアメタル、タングステン、ゲルマニウム、蛍石、ガリウム・インジウム)のうち、5つの原材料の中国からの輸入が上昇した。
政府も問題の深刻さを知っている。昨年、レアメタル・尿素水関連で騒ぎがあっただけに、サプライチェーン安定のための「供給網基本法」を制定し、これをもとに2030年までに半導体・レアメタル・尿素など核心品目の中国からの輸入を50%以下まで下げるという目標まで立てた。しかし中国の資源採掘環境・インフラが良く、採算性があまりにも高いうえ、原材料単価が低いため、政府政策が力を発揮できないでいる(ソウル新聞)・・>>
本ブログでも当時結構取り上げましたが、尿素(産業用・車両用)も、いまのところ中国からの輸入が多いままです。ちなみに、尿素水関連で多くのニュースが出たのが2021年です。今データが出ている(2023年まで)ままだと、2023年には中国からの輸入が91.8%まで上がっています。この部分だけ韓国経済(29日)の記事ですが、2019年89.3%、2020年88.5%で、2021年83.4%、2022年71.7%、2023年91.8%。2021年に問題があったし、新型コロナとかいろいろあったので、2022年にはさすがに輸入が減っています。しかし、2023年にはあら不思議、91.8%になりました。
本エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年5月2日)<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・準新刊(2023年12月21日)、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・既刊として、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>(2023年7月29日)も発売中です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。その際の、自分なりの持論に関する本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。