韓国、任期3年目の大統領が24件の再議権(拒否権)発動・・李承晩大統領(45件)を超えることはできるのか

久しぶりに韓国政治関連です。国会で決まったことについて、大統領が「再審議(再議)」を要求すること。一般的に大統領の拒否権行使と言います。任期3年目のユン大統領が、いよいよ24件目の再議権を行使する予定です(そのうち3件については、2~4日内に発動予定)。京郷新聞(9月30日)、 ハンギョレ新聞(9月22日)などが集中的に報じています。中には、数年前から話題になっている、大統領夫人関連の特検法(特別検事を指定して集中的に調べること)も含まれています。4月の総選挙でもう少し議席数が取れていたら、少しは様子が変わっていたかもしれませんが・・とにかくいまは完全に防戦一方といったところです。野党のスタンスが問題・・というのもありますが、ここまで『バリヤー』ばかりだと、さすがにちょっと。

野党「革新党」のスポークスマンが話した内容によると、李承晩初代大統領(任期は1948年から事実上1960年まで)が45件の再議権を行使、圧倒的トップです。任期が結構長かったというのもありますが、同じく任期が長く、野党との対立も多かった朴正煕大統領は5件、盧泰愚大統領が7件、盧武鉉大統領4件、朴槿恵大統領は2件、2MB(李明博大統領)が1件、でした。全斗煥大統領、金大中大統領、金泳三大統領、文在寅大統領はゼロ。ちょっと意外です。いわゆるねじれ国会だった時期は今までの政権でも何度もありましたけど、今回のユン政権では明らかに多すぎます。3年で24件ですから。こんな状態で、よくも外交関係で「コップの半分」がどうとか言えるものだな・・そんな気もします。満たしてやったらやったで、すぐユンたんが飲んじゃって「まだ半分ですけど?」と言ってきそうです。

 

16日には再選挙・補欠選挙があるので、その結果がどうなるのかも注目されています。特に2箇所だけ、「与党が勝利して当たり前の選挙区」があります。もしそこで負ける、または思ったより票が集まらなかったなら、それは「保守支持層の動き」があやしいということになります。また、野党側は今回再議要求された案件をすぐ再票決するとしていますが、そのためには国会3分の2の賛成が必要です。与党から8人が離脱すると(賛成すると)、今度こそ成立を目指すことが出来ます。あくまで噂レベルですが、今回は与党から離脱が出るのではないか、そんな意見もあります。一部では、もし再票決が通ったらレームダックだとも言いますが、すでに4月の総選挙でレームダックは始まっていて、いまのように再議要求ばかり繰り返しているのはすでにレームダックが本格化しているわけだとの見解もあります。というか、ピンチでないときがあまりなかったような気もします。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・政府が9月30日、国務会議を開き、9月19日に国会の本会議を通過したキムゴンヒ夫人特検法とチェ上兵特検法、地域通貨法」に対する再議要求案を議決した(※それぞれ、大統領夫人関連疑惑、大雨関連作業中に亡くなった兵士関連疑惑、自治体の地域貨幣関連支援を政府が保証する内容)。ユン大統領は法的時限である10月4日以前に再議権を行使するとみられる。そうなれば、国会でキム女史特検法は二回目、チェ上兵特検法は三回目に再票決手続きを踏むことになる・・・・今回のキムゴンヒ女史特検法は、ドイチモーターズ株価操作・高級バッグ収受・与党の国会議員公式推薦過程への介入など8つの疑惑が捜査対象だ。関連疑惑を裏付ける情況と証拠は、毎日のように追加されつつある。ドイチモーターズ株価操作事件だけでも、キム女史が2020年9~10月検察捜査が可視化すると、株価操作の核心人物であるイ・ジョンホ元ブラックパールインベスト代表と40数回も電話とテキストメッセージをやりとりした事実が明らかになった(京郷新聞)・・>>

 

<<・・10月はユン大統領にとって特に大変な月になりそうです。まず、国政監査(※国会が政府各部門を調べること)です。今回の国会では初の国政監査が10月7日から25日まで開かれます。ねじれ国会状態での国政監査はユン大統領にとって大きなリスク要因です。任期中盤を控えたユン大統領とキム夫人と関連して調べる過程で、また不利な話が出てくる可能性があります。野党には、今度こそとやる気満々の初当選議員たちが数え切れないほどいます。次に、再選挙・補欠選挙です。10月16日釜山クムジョン区庁長、仁川カンファ郡守、全南のコクソン郡守とヨングァン郡守の再・補欠選挙があります。クムジョン区庁長とカンファ郡守は、国民の力が「まず負けない」選挙区です。

もしここで負けたら、ユン大統領の責任論が出るでしょう。保守と進歩が対立しているソウル市教育監(※教育行政の責任者)選挙も同様です。ここでも、保守候補が勝てなかったら、大統領の責任論が出るでしょう。最後に、再議決リスクです。国会は去る19日、本会議を開き、キムゴンヒ女史特検法、チェ上兵特検法、地域通貨法を議決しました。ユン大統領は再議権を行使します。国会は再議決に出るでしょう。再議決、表決は無記名投票とします。国民の力議員が離脱せずに再議決を防げることができるのでしょうか。再議決が行われると、ユン大統領はレームダック状態になるでしょう(ハンギョレ新聞)・・>>

 

 

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