9月27日、「39年ぶりに日韓大陸棚協定関連協議があったけど、いまのところ『幅広く議論した』という話以外は情報が出ていない」とお伝えしました。それから数日経ったので、さすがにもう少し情報が出ているのではないかと思ってもう一度チェックしてみましたが、協議の内容はもちろん、いつもなら公開されるはずの関連写真1枚も公開されていない(9月30日、YTN)とのことでして。同日のニュース1は、7鉱区の経済性において、いわゆる『平行線』を走ったからではないのか、と記事を掲載しています。ほとんどの関連内容は今までと変わらずで、「もし協定が延長できなくても、日本だけで開発を始めることはできない」「協定を延長できないと中国が入ってくるから、延長しないといけない」という内容ばかりです。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・日韓両国が「7鉱区」共同開発のための6回目の会議を東京で開きました。39年ぶりに再開された実務協議だったにもかかわらず、写真1枚すら公開されませんでした。会議内容も「協定履行事項について幅広い議論をした」という一行がすべてでした。【川上陽子・日本外務相「本協定の実施に関する事項等を協議しているため、以降協定をどのように扱うかについて議論する状況ではありません」】。7鉱区は韓国大陸棚に設定した鉱区8ヶ所の一つで、韓国の面積80%に達する「海底領土」です。1978年から日韓共同開発が推進されたものの、2002年2次探査以降、止まっている状態です。1985年、大陸棚の境界を分ける国際基準が自国に有利に変わると、日本がスタンスを変え始めました。協定満了は2028年ですが、3年前から終了宣言が可能で、事実上、来年6月が期限となります。協定が廃棄されると、国際法上「境界未定義水域」として残るため、中国の介入する余地が大きくなります(YTN)・・>>
<<・・日韓両国が最近共同開発区域協定(JDZ)履行関連協議を40年ぶりに再開したが、これまでの成果なしに協議が終了した。経済性をめぐって両国の立場が平行線を走ったためと見られる。これまで日韓は計2回の合同探査を実施したが、日本側は「大陸棚7鉱区」が経済性がないと結論を出した後、韓国側の追加探査提案にこれといった反応を見せていない。これをめぐって一部では日本側が有名無実となったJDZ共同開発協定を破棄する可能性も提起される。JDZが破棄されると、ここは日中韓3国に関わる水域になる可能性がある。この場合、中国が権利を主張して出ることもありえる。外交部によると、日韓共同委は29日、JDZ協定の履行に関する事項などについて幅広い議論を進めた。政府はJDZ協定関連両国間協議を継続していく予定だと伝えるだけで、探査などに関する別途の立場は出さなかった。経済性をめぐって異見が持続していると推測できるところだ・・
・・外交部当局者もニュース1に、日韓が「技術的で実務的な協議を行った」と説明した。日本側が協定終了を通知する可能性について、その当局者は「基本的な立場として、韓国政府はすべての可能性を念頭に置いて徹底的に備えている」と伝えた。もし意見を絞り込めずにJDZ協定が終了した場合、得をするのは中国だ。これまでJDZ協定を認めなかった中国は攻勢的な海洋進出とともに探査活動範囲を拡大するなど北東アジアの海洋秩序のリスクになる可能性がある。ヤンヒチョル海洋科学技術院海洋法・政策研究所長は「JDZ協定終了は中国が主張を強化するのにかなり良いチャンス」とし「中国の大陸棚は韓国7鉱区の末端にあるが、JDZ協定が終了した場合、中国は自国の権利をもう一度強化して主張するだろう」と見た。続いて「それなら自然にその水域は日韓の問題ではなく、日中韓3国の問題で拡大するだろう」と付け加えた(ニュース1)・・>>
この「中国が~」は、結構前から韓国側の主張に出てきました。いつからそんなに中国の動きを気にした・・と言ってしまえばそれだけですが、関連した主張として、「だから、米国に仲裁を頼もう」という話もあります。1月10日の毎日経済の記事などがそうで、「日本、米国、韓国3国の協力が堅固になるためには、JDZ共同開発において米国がより積極的な仲裁の役割を果たさなければならない」としています。
<<・・現在、産業通商資源部は慎重な姿勢だ。産業部の立場は「両国間共同探査について合意されたことがない」と、「2028年6月以降も協定の一方の締約国が協定終了を希望する時点の3年前まで他方の締約国に終了意思を通知しなければ、効力が持続する」という協定規定だ。協定終了時期が近づくにつれて、何の反応もしない日本に対し、韓国だけで開発するという案も最近提起された。しかし、協定終了通知時限が1年半残った状況では、実際の探査開発をするには時間が短すぎて実効性がなく、むしろ日本側に協定終了の名分を与えるだけだ・・
・・米国が協定の状況を傍観して終了になるなら、東シナ海で中国海軍はより正当性を持つようになる可能性が大きい。米国と韓国、日本3国の協力が堅固になるためには、JDZ共同開発において米国がより積極的な仲裁の役割を果たさなければならない。一つの先例として、1965年イギリス・ノルウェー大陸棚境界交渉で英国が北大西洋条約機構(NATO)加盟国として安保上の理由でノルウェーの地形的特性(ノルウェー海岸近くに水深海口があるという点)を中間線原則で画定したという点は参考になるだろう(毎日経済、1月10日)・・>>
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