韓国、「漢字語」による世代間のコミュニケーション問題が広がる・・『内容』の前に『単語』がわからない学生たち

「文章が理解できない」という話。数年前から複数のメディアが同じ趣旨の記事を載せています。そういえば、旧ブログの頃から本ブログでも何度か取り上げたテーマです。7日にもソウル新聞など複数のメディアが同じ趣旨の記事を載せていたので、久しぶりに取り上げてみます。ただ、あのときとはちょっと方向性が異なる気もします。前に私が読んだ論文や記事などにおいて問題とされていたのは、純粋に文章の内容そのものが理解できない人が多いという内容で、主に高齢者たちに関するものでした。たとえば「~月~日、~にある~さんの家に集まってください」という文章があった場合、それを「読むことはできても、意味がわからない(その日、その人の家に集まるという内容が理解できない)」人たちが多く、これは「薬の服用法が(説明を受けても)わからない」などの問題に繋がる、そういう話がメインでした。

でも、最近の問題は、どちらかというと単語、主に漢字でできた単語がわからないという話(※記事内容のすべてが漢字関連ではありませんが、ほとんどはそうです)で、主に若い人たち、学生たちの話です。ソース記事の事例として、中学校3年生が「シュド(首都)」の意味がわからないというから、先生たちは「テストの『内容』の前に、『単語』が通じない」とこまっています。たとえば、学校のテスト問題が「日本の首都はどこなのか」という問題だとします。もし学生が「東京」だとわかっていても、「首都」がなにかわからないから、問題を解くことができません。なんか、10年~15年前とは、似ているものの、ちょっと別の話になっている気もします。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・「事の始発点(※韓国では『物事の出発点』などの意味でよく使う表現です)」と言ったら、生徒たちが「先生なんでそんなことを言うんですか(※ある攻撃的な言葉と発音が同じ)、と言うのですよ」、「頭髪の自律化(※ヘアスタイルを自由にできるようにする制度)についての議論をするのに、学生側は頭髪を両足(※発音だけだと、二本の足ということになる)だと思っていました」・・・・教師10人のうち9人が、「学生たちの文解力(※文章読解力)が前より低下した」と認識するというアンケート調査の結果が出た。韓国教員団体総連合会が全国小・中・高等学校教師5848人を対象に実施し、7日公開した「学生文解力実態認識調査」によると、「学生たちの文解力が前と比べてどうか」という質問に「低下した」(53%)、「非常に低下した」(39%)など、低下したという回答が91.8%に達した。

 

具体的には、当該学年の平均レベルと比べて、文解力が足りない学生の割合を尋ねる質問に、回答者の半分に近い48.2%が『21%以上いる』と答えた。『31%以上いる』という回答も19.5%に達した。文脈と意味をよく理解できない学生が21%以上だと答えた教員も46.6%だった。難しい単語や漢字語を理解できない学生の割合を尋ねる質問には、回答者の67.1%が「21%以上」と答えた。助けなしに教科書を理解できない学生が21%以上いるという回答は30.4%、問題を理解できず、テストを受けるのが困難な学生が21%以上という回答も21.4%だった。

実際の事例を尋ねる質問には、「今日を金曜日に勘違いしている」、「「往復3回と言ったら、往復がなにかわからないという」、「体験学習計画表に中食(※韓国では「昼食」の意味です)と書いてあるのを見て、学生たちは『ジャジャンミョンを食べるのか』と質問してきた」・・・・ある教師は「小学校6年生の学生を対象に言語能力評価してみたが、ほとんどの単語レベルが3年生以下だった」とため息をついた。「高3が『風力』とは何かと質問してくる」、「単語まで教えながらやらないといけないわけだ」などの話も出てきた(ソウル新聞)・・>>

 

同じ内容の国民日報の記事によると、「2+3=5のような問題は解ける学生でも、『りんご2個とバナナ3個を合わせれば5個になります』のような文章の問題は解けない」、「文章が少しでも長いと、読むことをあきらめる」という話も出ています。これは、先書いた「10年~15年前の記事」と似たようなものだとも言えるでしょう。いくつか記事を読んでいると、全てではないにせよ、事例として出ている単語は「代替できる別の単語が無い」ものがほとんどです。すなわち、語彙というか、表現そのものがどんどん狭くなっていくということでしょう。なんというか、世代間に使う単語や表現が異なるのはよくあることだと思いますが、そういう新造語やジェネレーションギャップとは、また別のものに見えます。

個人的に、ガロドゥン(街路灯)のことを、「縦(セロ)に立っているのになんで横(ガロ)というのか」と不思議に思う学生がいたという話には、ちょっと笑ってしまいました。とはいえ、京郷新聞(6日)など、『どちらかというと、漢字でできた言葉を広く使うほうが問題だ』という主張をするメディアもあります。受験メインの学校教育に漢字関連を入れるのはもう難しいでしょうし、このギャップはどんどん広がるのではないでしょうか。

 

 

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