ノーベル文学賞作家韓江(ハン・ガン)さんの本、去年11月自治体の廃棄処分(学校図書館から撤去)リストに入っていた

昨日、ノーベル文学賞に韓国のハン・ガン氏が選ばれました。いうまでもなく、国会日程が臨時中断されるなど大きな話題になりました。科学分野ではないにせよ、これで毎年のノーベル賞ネタが少なくなると思うと、ちょっとさみしい気もします(笑)。書き方によってはンが3回も入る「ハンガンさん」がどういう方なのか、勉強不足でまだ著書を読んでいないので、詳しいことは書けそうにありません。ただ、多分本人の意図とは関係ないと思われますが、韓国では『左側』の人物とされます。韓国日報中央日報などの記事によると、政権によって彼女への評価もずいぶん異なりました。また、右側とされる市民団体が氏の本を各学校から撤去(ソース記事いわく廃棄処分)すべきだと主張し、自治体もそのまま各学校に勧告公文を送ったりしました。以下、関連記事を<<~>>で引用してみます。

<<・・小説家「韓江(ハン・ガン)」が韓国人初のノーベル文学賞を受賞した中、11日、オンラインでは京畿道教育庁が昨年韓江の小説『菜食主義者』を青少年有害性教育図書に指定して学校図書館から廃棄するよう勧告した事実が再照明された・・・・(※5月にこの件を報じた)KBS報道によると、京畿道教育庁がカンミンジョン元民主党議員に提出した「京畿道学校図書館性教育図書廃棄現況」には、韓江の『菜食主義者』をはじめ、イ・サン文学賞を受けたチェ・ジニョンの『クの証明』、ノーベル文学賞受賞作サラマーゴの『白の闇』などが含まれた・・

 

・・多くの学校担当者たちによると、昨年11月、京畿道教育庁から「性関連図書を廃棄することを勧告する」という内容の公文が来て、続いた公文では図書処理の現状を報告するように「除籍および廃棄」書籍を入力するExcelファイルが添付されていたという。しかし、教育庁は有害性の基準を明確に提示せず、昨年9月、保守保護者団体が「学校図書館で不適切な性教育図書を廃棄せよ」と開いた記者会見を扱った記事などを参考資料として送ってきたという。これにより、学校現場では、この団体が任意に定めたリストを、教育庁の基準として受け入れ、その他にも多くの図書を廃棄処分したというのだ・・

・・これに対して当時の京畿道教育庁は「一部団体が学校に多くの廃棄要求をする状況だった」とし「教育庁は学校現場で、どのように管理されているのか現況を単純調査したものであり、廃棄するよう指示したわけではなかった」と解明した・・・・一方、キム・ドンヨン京畿道知事は前日、フェイスブックに韓江がノーベル文学賞を受けたというニュースを伝え、「韓国人初でアジア女性作家初めて成し遂げた快挙」と喜んだ(中央日報)・・>>

 

<<・・文学評論家出身のカン・ユジョン共に民主党議員が、小説家韓江のノーベル文学賞受賞ニュースを伝え、韓江がかつて朴槿恵政権の文化界ブラックリストに含まれていたことに言及した。カン議員は10日、自身のフェイスブックに「国政監査の途中、韓江作家のノーベル文学賞受賞のニュースが伝えられた。与党も野党もなく拍手を送り、喜んだ」としながらも「私は必ず言わなけれならないことがある」とした。カン議員は引き続き「今日のノーベル文学賞を受賞した韓江作家は、2016年に文化界ブラックリストに分類された作家」とした。

文化界ブラックリスト事件は、朴槿恵政権当時、大統領府が野党政治家を支持したり、セウォル号関連で時局宣言(※ある事案で特定の見解を宣言し、それを世に広げようとすること)をした文化芸術人など特定文化・団体の名簿を作成し、文化体育観光部に彼らを政府支援から外すようにした事件だ。韓江も518光州民主化運動を素材に扱った「少年が来る」で、韓国文学翻訳院が支援する海外文化交流行事支援対象から外されるよう指示された(韓国日報)・・>>

 

逆に、文在寅前大統領は夏の休暇に彼女の本を読んだと公言するなど、彼女の本のファンだとされています。やはり、済州4・3事件、5・18光州民主化運動などを背景にした作品を書いてきただけに、こういう流れができていたようです。ハンガンさんはイーデイリーとのインタビューで、これらの作品は「特定の理念ではなく、自分自身の内面に対して人間の本性についていつも『質問』があって、その質問をまとめる過程で書いたもの」とし、「このような、大勢の方々が亡くなったことを背景にした作品はもう書かないと思います。もう十分書いたかと思います」と話しました。ブラックリストの件は、ハンガンさん本人も知っていたそうです。

 

 

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