まず、本エントリーでいう貸金業者(貸付業者)は、合法的に営業している業者、すなわち第3金融圏のことです。いわゆる「制度圏(合法の範囲)」では、もっとも「金利が高く、借りやすい」ところになります。この貸金業者関連で、政府がいろいろ制度を強化し、このままだと来月から4300箇所が営業できなくなる、とのニュースがありました(ファイナンシャルニュース、9月18日)。政府が、個人債務者を保護するという目的でいろいろ発表しました。特に、すべての金融機関は債務者に対して「推尋(債務の償還を促すこと)を7日間に7回しかできない」ようにする内容が話題になっています。その中に、債務者保護を理由に「貸金業者の資格(資本金など)」強化も含まれていて、このままだと来月(もう今月ですが)から各自治体の貸金業者4300箇所が営業できなくなる、というのです。
政府からすると、『脆弱借主』とされるデータは減るかもしれません。普通の銀行、貯蓄銀行などノンバンクに比べると、貸金業者は「最後の砦」のような存在ですから。同じく、多重債務者(韓国では3箇所以上の金融機関からお金を借りた人たちのことで、一般的には脆弱借主とみなします)も減少するでしょう。家計債務関連の『データ』は、好転するかもしれません。しかし、前にも紹介したことがありますが、『じゃ、今まで第3金融圏を利用していた人たちはどこへ行けばいいのか』がきになるところです。家計債務関連で多くの記事や論文などを読んで、いろいろ書いて・・そんな中でも、2022年10月20日ヘラルド経済の記事は、特に気になる内容でした。貸金業者はそれでも合法的に管理されている領域であり、ここでも金を借りることができないなら、違法金融業者を利用する人たちが増えるしかない、という趣旨です。余談ですが、違法金融業者の場合、金利は平均でも400~500%にはなると言われています。
記事によると、第3金融圏すなわち貸金業者利用者は、(詳しくは集計できないのが現状だとも言われていますが)2017年には247万人でした。このときは、上限金利が27.5%でした。それから、上限金利が24%、20%と相次いで引き下げられ、20%になった2021年には、貸付業者の利用者数は112万人まで減りました。貸金業者からすると、資金を用意するにも金がかかるし、リスクの高い人たちにお金を貸すわけだから、いろいろ考えると「20%では、利益が残せない」と判断し、顧客を選ぶようになったのです。それからしばらく続報がありませんでしたが、今年8月18日、ファイナンシャルニュースが、「いままで公開されなかった部分」としながら、記事を載せました。これはちょっと<<~>>で引用してみます。
<<・・18日、ファイナンシャルニュースが入手した金融監督院の「2017~2022年度サグミュン(※私金融、違法金融業者)市場実態調査結果」によると、2017年に6兆8000億ウォン規模と推定されたサグミュン市場は持続的に拡大したことが分かった。2018年に7兆1000億ウォンとなった後、2019年に8兆4000億ウォン、2020年に9兆5000億ウォン、2021年に10兆2000億ウォン、2022年に10兆4000億ウォンなどに大きくなった。金監院が最高金利引き下げによるサグミュン市場の変化を把握するため、2018年から進行した実態調査は、2019年以降は公開されたことがない。本紙が実態調査結果を直接入手し、2020年から2022年までの実態が初めて公開されることになったのだ。
サグミュン利用者数は同期間、2倍も増加した。2018年末基準で41万人ほどだったサグミュン利用者数は2022年、82万人と集計された。 2017年の最初の調査で52万人と推定された利用者数は、2018年に11万人減少を見せた後、2019年には56万人に再び増加した。以後2020年(71万人)と2021年(76万人)増加傾向を記録した。この期間、貸金業者の利用者数も急激に減少した。 2017年247万人だった貸付業者利用者数は2022年99万人に減少した(ファイナンシャルニュース)・・>>
公開されなかった理由は、他のメディアの記事だと「不正確だから」ということになっているそうです。違法金融業者、サグミュンまたはサチェを利用する人の約6割は、問題を提起する意図がないと言われています(単にこわいからという理由もありますが、それでも資金が借りられる最後の手段だと思っている側面もある、とのことです)。第3金融圏も、第1や第2に比べるとデータの共有がちゃんと機能していないとされているので、実際の数字と記事のデータが一致するとは思えません。しかし、いまあるデータだけで考えるとしても、247万人から99万人になったとすると、148万人はどこへ行ったのでしょうか。2023年には85万人だったという話(こちらは民間研究員のデータです)もありますが。もしそうなら162万人。さらに、このデータが2023年(1~3金融圏ともに、ローンなどのハードルを強化しました)からはどうなっているのか、も気になります。
彼らは、ちゃんと返済したのでしょうか。だといいのですが、そんな人はどれくらいいるのでしょうか。彼らが集計から外れると、データは好転するかもしれません。この前、月2万円で高齢者働き口をばらまいて失業率を1.9%まで下げ、平均賃金にはカウントしない(補助金だから)というやり方を紹介したばかりですが・・どことなく、それに似ている気もします。 今週は、明日(金曜日)に1日休みをいただくことになりました。いつもは週末に休みますが、今週だけちょっとズレました。ご理解願います。次の更新は、19日(土曜日)のいつもの時間、11時頃になります。
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・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年5月2日)<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・準新刊(2023年12月21日)、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・既刊として、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>(2023年7月29日)も発売中です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。その際の、自分なりの持論に関する本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。