韓国政府、北朝鮮軍のロシア派兵の認める・・中国は事前に知っていたのか

数日前から、ウクライナ事態に北朝鮮軍が参加(ロシアへの派兵)しているというニュースが相次ぎました。本当なのかどうかについての議論もあったし、本当だとして大きな力になれるのかどうかについての議論もありました。たとえば、兵力が足りないロシアとしては大きな助けになるだろうという話もあれば、実践経験、及び言葉が通じないなどの理由で、思ったほど力にはなれないという主張もありました(聯合ニュース17日)。そんな中、韓国日報(19日)などによると、昨日、韓国政府が公式に認める内容を発表しました。ウクライナ以外で、政府レベルでこの件を公式に認めたのは、初めてです。本ブログでも6月20日に取り上げたことがありますが、北朝鮮とロシアが事実上の軍事同盟を結んだという話がありました。すでに派兵が検討されていて、6月に相応の協定を用意したのでしょうか。

6月20日に韓国各メディアが報じた新しいロシア・北朝鮮の協定には、「有事の際、『相互支援』する」という内容が明記されています。ここに「軍事的な介入」が含まれるのかどうかについて、意見が分かれていました。ちなみに、既存の協定には「相互接触する」、すなわちお互い相談するという内容でした。今回、本当に兵力が参戦したなら、結局は軍事的な、直接的な支援も行ったことになります。ただ、政府レベルでこの件を公式に認めたのはユンたんが最初ですが、ロシアは「事実と異なる」としています。またNATO事務総長が韓国政府の発表に対して「まだ確認できていない内容だ」としていることもあり(ハンギョレ新聞18日)、本当に最終的に確認された内容なのかどうかについては、まだ見解が一致していません。以下、韓国メディアのニュースを<<~>>で引用してみます。

 

<<・・(※見出し)「国情院、『北朝鮮軍1,500人はすでに派兵』」、「北朝鮮、合計1万2,000人規模派兵合意」、「朝鮮半島有事の際ロシアの介入も避けられない」、「ロシアは北朝鮮に各種技術移転」、「朝鮮半島にリスク・・・対ロシア外交全面修正不可避」。 ユン大統領が18日、北朝鮮軍のロシア派兵を初めて公式認定し、朝鮮半島情勢が最も危険なシナリオに向かっている。国家情報院は、北朝鮮が8日、特殊部隊1500人余りを皮切りに、総派兵する規模が1万2000人(師団級)に達すると明らかにした。北朝鮮が武器だけでなく兵力まで送り、ウクライナ事態においてロシアを支援し、朝鮮半島の有事の際にロシアが北朝鮮を助けて参戦する可能性がさらに高まった。グローバル「新冷戦」の渦の中に、韓国が徐々に巻き込まれている・・

 

・・ユン大統領はこの日、「北朝鮮戦闘兵ロシア派兵」による緊急安全保障会議を主宰し、利用可能なすべての手段を動員して対応策を用意するよう指示した。これに加え、国家情報院は具体的な派兵証拠を公開した。北朝鮮軍特殊部隊員1,500人がウクライナ戦参戦のためロシアウラジオストクに移動したのは8日だ。国情院は北朝鮮軍特殊部隊が今月8~13日、ロシア海軍輸送艦を通じてウラジオストクに移ったとし「北朝鮮軍の参戦開始を確認した」と明らかにした。これによると、ロシア太平洋艦隊所属の上陸艦4隻と護衛艦3隻が北朝鮮の・・(※地名)・・近隣地域で特殊部隊1,500人余りをウラジオストクで1次移送完了し、近いうちに2次輸送作戦が行われる予定だ。情報当局は北朝鮮軍の全体派兵規模を1万2000人ほどと推算している(韓国日報19日)・・>>

 

<<・・あるロシア軍の専門家は、BBCに、ロシア軍が、ウクライナ事態初期の頃、刑務所に収監中だった囚人数百人の入隊を許可したとき、少なくない試行錯誤を経験したことを取り上げながら、「それでも、当時の彼らは全員ロシア語を話せた」と指摘した。瞬間的は判断が求められる戦場で、全く異なる言語をするロシア軍と北朝鮮軍とでは、意思疎通することから容易ではないということだ。北朝鮮軍体制は旧ソ連をモデルにしたと知られているが、北朝鮮軍人が実際の戦場でロシア軍が運用する武器システムにちゃんと適応できるかもわからない。北朝鮮の現役軍人は128万人に達するが、実際の戦闘経験はないという点も、大きな影響を与えることができないという意見の根拠の一つとされている(聯合ニュース)・・>>

 

さて、個人的に気になるのは、派兵が事実だとして、中国がこれを事前に知っていたのかどうかです。知らなかった可能性もあります。北朝鮮がロシアと組もうとするのは、中国以外にも「選択肢」を増やすておくためという見方もできます。だから、秘密裏に進めた・・と。でも、個人的に、中国が知らなかった可能性は、ゼロではないにせよ、決して高くはないと見ています。前から本ブログでは、『側』という表現を使ってきました。韓国は、この『側』への現状判断が弱い、と。北朝鮮関連の案件で積極的に協力するから、中国関連(ウクライナ事態からはロシアもそうですが)では相応の例外を認めてくれというのがユン大統領の政策です。日米韓安保協力とかいうけど、そのほとんどは対・北朝鮮用のもの。

中国やロシアについては、無理をしてでも「それは別」というスタンスを貫きました。石破総理のアジア版NATOについて、一部の米国の民間シンクタンクが日米韓安保協力の強化・拡大版としては興味を示しながらも、韓国は参加しないだろうと見解がありました。「韓国は中国ではなく北朝鮮を気にしている(ハドソン研究所のケネス・ワインスタイン氏」などなど。個人的に、短いながらも的確な分析だな、と思いました。今回の件、中国の対応がまだはっきりしていませんが(多分、これからもはっきりは言わないのではないでしょうか)、韓国は本当に「外交スタンスを全面修正」することができるのでしょうか。その『側』には、中国もつながっているというのに。

 

 

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