前駐日韓国大使「いま日本の若い人たちは、韓国語を使うとかっこいいと思っている」

7月に任期を終えた前駐日韓国大使ユン・ドクミン氏が、中央日報とのインタビューで日韓関係についていろいろと話しました。中には、ある程度納得できる内容もあります。たとえば、いわゆるLINE問題において「セキュリティーや経済安保という側面に、日本と韓国の理解が異なる(事の本質はセキュリティー問題なのに、そこを見ようとしない)」という趣旨を語ったりしています。また、日本となにかあれば、すぐに「誰かに外交的な責任を問おうとする」流れが出てくるのに、北朝鮮やロシアなどについては、そんなことがない、これはどういうことなのかという指摘も、韓国側のインタビュー記事内容としては、めずらしい内容だと言えるでしょう。ソース記事は中央日報(22日)です。しかし、ユン政権の日韓関係について、「根本的に変わった」としながらも、具体的にどういう実績があるのかは、これといってなにもありません。

日韓でFTAをやるべきだという話(日中韓といわないだけまだマシにみえるから困ったものです)とか、いずれ石破総理とユン大統領が一緒に米国を訪問し、キャンプ・デビッド首脳会議のときみたいにまた3国首脳会談をやるのはどうだろうかとか、そんな「できたらいいな」「やるべき」な内容ばかりで、これといって「根本的に関係が変わった(良くなった)」の話は出てきません。私の読み方の問題かもしれませんが。その根拠・・というか真っ先に出てくる話が、「いま、日本の若い世代の間では、韓国語を使うのがもっともホットな流行だ」「韓国語を使うとかっこいい思っている(と聞く)」という話で、「これは(ユン政権になるまでは)考えられなかったことだ」というふうに話していますが・・なんというか、個人的にかなり違和感があります。

 

ドラマなど韓国コンテンツに興味がある人たちの間では、そんなこともあるでしょう。アニメ好きの人たちが日本語を使うという話は何度も聞いたことがありますが、似たような現象だとも言えます。しかし、そこまで流行っているのか、そして、「そういうのが好きな人たち」のことが、現政権に限られるものなのか、などなど気になります。シンシアリーの日本生活は、なにも変わっていません。出かけて、歩いて、他の街に行ってみて、写真撮って、感じて帰ってきます。帰って来る時間帯はできるかぎり退勤時間を避けていますが、それでも電車やカフェなどで制服姿の人たちの会話はよく耳に入ってきます。でも、そんなホットな流行というのは聞いたことがありません。ほとんどは観光客と思われる人たち(会話のすべてが韓国語)でした。そこはともかく、以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・ユン政権になってから2年間駐日韓国大使を努め、その変化を陣頭指揮したユンドクミン大使に会い、話を聞いた。彼は日本の若い世代の変化からいい出した。「最近日本の若い層では、対話の途中で「チェゴ(最高)」とか「デーバック(大当たり)」という韓国語を入れるのが流行です。そうすると、カッコイイ、フォームが出る(※かっこいい、格好が付くなどの意味)、そう思っていると聞きます。でも、俗語ではありますが、「ゾラ(※『とても』という意味ですが、普通に会話するなら使ってはならない言葉です)」という言葉もそのまま使います。本当に、すごい変化です」。もちろん、日韓関係の特殊性を考慮する際、油断はできない。特に国交正常化60周年を迎える来年が機会であり、山場でもあり。27日に行われる総選挙で自民党・共明党連立政権が過半数を得られなければ、石破政権が早期消滅する可能性もある・・

・・(※記者の「来年が国交正常化60周年だ。何を成し遂げてほしいのか」という質問に対して)金大中・小渕宣言のバージョン2.0のような宣言が、象徴的に出てほしい。しかし、何より日韓関係を制度化して、後退しないようにすることが必要だ。60周年を迎え、現行G7に韓国・オーストラリアが入るG9体制を作っていくのにおいて、日本が韓国に積極的に協力することが望ましい。日本の立場でも、韓国の外交政策が、政権が変わるたびに大きく揺れず、G9標準の方向性が設定されるのが役に立つだろう。

 

(※西側のアジアリーダーを自任する日本が、賛成するだろうか」という質問に対して)もちろん、まだ思わしくない流れがあるにはある。だが最近になって谷内正太郎元国家安全保障局長があるシンポジウム基調演説で「韓国のG7加入を日本が支援しなければならない」という話をしたし、そこに参加した岸田政権のの核心人物まで同じ主張をしたと報告を聞いて、驚いた。日本内の全体的な流れは肯定的な方に向かっていると思う。

(※経済分野についての質問に対して)日韓自由貿易協定(FTA)を結ばなければならない。多国間協定であるCPTPP(環太平洋経済同伴者協定)に加入すれば同じ効果があるという話も聞くが、FTAでより包括的な経済協定を結ぶべきである。その中に先端技術分野の経済安全保障関連条項も入れ、水素や原子力分野の協力体制を構築しなければならない(中央日報)・・>>

 

自分で気になる部分、前に取り上げた案件(新しい共同宣言など)について引用しましたが、他にも読んでみると、「関係が大きく変わった」の論拠が韓国語使うのが流行だという話だけで、ほかはすべて「~やらなければならない」な話だけです。7鉱区についても、「これといって進展はない」としか話していません。その流行の話が『~と聞きます』となっているのも気になります。部下かなにかからそう報告を受けて、そのまま信じているのでしょうか。そして、最後にこれも私見ですが・・「かっこいいと思う」というのはちょっとどうかな、と。そういう意味で使う人ってどれくらいいるのでしょう。個人的に、こういう現象のもっとも大きな理由は「単に自分で面白いと思っているから」だと思いますが。

 

 

おかげさまで、新刊「Z世代の闇 物質主義に支配される韓国の若者たち」(扶桑社)が発売中です(2024年5月2日、アマゾン発売日)。詳しくは、下記のお知らせをお読みください。ありがとうございます
・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

   ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年5月2日)<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・新刊(2023年12月21日)、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・刊として、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>(2023年7月29日)も発売中です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。その際の、自分なりの持論に関する本です。・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。