電気が足りなくて半導体が作れない?・・日本、米国、韓国などの「家庭用・産業用 電気料金」関連記事

これもまた、結構前から繰り返されている案件ですが・・電気料金関連です。ついに電気料金が約10%引き上げになりました・・が、産業用電気料金だけです。一つ前にも韓国電力公社の債務関連でいろいろ話がありましたが、そういう事情もあって、今度こそ電気料金引き上げが期待されていました。なにせ、朝鮮日報(6月21日)曰く、「2022年データだと、社債(韓電債)を1日に1000億ウォンずつ発行したことになる」とのことでして。でも、今回も、家庭用電気の引き上げはありませんでした。いつもならユン政権を支持する論調の多い一部保守側メディアも、これはもうポピュリズム政策ではないのか、と記事を載せています。

韓国電力公社(KEPCO)は、韓国最大の公企業で、唯一の電力会社です。詳しくは、唯一の送電(配電)会社で、発電部門は6社の子会社に分割となりましたが、配電部門においてはいまだ1社体制のままで、価格入札制度(PBP)すら導入されていません。すなわち価格競争というものが存在しません。これ、もう随分前に送電分野も増やし、価格競争できるようにするとかそんな話がありましたが・・いまだ続報がありません。ご存知、公社は売れば売るほど赤字になる価格で電気を供給、家庭にも各企業にも、事実上の「経済政策」または「補助金」のような存在でしたが、赤字も累積し、債務は200兆ウォンを超えるようになりました。

 

中央日報(3月15日)の記事によると、恒大グループの債務はデフォルトした2021年時点で、約360兆ウォン、中国GDPの約2%でした。でも、韓国電力公社とガス公社の二つの公社の債務を合わせると約250兆ウォンで、韓国のGDPの約11%になる、とも。債務という面でもそうですが、電気料金が安いというのは、結果的には「電気が足りなくなる」という意味でもあります。先の朝鮮日報と東亜日報(週刊東亜6月25日)をそれぞれ読んでみますと、文政権で始めた風力発電は目標値の1%しか達成できずにいて、また(民間の金)600兆ウォンで作るという巨大半導体クラスターも、いまのようでは電気がなくて動かせない、とのことです。いつものこと、誰かが「電気料金を引き上げます」と言わなければならないわけですが、次の人、次の人と延々と続いているわけです。そんな中、毎日経済が、各国の電気料金を比較する記事を載せましたので、そちらを中心に取り上げてみます。以下、<<~>>が引用部分です。

 

<<・・電気料金の引き上げを相次いで産業用に限定しながら、韓国の家庭用電気料金が経済協力開発機構(OECD)国家で最安圏に留まっている。産業用電気料金を家庭用より安く策定し、産業界を支援する主要国の流れとも逆行するという指摘が出ている(※韓国は産業用と家庭用がほぼ同じですが、他の国は産業用が安く、ドイツ場合は家庭用が産業用の約2倍、米国が1.98倍、日本1.47倍、イギリス1.41倍などです)。家庭用電気料金を低く保つことで、エネルギー消費を増やすという批判も少なくない。たった一回も電気料金に触れなかった文在寅政権に対し、「選挙のために支持率を意識したものだ」と批判してきたユン政権だが、もうなにも言えなくなった。23日、韓国電力公社と国際エネルギー機構(IEA)によると、昨年のOECD37カ国のうち韓国の家庭用電気料は1メガワット時(MWh)当たり130.4ドルで35位を記録した。韓国より電気料が安い国はトルコ(72.6ドル)とハンガリー(120.9ドル)だけだった。

1位デンマーク(518.3ドル)、2位英国(452.3ドル)と比べると4倍前後の差が出る。日本(263.2ドル)、米国(159.8ドル)など主要国と比較しても、韓国の家庭用電気料はすごく安い。産業用電気料も他のOECD諸国に比べて低い水準だ。昨年韓国の産業用電気料は1MWh当たり122.1ドルで26位だった。イギリス(321.4ドル)、ドイツ(220.1ドル)、日本(177.9ドル)より安いが、自国の半導体・鉄鋼などエネルギー集約的産業を積極的に支援している米国(80.5ドル)よりは高い。政府の続いた電気料金「からぶり」で、韓電もコーナーに追い込まれた。ユ・スンフン ソウル科学技術大エネルギー政策学科教授は「上半期基準の韓電の累積赤字が41兆ウォンだが、産業用電気料を上げても赤字は1兆5000億ウォン減るだけで、効果はわずかだ」とし・・・・韓電の負債は2021年132兆4753億ウォンから今年上半期202兆8905億ウォンまで急増した。債務比率は2021年223.2%から、今年上半期530.3%まで上昇した(毎日経済)・・>>

 

<<・・文政権は、太陽光・風力の拡張初期段階だから、数年間は問題ないと思ったのだろう。目標はかっこよく立てておいて、長期的履行方案は考えてなかったのだ。文在寅政権は海上風力を2030年までに12GW(標準原発12基設備容量)まで拡充するという意欲的な目標も掲げた。文大統領は2021年2月、シンアン海上風力投資協約式に参加し、「本当に胸がおどるプロジェクト」とし、発電機を1000基建てて、世界最大の海上風力団地を建てるとした。しかし、現在稼動中の全国の海上風力は、その目標値の1%水準にとどまっている。10%ではない。1%だ(朝鮮日報)・・>>

 

<<・・京畿南部半導体メガクラスター造成のため、2047年までにサムスン電子、SKハイニックスなど民間企業が投入する資金規模は622兆ウォンだ。最近、半導体クラスターの電力需給問題がまた話題で、このように莫大な資金を投資しても、今後完工された生産施設の稼働ができなくなる可能性もあるとされている。半導体クラスターが必要とする大規模の電力を充当するには、海岸など地域から電気を引き寄せなければならないが、送・配電網をはじめとする電力インフラがとても不足しているという指摘だ・・・・イジョンファン・サンミョン大学システム半導体工学科教授は「半導体で基本中の基本である電力問題を、今になって議論することそのものが問題なのに、ここに全面的支援もないなら、国内企業はもちろん、海外企業も(造成される半導体クラスターを)選択する理由がなくなる」とし「半導体産業成長に関する政府の意志が重要な時点」と付け加えた(週間東亜)・・>>

 

 

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