韓国メディアに再び登場した「戦略的曖昧さ」という言葉・・今度は半導体関連で「中国への輸出が56%」

文政権のときにはしょっちゅう出てきた言葉ですが、「戦略的あいまいさ」というのがあります。米国と中国の間でどちらかの味方をするのではなく、曖昧な態度を取るのがもっとも有効だという意味です。たまに本ブログで取り上げた『私達は超技術力を持っているから、なにもしなくていい』という見解も、この戦略的曖昧さと同じ方向性のものです。このフレーズ、しばらく出てこないと思ったら、マネートゥデイの半導体関連記事(22日)にまた載っていました。新型コロナ期間以外だと、韓国の半導体輸出において中国輸出の割合は「約4割」とされていました。今年になって半導体輸出が回復した際にも、「35~40%は中国に向かっているのではないか」という話も出ていましたが、データで確認したところ、上半期基準で56%が中国への輸出でした。

7月~9月においても、50%を超えているとのことです。時期にもよりますが、いままでより増えたとも言えます。そこで、記事は「なんとかしないと」としながらいくつか指摘していますが、その内容がものすごくいまさらなもので、数年前、いや経済安保という言葉が出てきたときから何一つ変わってないものばかりです。内容よりも、むしろこのほうが印象的でした。そして、『でも、やはり中国からすぐに離れるのはリスクが有る』としながら、またこのフレーズが出てきました。「米中の間で戦略的曖昧さを」と。こちらもまた、めぐりめぐって結局はこのフレーズに戻ってきたとしか思えません。14日、ヘラルド経済が(ファウンドリー分野でTSMCを気にしていることで)気をつけるべきは台湾ではなく中国で、メモリー分野で中国の存在、その技術発展をもっと意識すべきだと記事を載せました。米国のこともそうですが、これも「あいまいさ」でなんとかできることでしょうか。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・韓国半導体産業の「中国依存」が依然として過度だという分析が出ている。汎用メモリ市場で中国が追い上げてきているし、米中対立などに伴う中国内での韓国企業の立場などを考慮して、急いで代案を設けなければならないという指摘だ。22日、政府によると、今年上半期(1~6月)、韓国全体の半導体輸出のうち、中国の割合が約56%(366億2000万ドル)に達した。それからも、7~9月にも韓国半導体輸出の中国の割合は着実に50%前後水準を記録した。今年の韓国の輸出は半導体がリードしているが、そのうち半分を中国に頼っているという意味だ。韓国と中国半導体企業間の「相互依存度」が高いという分析も出ている。大韓商工会議所SGI(持続成長イニシアチブ)はこの日公開した報告書で2022年基準中国の韓国に対するメモリ半導体輸出・輸入結合度がそれぞれ2.94、2.28と明らかにした。結合度が1より大きいと、両国貿易関係が相互補完的という意味だ・・

 

・・韓国半導体業界が中国依存を減らさなければならないという声が出ている。理由は大きく3つだ。まず中国のメモリーメーカーの躍進が問題に取り上げられる。韓国半導体企業の主要中国輸出品目はDRAMのようなメモリだ。ところが、CXMTなど中国のDRAMメーカーが最近、汎用製品技術・生産能力を引き上げて韓国製品を代替しつつある。サムスン電子が予想より低調な暫定実績を発表したが、その原因の一つとして「中国のメモリメーカーのレガシー(Legacy)製品供給増加の影響」を挙げるほど、グローバルDRAM市場で中国企業の影響力が大きくなっている。米中対立の影響で、中国に工場を建設した韓国企業の立場も問題だ。米国は中国の「半導体発展」抑制のために中国企業にいくつかの関連措置を施している。中国で半導体工場を運営しているサムスン電子とSKハイニックスもこのような影響から自由ではない・・

・・また、基本的に、中国の景気が低迷すると、韓国の半導体業界が全般的に揺れる問題がある・・・・米国と半導体同盟を強化するなど、代案を設けなければならないという指摘が出ている。ただ、中国対象輸出の割合が依然として大きいだけに、全面転換よりも「戦略的曖昧さ」を維持する必要があるという分析だ。半導体業界関係者は「中国半導体企業の技術競争力が高まっているが、依然として汎用製品中心であるだけに、私たちは高付加価値製品で実益を取らなければならない」とし「中国と協力を続けると同時に米国との関係を強化する必要がある」と話した(マネートゥデイ)・・>>

 

戦略的曖昧さというと、まるで米中対立さえなければすべて安泰だというふうにも見えますが、そうでもありません。前も「韓国が本当に気をつけるべきはTSMCや日本(日米台)の半導体主力ではなく、中国のメモリー技術力ではないだろうか」な趣旨を書いた記憶がありますが、12日のヘラルド経済に似たような趣旨の記事がありました。韓国が保有するDRAM技術力が、5年以内に限界にぶつかる可能性が高い、というのです。ファウンドリ市場での不振より、メモリー、DRAM分野で中国の技術発展のほうがもっとリスクである、と。

<<・・この日、発表を行ったファンチョルソン ソウル大材料工学部教授は「最近ファウンドリがとても大きな話題になっているが、台湾TSMCとの市場シェアの差はなかなか改善される兆しが見られない」、「より大きな問題はDRAM」と強調した。ファン教授は今後がさらに心配だと強調した。 DRAMの技術発展がNANDのようにチップを積み重ねる積層構造に転換し、中国企業が強みを見せる余地が生じたという分析だ。彼は「現在の2Dスケーリングに基づくDRAM性能の向上傾向は、今後5年以内に限界になるだろう」とし「垂直構造NANDフラッシュと同様の積層型3D DRAM構造への転換が避けられない状況」とした。一方、「DRAMでも積み重ねる技術が重要になれば、中国CXMTも、それができない理由などない」とし、「今後極紫外線露光装置(EUV)および関連技術の重要性が相対的に減少すれば、韓国が保有しているDRAM分野の競争力が弱まる可能性がある」と懸念した(ヘラルド経済)・・>>

 

 

おかげさまで、新刊「Z世代の闇 物質主義に支配される韓国の若者たち」(扶桑社)が発売中です(2024年5月2日、アマゾン発売日)。詳しくは、下記のお知らせをお読みください。ありがとうございます
・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

   ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年5月2日)<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・新刊(2023年12月21日)、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・刊として、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>(2023年7月29日)も発売中です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。その際の、自分なりの持論に関する本です。・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。