いま11月6日14時頃ですが、アメリカ大統領選挙も開票が進行中です。いまのところ共和党及びトランプ氏が有利に見えますが、結果を確認できていません(このエントリーを読みの方々、かならず開票速報などで最新情報を確認してください)。本エントリーのコメント欄は、米国大統領選挙関連でも自由にご利用ください。さて、8月23日にも取り上げましたが、韓国政府は「通商政策ロードマップ」において、自由貿易とFTA拡大、WTO機能回復を掲げています。そういうのを目指すなら別にそれでいいけど、いつもそこに「日韓または日中韓FTA」の話が出てくるから、気になるところです。
また、自由貿易は中国が米国及び民主主義陣営の『サプライチェーン再編』関連の措置を批判するときによく持ち出す言葉でもあり、日中韓首脳会談でも中国側はこのことを強く主張しました。そんな中、まだ米国大統領選挙が行われる前の10月28日、アジア経済は韓国の通商専門家たちのインタビュー記事を掲載しました。読んでみると、「どちらが勝っても、保護貿易制作が続くことになる」という話から始まるのに、「それでもやはり自由貿易しかない」という結論になる、不思議な内容です。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・通商専門家たちは、米国が大統領選挙を控えて保護貿易主義基調が深化しており、誰が大統領になっても保護貿易主義はさらに強化されるだろうと口をそろえた。米国の保護貿易主義が中国を主要ターゲットとするという点で、短期的には韓国が得をすることもできるが、同じ措置で韓国企業も影響を受ける可能性があるため、備えが必要だという指摘だ。カンインス、スクミョン女子大学経済学部教授は(※10月)28日、アジア経済との通話で、「米国の保護貿易主義の深化は既定事実として受け入れなければならない」とし、「米国共和党大統領候補のドナルド・トランプ元大統領と民主党候補のカミラ・ハリス副大統領ともに、米国内で生産活動をして雇用を創出するという基調は同じだ」と話した・・
・・続いてカン教授は「トランプ元大統領は中国産輸入品に対する60%の関税だけでなく、同盟国を含むすべての国に対する普遍的基本関税及び相互関税適用を公約したが、これは端的な事例」とし「ハリス副大統領も全体的な関税を上げたバイデン政府と同様の立場だ」と説明した・・・・ホユン、ソガン大学国際大学院教授は、「韓国は基本的に全世界を相手に輸出して投資して利益を得る経済構造だが、保護貿易主義が強化されるのは韓国にとって有利な状況ではない」とし「韓国の力量を最大限に広げるためには多国主義、グローバル化が確保されなければならない」と強調した。
カン教授も「ハリスやトランプのうち誰が大統領になっても、米国に輸出ではなく米国内に生産施設建設などの投資をしようという基調が強化されるだろう」とし「米国に投資する韓国半導体企業の場合、技術的要素まで米商務省に報告しなければならないが、これは結局、韓国の競争力の弱体化につながる恐れが大きい」と指摘した・・
・・通商専門家たちは、保護貿易主義基調に対応するためには、世界貿易機構(WTO)機能の正常化が必要だが、それは容易ではないと見た(※政府の通商政策ロードマップには、韓国がWTO機能回復をリードしていくという内容があります)。カン教授は「米国はWTOが中国の知的財産権問題と技術移転を強いる問題、各種補助金などの問題を解決できないと見ている」とし「米国が機構を無力化させたため、韓国がこれを正常化するのは容易ではない状況」と話した。
現実的には、貿易投資促進フレームワーク(TIPF)などを活用した主要通常相手国と協力を強化しなければならないと主張した。ホ教授は「全体的に自由貿易が縮小している状況で、いままでのような法的拘束力を持つ自由貿易協定(FTA)を主要国と推進することは、かなり難しい状況」とし「TIPFや経済フレームワーク(IPEF)など柔軟な協力に基づく戦略的協力など、複数の協力体を作ることが現在の状況で最も効果的だろう」と提言した(アジア経済)・・>>
この件については海外の専門家も似たような話をしています。ただ、「CPTPPがもっとも効果的だろう」としています。現在、韓国政府はCPTPP加入の公式申込みもしていません。「する」とは前から言っていますが。10月16日デジタルタイムズの記事、米国ピーターソン国際経済研究所シニア研究員ジェフリーショット氏が、「米国大統領選後の貿易政策変化と中国およびアジア経済への影響分析」というウェビナーで話した内容です。ショット研究員は「米大統領選後、米国貿易政策が以前より内向的で安保優先主義的に変化し、米中貿易対立の目標がさらに深まり、長期化されるだろう」とし「その中で、韓国が崖っぷちに追い込まれる危険がある」としました。
<<・・米国の対中貿易・投資関連措置で、中国の第3国を通じた輸出が拡大する可能性があり、米国が韓国とメキシコ、アセアンに中国との関係を制限するよう圧力をかける可能性があるということだ。彼は米大統領選挙以後には・・・・最良のシナリオを仮定するといっても、多国間貿易システムについては未温的に消極的な立場に留まるものとみられるだけに、韓国をはじめとするアジア経済にはマイナス影響を及ぼす可能性があると見た・・・・「韓国は他の中堅国と協力関係をより緊密かつ公固に発展させ、経済成長を促進する方向に貿易規則を拡大する必要がある」と強調した。加盟国と実質的適用範囲が拡大している環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)に参加することを最優先課題とする必要があると提言した(デジタルタイムズ)・・>>
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