韓国メディアが見た、日本の紙リサイクル・・「私たちの20年先を行っている」

いつだったかな・・数年前だったかと思いますが、当時、韓国各地でゴミ収集がうまく機能せず、大きな問題になっていました。しかし当時、日本からペットボトルを(リサイクルのため)『買ってくる』ところが多いというニュースがあって、なんでこんなときによりによって日本からペットボトルを輸入してくるのか、と結構話題になりました。その理由は、ラベル剥がしなど日本のペットボトルは再活用がしやすく、全体で見ると国内でペットボトルをリサイクルするより、日本から買ってきたほうが安く済む、というオチでした。それからも似たような趣旨の記事が何度か掲載されましたが・・今回、マネートゥデイが、紙(古紙など)リサイクル関連で、『リサイクル率だけ見ると日本も韓国も大差なく85%なのに、その中身を見てみると、日本のほうが20年先を行っている』という記事を載せました。

マンションに住む人が多いのでリサクル率は高く出るものの、実際に古紙(韓国では廃紙と言います)がリサクルされる量は多くない、とのことですが・・記事はいくつかの理由をあげています。中には、「そもそも、ちゃんと分けられていない」というのもあります。新聞紙の場合、『新聞紙』として出されたものの中に、実際の新聞紙は20%にもならない、とのことでして。紙の種類にもよりますが、日本の場合は純度(たとえば新聞紙は新聞紙として、ちゃんと区分されている)95%なのに、韓国の場合は10%でも高いほうだと言われるそうです。さらには、重さを上げるため、水に濡らす場合もある、とも。以下、<<~>>で紹介します。「圧縮商」など日本ではあまり使わない単語も、そのままにしました。韓国では「商」というのが、何かの店や業者を意味します。たとえば古物商は古物を扱う業者、圧縮商は圧縮する店(業者)、などです。

 

<<・・韓国の紙のリサイクル率は日本とほぼ同じだ。だが、その高い数値はトリックにすぎないという指摘も少なくない。収集する古紙の量は多いが、いろいろな種類の紙が混ざり、リサイクル効率が下がるからだ。古紙が製紙会社に納品されるまで、『古物商(※いろんなものを買い取るところ)』が、中間マージンを残すためだ。流通構造を簡素化しなければならないという主張も提起される。よく使われる「紙リサイクル率」の公式名称は「ジョンイ(紙)回収率」だ。回収した古紙の量を紙の消費量で割って計算する。昨年の数値は、日本と韓国が85.6%で同じだった。韓国は回収される古紙量が多く、回収率が高かった。住宅形態の大半がアパート(※マンション)である影響だ・・

 

・・しかし、古紙の活用はそうではない。日本に、少なくとも20年遅れているという評価まで出てくる。韓国は日本ほど紙を分離して出さない。これにより、古紙の純度が落ちる。例えば、新聞紙メーカーは、納品された古紙聞紙ベール(塊)に、新聞含有量が高く見ても20%だ。このため、純度の高い日本産廃新聞紙を国産と混ぜて使うのが実情だ。牛乳パックも洗わずに排出するため、保管する過程で20~30%は傷んでしまい、日本の廃牛乳パックを輸入しなければならない。日本は、古紙の純度が95%以下まで下がれば、製紙会社はそれを受けいれない。韓国の場合は、紙の種によっては、純度が10%でもまだ高い方だと評価されるのが実情だ・・

・・「紙は適当に捨てても、後で国内の収集業者が種類別に分離する」と思っている人たちも多いようだ。しかし、これは事実とは異なる。古紙の中に、リサイクル選別場に向かう物量はごく一部だ。ほとんどの古紙は、アパートの住民会や入居者代表会議と契約を結んだ「古物商」が収集する。高齢者たちが拾い集めた古紙も、古物商に向かう。古物商は全国に2万箇所ある。彼らは古紙をしばらく集めて、全国の470以上ある圧縮商のところに送る・・

 

圧縮商は、古紙の体積を減らして製紙会社に納品する。古紙が圧縮商のところに届けられるまで、多くは3箇所の古物商を経由しなければならない。古物商は全国に小商、中商、大商につながる1~3重の古紙流通構造を、数十年間維持してきた。中商と大商は『ナカマ(中間流通商)』と呼ばれる。これらを通さなければ、古紙を納品することができない。これに、圧縮商はナカマを相手に、激しい営業競争を繰り広げるしかない。1~3重の流通段階で古紙の品質は概ね低下する。保管中に雨に降られたり、せっかく分離した段ボールと段ボール以外の紙が混ざり合ったりする。古物商売が、重量を増やすために、人為的に水を振りかけたりもする。圧縮商は交渉力が弱く、古紙の品質低下に問題提起できない。

古紙需給量が下がる梅雨期間などには、(※水に塗られて)重量が膨らんだ古紙も受け入れなければ、営業関係を維持することができる。品質低下の問題は、圧縮商と製紙業界が抱えることになる・・・・日本は、古物商、ナカマはない。古紙の回収システムは大きく「集団収集」「行政収集」の2つに分けられる。集団収集は、アパートや村の自治会と契約を結んだ圧縮商が、古紙をすぐに収集する仕組みだ。行政収集は、人口密度が低い所の古紙を地方自治体が直接収集したり、補助金を支給して圧縮商にやらせる方式である(マネートゥデイ)・・>>

 

引用部分にはありませんが、記事には「韓国では廃紙、日本では古紙と呼ぶことからも、認識の差がわかる」という内容もあります。日本では古紙を、『廃』と見ていない、というのです。日本のリサイクル工場を見学した韓国製紙業界の元老は、「日本の古紙は本当にきれいです。小学校の頃から、ちゃんとこういうテーマを教えているからでしょう」と話しました。世界の廃紙(古紙)輸入・輸出規模は約2000トンですが、日本が輸出する量が200トンになる、とも。

 

 

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