本ブログでも何度か取り上げたことがありますが、また韓国の核保有議論が盛り上がっています。今回は、「在韓米軍の撤収と核保有をトレードしよう」という話です。マネートゥデイ、ソウル新聞など多くのメディアが報じています。トランプ大統領は在韓米軍の駐屯費用などを大幅に上げるはずで、それに応じなければ在韓米軍の撤収または減縮を言い出すだろうから、それに合わせて韓国が核保有を言い出せば、今度こそ成立する可能性が高いという理屈です。北朝鮮が核を廃棄すれば、韓国も廃棄するという条件付きなら、そこまで問題にはならないだろう、とも。
なんか、在韓米軍の減縮を前提にして話が進んでいるような気もしますが・・「そううまくはいかない」という現実的な意見もあります。ユン大統領も1年前までは米軍の戦術核兵器再配備、または自体核保有を主張していましたが、どちらもうまくいきませんでした。去年4月米韓首脳会談のとき、米国は韓国と「『拡大抑止』協議グループ」を作るとしましたが、これは事実上、韓国の核保有議論を『潰した』ものだとも言われています。ここでいう拡大抑止はいわゆる核の傘のことで、事実上、核保有を認めないという意味になるからです。主にソウル新聞が、このような『現実的に難しいのでは』な記事を載せていますが、他の記事は驚くほど『今度こそできる』『トランプ政権を逆手に取ろう』などを記事を出しています。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・これに先立ち、トランプ大統領は1期政権当時、2020年9月、自身の防衛費分担金増額要求に応じなかったメルケル当時ドイツ首相と衝突し、ドイツ駐留米軍兵力の3分の1を撤収させた。当時、トランプ大統領は米軍撤収理由について「ドイツが国内総生産(GDP)の2%を分担金として支出していなかったため」とし「他の理由はない」とした・・・・もしトランプ2期で在韓米軍の縮小または撤退に乗り出して金正恩国務委員長と会って北朝鮮の核保有を認めたり、朝鮮半島終戦宣言などのイベントを繰り広げるなら、韓国の安保に深刻なリスクになると予想される・・
・・ある外交安保専門家は「トランプが当選すれば(※大統領選挙の前の発言です)大統領就任前に特使を派遣し、駐韓米軍駐留の必要性などを強調しなければならない」とし「駐韓米軍が北朝鮮への抑止力としてはもちろん、トランプの最大関心事である中国阻止に核心的存在という意味を刻印させなければならない」と話した。ただ、「防衛費分担金の引き上げを受け入れにくい場合に備え、核武装の潜在力確保のための韓米原子力協定の改正、自体核武装などの交渉カードを準備しなければならない」とした。
国会外交統一委員会所属5選議員であるユン・サンヒョン国民の力議員も、トランプ氏の再登場が、韓国が「制限的自体核武装」に乗り出す機会だと強調した。ユン議員は「国民の70%が核武装が必要だと主張している」とし、「トランプ政府の国家安全保障補佐官になるとされるエルブリッジ・コルビーなどは韓国の核武装を容認しようと話す。可能性が大きくなるということだ」とした。ユン議員は「バランスを合わせるために、私たちも自体核武装をしようということだ。あくまでも「北朝鮮が核を廃棄すれば私たちも廃棄する」というカードとしての制限的なもの」とし「トランプが北朝鮮とのビッグディールとして駐韓米軍を撤収させる際に、制限的核武装カードを取り出せば、受け入れられる。米国が核保有を承認すれば、NPT体制による国際社会の制裁はそうないだろう」と話した(マネートゥデイ)・・>>
<<・・米国が韓国の核武装を容認すれば、他の国々も核武装を推進する「ドミノ」現象につながり、国際安保状況がさらにリスキーになる可能性もあり、米国内では非核化を重ね強調してきました。米国が容認しても、非核化を主張する他の西側諸国の制裁も避けられそうにないのが課題です。もし核武装が可能になるとしても、狭い国土に人口密度の高い国に、核兵器を製造及び核物質再処理施設、管理施設などをどこに置くのか、国内機会費用問題も相当なものになると予想されます。したがって、現在では現実的に可能性は大きくないと考えられ、政府も議論に積極的ではありません。
ジョテヨル外交部長官は7日、国会外交統一委員会全体会議で、米国が北朝鮮と核軍縮交渉に乗り出す可能性が提起されるため、自ら核武装を考慮する必要性がないかというキムギヒョン国民の力議員の質疑に、「拡大抑止施行力を強化するのが、現在としては、最も適切な方案という考えに変わりはない」と強調しました。それにもかかわらず、北朝鮮の核・ミサイル開発と脅威は続いており、私たちの安全保障の不安が大きくなるほど、自体核能力強化のための「大きな取り引き」を求める世論も着実に高まるものと見られます(ソウル新聞)・・>>
まず、これは「保守」すなわち右派だけの話です。賛成世論が多いのは事実ですが、少なくとも共に民主党あたりからこのような話が出たことはありません。他にちょっと気になったこととして・・「終戦宣言」って、懐かしいですね。文在寅政権のときにものすごく盛り上がったキーワードですが、当時は少なくない数のメディアが賛成していました。当時の韓国では平和の象徴のような扱いでしたが、もしやるとしても、北朝鮮が『2つの国』を表明しているのが今の北朝鮮。これといって意味があるのでしょうか。また、安保専門家という人の話として「在韓米軍は中国抑止の核心」となっていますが、その在韓米軍を北朝鮮専用のものとし、台湾の有事の際などに在韓米軍を動かしてはならないという主張も、韓容易に確認できます。こんな中、よくも核心と言えたものだな・・としか思えません。
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