ソウルには、光化門というところがあります。韓国メディアのニュースを読んでいると、その周辺まで含めて『光化門一帯』という言葉がよく出てきますが、それは、集会(デモ)の名所(?)とされているためです。民主主義で集会やデモはある程度は必要かもしれませんが、ご存知、韓国では集会が『イベント』化している側面があり、交通渋滞、騒音、商圏の問題などもあって、さらにはホテルのトイレがすごいことになる(集会参加者たちが勝手にホテルに入ってトイレを利用する)、とも。ずいぶん前から問題とされてきましたが、まだまだ多くのデモが行われています。毎日経済(10日、記事1、記事2)が、この光化門一帯の集会申告件数を調べてみたところ、1月~9月で7827件だった、とのことでして。記事は、「もはや、特定集団の勢力を誇示する手段になっている」としています。いまさら、とでも言いましょうか。ずいぶん前からそうでした。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・週末ごとに開かれる集会で、ソウル市民の苦労が続く中、光化門一帯で開かれた集会・デモの半分近くを労働組合関連団体が主導したことが分かった。10日、毎日経済の調査によると、今年1~9月、光化門一帯(世宗文化会館、政府ソウル庁舎、教保ビル、KTビルなど)で屋外集会を申告した回数は計7827件だった。このうち全国民主労働組合総連盟(民主労総及び傘下団体合算)が13799件(17.6%)で最も多かった。続いて「ろうそく行動」586件、労働者連帯522件、韓国労働組合総連盟(韓国労総・傘下団体合算)429件、自由大韓民国団340件の順だった。これらの「常連」集会上位5カ所が3256件で、光化門一帯全体集会の約42%だった。
全体集会申告件数上位5団体の割合は最近1年で10%ポイント近く増えた。これにより、労働界の一部団体が「集会の自由」権限を過度に享受しているという指摘が出ている。光化門など都心のあちこちで開かれる週末デモが日常化し、市民の不便や不満も大きくなっている・・・・キムカンミン、ダングック大研究センター教授は「前には、集会は社会的換気のための要素として認識されたが、現在は、各団体が自分の政治的な主張を他人に強いるための傾向が強い」とし「これに集会・デモに関する市民の肯定的認識はますます低くなっている」と話した(ここまで記事1)・・
・・10日、ソウル広場を中心に進歩・保守陣営が対立し、大規模集会を開きながら、阿修羅場が広がった。民主労総集会に先立ち、東和免税店近くの道路では、大韓民国立て直し運動本部、自由統一党など保守陣営が、現政権を擁護する大規模デモを行った。彼らは民主労総集会が始まると、勢力を誇示するために叫び声をあげ、広場を圧倒した・・・・市民の反応は一貫していた。光化門広場を通っていたある市民は「キム・ゴンヒ(※大統領夫人)守護」というスローガンが何度も聞こえてきて、「お願いだからもうやめてほしい」と叫んだ。台湾のジェインジュ氏は「デモ音楽がまるで軍隊のもののようで、怖い」と話した。この日、地下鉄2号線市庁駅と5号線光化門駅から広場につながる道は、集会参加者により、事実上通行をあきらめなければならない状態だった・・
・・相次ぐ大規模集会に光化門近くの商人たちも疲労感を訴えた。この日午後、光化門にあるホテルには、「出入禁止」と記された黄色い帯が囲まれており、ホテルの隣の商店街の出入口は封鎖されていた。集会参加者が勝手に入って建物の施設を使用するからだ。3年目ホテルに勤務中のホテルマンA氏(50)は「2年前から週末集会が激しくなり、1年前からは私が週末ごとにホテルの出入り口を守って立っている」とし「出入者を統制しなければトイレがむちゃくちゃになる。騒音でホテル宿泊客の不満も強く、売上にも影響する」と話した。光化門近くのカフェを運営するジョン某さんも「週末ごとに集会参加者たちが店のトイレを勝手に使用する場合が増えた」とし「待機する客のために設けたベンチに座ってタバコを吸ったり弁当を食べる人が増えて、椅子を撤去した」という。彼は引き続き「もう週末にはお客様が来なくなり、売上が平日と比べるととても少ない」と憂慮した(記事2)・・>>
前から本ブログでは、韓国社会を語るにおいて『市民団体の政治勢力化』を外すわけにはいかないと書いてきました。長い間、左側の政治家たちを支持してきた市民団体が、金大中政権の頃から政治勢力として台頭するようになりました。癒着したとも言えますが(笑)。李明博政権のアメリカ産牛肉輸入問題、セウォル号、サード配備、教科書記述問題、朴槿恵大統領の弾劾などにおいて、彼らの力は何度も示されてきました。盧武鉉政権、文在寅政権などで、『市民側の代表』などを各政策に参加させるように法律を整備したこともまた、彼らの政治勢力化を助けたと言えるでしょう。だから、勢力誇示は、各団体において『広報』でもあるわけです。私たちはこんなに強いんだぞ、とアピールしておかないと、政治勢力としての『格(笑)』がどんどん下がるわけです。企業で言えば、株価対策のようなもの、とでも言いましょうか。もちろん、それに「負けてはならない」と保守団体も集会を増やしました。
一帯の店の商売、住んでいる人たちの騒音問題、そして、最近は外国人観光客たちの観光を制限してしまうという側面も提起されています。観光どころか、イメージの問題がもっと大きいでしょうけど。大勢の人たちが集まって、しかも当たり前のように道路は封鎖されていて、交通渋滞はすごいことになります。そういう問題があればあるほど、「ここまでしても、私たちを阻止する人はいない」とし、それが自分たちをさらにアピールできると思っているのでしょう。
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