韓国紙「トランプ時代だからこそ、中国との関係強化を」

書き方は少しずつ異なりますが、政権が変わっても変わらない主張があります。「米中対立(サプライチェーン再編)において、どちらか片方だけを選ぶ必要はない」というものです。本ブログで紹介してきたものだけでも、「半導体、バッテリーで超技術力があるから」「米中どちらも韓国と仲良したいと思っているから」「何もする必要はない」「日韓関係が改善されたから(日本といっしょに主張すると米国は強く出られない、など)」などなど、いくつかありました。11日の韓国日報に、また同じ趣旨の記事がありました。今回は「トランプ時代だからこそ、中国との関係を強化することで、むしろ米国から良い条件を得ることもできる」、という内容です。「ちょうど、中国が手を差し伸べた」とも。例のビザ無しの件です。以下、<<~>>で引用してみます。

<<・・トランプ米大統領当選者は、大統領選挙の過程で「すべての中国産製品に60%の関税を賦課する」と何度も公言してきた。トランプ政権1期だった2018年、大幅な関税引き上げを行った貿易対立の構図を、今回もいくらでも受けて立つということだ。私たちは、同盟である米国と、隣国である中国が、再び正面対立する困った状況に置かれる立場だ。両方誰もが、韓国の利益を先に考えてくれないだけに、その間にはさまれたユン大統領は、私たちの価値を引き上げ、米中の圧迫に立ち向かい、運身の幅を広げなければならない課題を抱えた・・

 

・・『ユン政権、米国にオール・インする外交から抜け出すとき』(※見出し) 韓国としては、境遇が複雑になった。私たちは米国に最も多く投資し、同時に中国に最も多く輸出する国だ。どちらか片方だけを選ぶことはできない仕組みだ。そんなことをしたら、もう片方が通商圧迫を高めたり、外交関係で問題になったりする、困難な状況になることもある。就任後、事実上、韓米同盟にすべてをかけて「米国だけ」外交を繰り広げたユン政権としては、全面的な軌道修正が避けられない。代案として、トランプ1期米中貿易対立当時、欧州諸国とオーストラリアが採択した「戦略的自律性」が挙げられる。安全保障は米国との同盟に重点を置きながら、通商は中国と活性化する実用的なアプローチを意味する。ただし私たちの現実とは合わないという指摘も出ている。ジョングヨン江原大政治外交学科教授は、「米中競争が始まったばかりの時点ではそういうことも考慮してみることができたが、現在のように深化した状況では、『時代遅れ』でしかない」と評価した・・

 

・・結局、米中の間で「どちらかを選ぶ」の圧迫を減らすには、韓国の戦略的価値を高めるのが急務だ。最近、中国が韓国に手を差し伸べたのは幸いだ。北朝鮮軍のロシア派兵で、北朝鮮とロシアの軍事協力が強くなると、中国は韓国を選択したのだ。これに先立ち5月、ソウルで開かれた日中韓首脳会議を契機に、ユン大統領と李昌中国首相が会って以来、ハイレベルから民間まで両国の交流と対話チャンネルが全方位で稼働している。パク・ヨンジュン国防大教授は「日米韓軍事協力を維持しながら、同時に地理的に近い日中韓協力も並行して域内の外交空間を広げなければならない」とし「特に来年慶州で韓国が開催するアジア太平洋経済協力体(APEC)首脳会議をきっかけに、米中首脳の間で役割を果たさなければならない」と強調した。ユソンオク国家安保戦略研究院理事長は「対中外交の水準を高め、対米外交のテコ(※重いものを持ち上げる手段)にすることができる」とし「トランプが自国優先主義を打ち出す以上、米国にすべてを依存すれば、引きずり回されることになる」と助言した(韓国日報)・・>>

 

相変わらず「日本」が出てくるのもそうですが、ビザ無しにするというのがそんなに嬉しかったのか・・と、さすがにびっくりです。多くのメディアが必要以上に大きく報じていたことは本ブログでも書いたことがありますが、ここまでの見方まで出ていたとは。しかも、あれを「北朝鮮のロシア派兵」とここまで関連付けていることも、驚きです。日中韓首脳会談も、結局は中国が「自由貿易」を、韓国が「中国とのFTA強化」を主張する場でした。それから韓国政府も通商政策ロードマップとして「自由貿易」「FTA拡大」「WTO機能回復をリードする」などを打ち出しています。

6日にも自由貿易関連でエントリーしましたが、これは、中国が米国及び民主主義陣営の『サプライチェーン再編』関連の措置を批判するときによく持ち出す言葉です。例の日中韓首脳会談でも、中国側はこのことを強く主張しました。6日に紹介したのは、まだ米国大統領選挙前、専門家たちが「どちらが勝っても、保護貿易制作が続くことになる」としながらも、結局は「それでもやはり自由貿易しかない」という結論になる、不思議な話でした。

 

また、引用部分にもありますが、「ユン政権はもう完全に米国側に舵をきった」ということ(書き方は異なりますが内容的に)、まだまだ定説になっていることが分かります。これ、政権初期から本ブログでずっと取り上げていますが、韓国メディアでは、「そういうこと」になっています。「あまりにもはっきりしているので、中国との関係が心配だ」という話まで出ていました。まだまだ、そういう認識が続いているのでしょう。あと、昨日、石破さんが総理大臣に指名されました。別に取り上げる予定はないので、本エントリーのコメント欄には総理指名関連内容も好きに書いてください(「このことが気になる」でももちろんOKですが)。

 

 

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