韓国与党、「Kチップス法」を発議・・したのに各社の株価は下落

本ブログで取り上げただけでも結構な数になりますが、韓国では最近1~2年間、半導体関連ニュースが増えました。特に日本半導体関連ニュースが。そして、その際にかならずといってもいいほど出てくるのが、政府の補助金問題です。日本でも半導体関連補助金が話題ですが、米国もEUもとんでもない金額を使っていますが、韓国政府はこれといって補助金を出していません。メディアによっては、WTOがちゃんと機能していればこんなことにはならなかったはずだとか、そんな主張をするところもあります(韓国政府もWTO機能回復を通商政策ロードマップで発表していますが、似たような路線でしょう)。そんな中、長い間議論されてきた半導体関連支援法、韓国版チップス法(CHIPS and Science Act)、「Kチップス法」が与党から発議されました。

ですが、どうやらその後、半導体関連各社の株価は下落、サムスン電子が3.5%、SKハイニックス3.9%、ハンミ半導体は6.48%も株価が下がりました(11日、毎日経済)。特にサムスン電子は「まさかとは思うが4万電子(株価4万ウォン台)までいくのでは」という話まで出ています。Kチップス法だけでこんなに下がったわけではないでしょうけど、市場にこれといった影響を及ぼすことはできなかったのでしょう。どうやら、補助金を出すのではなく、『政府が直接補助金を出してもいい』という内容になっている、とのことでして。投資関連の掲示板では「与党案でこれっすか」「お願いだからもうなにもしないで」などの意見もありました。ちらっと読んだだけですが。同じ日、韓国経済、SBSなどが「日本が10兆円を支援すると発表した」と報じており、さらに雰囲気が重く(?)なっています。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・11日、国内証券市場で半導体関連株はドナルド・トランプ米大統領当選者の政策に対する懸念と「半導体特別法」に対する失望感が広がり、弱気を見せた。サムスン電子はこの日、前場比3.51%急落した5万5000ウォンで取引を終えた。先月25日、5万5900ウォンだった52週間の低価記録を約2週間で再び更新した。SKハイニックスとハンミ半導体もそれぞれ3.94%、6.48%下がり、19万2600ウォンと8万8100ウォンだった。与党である「国民の力」が党議として発議した半導体特別法(※いわゆるKチップス法)に対する失望感が反映されたものと解釈される。特別法には研究開発(R&D)労働者の週52時間労働時間制限を解き、半導体企業に政​​府が直接補助金を与えることができるという内容が盛り込まれた・・

・・しかし、補助金をすぐに支給するわけでもなく、支給の根拠を設けるレベルであり、半導体不況を克服するには力不足という指摘が出ている。これにトランプ当選者が米国優先主義をさらに強化する政策を広げる可能性が高まり、半導体業種関連措置が拡散するだろうという懸念が高まっている。トランプ当選者は、選挙期間中に米国内で工場を建てれば補助金を支援する半導体支援法(チップス法)の修正と廃棄を主張した(毎日経済)・・>>

 

<<・・日本政府が半導体及び人工知能(AI)分野を活かすために10兆円以上の新規公的支援を約束した。12日(現地時間)ブルームバーグによると、石破茂首相はこの日、2030年度まで半導体とAI分野に10兆円以上の公的支援を提供すると明らかにした。このような公的支援が10年間、日本国内で50兆円以上の公共及び民間投資を創出する触媒の役割を果たすことができる、とした。これは、前に述べた約4兆円規模の資金とは別の新しい資金調達フレームワークで、今後発表する景気浮揚策に具体化される予定であり、その目標は約160兆円の経済的効果を創出することである・・

・・米国と同盟国はAIを駆動する半導体能力で中国より先に進むために競争しており、半導体能力は経済安全保障の必須領域として浮上している。日本政府が半導体・AI部門への支援を拡大することは、国・地域レベルで経済成長を促進する必要性によるものである。石破首相は熊本にあるTSMCの半導体工場のような地域活性化の事例を全国に拡大させたいと述べた。

 

ジョー・バイデン大統領の2022年の「チップおよび科学法」は、チップメーカーに合計390億ドルの補助金と追加で750億ドル相当の融資と保証、最大25%の税額控除を含んでいる。中国はすでに半導体部門に1,420億ドルほどの投資を進行中だという。現在建設中の半導体工場数だけでも世界で最も多く、国家主導でSMICやファーウェイのような会社への投資を監督してきた。日本政府の推算によると、グローバル半導体需要は今後10年間で3倍増加し、150兆円に達すると予想される・・

・・経済産業相の武藤容治は今後10兆円投資は、既存に策定された4兆円とは別の支援だと述べた。武藤長官は、政府が10兆円調達のために税金や赤字財政債権を通じて調達することはないとし、詳細は調整中だと付け加えた。日経新聞は、日本政府がNTT株を含む資産として担保された債券を発行し、半導体会社に補助金を提供する計画だと今月初めに報道した(韓国経済)・・>>

 

石破さんがバーンと支援を発表しました。個人的には賛成ですが、金額がどんどん大きくなって「本当にいいのか」という不安もあります。相応の実績が残せるのかに関する議論が必要でしょう。とはいえ、とりあえず岸田政権からの経済安保支援は続くようで、なによりです。これはこれで『重い』ことです。でも、『できない』という重さよりは、『できることをどうするのか(やらないという選択も含めて)』という重さのほうが、いいに決まっています。

 

 

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