大統領や政党代表など「大物」と親しい関係にある人を「親」、そうでない人を「非」と分けるのは、もうめずらしいことではありません。たとえばユン大統領の場合「親尹」がいて、「非尹」もいます。そんな中、与党議員でも特に「親尹」とされるキムミンジョン与党国会議員が、尹政権はもっと高く評価されるべきなのに、なぜ評価が上がらないのかという趣旨でいろいろ話しました。「経済においては90点だと言える」などです。基本的に輸出関連の好調などを挙げていますが、内需に繋がっていないので、輸出関連データと国内の評価が繋がらないのは当然だとも言えるでしょう。各企業の好調な実績が政権の経済政策への評価に繋がらないのは、どこの国でも見られる現象ですから。
で、その際、『世界では、韓国経済はスーパースターと呼ばれている』『国民がこれを知らないでいるのは、広報が足りなかったから』という話が出てきて、話題になりました。結論から書きますと、韓国経済をスーパースターとする報告書があったのは事実です。世界銀行の経済学者が書いた報告書だそうですが、それはユン政権のことではなく、1960年代と比べて経済成長を成し遂げたから、成長のスーパースターである、という内容です。JTBCがこの件を報道しているので、ちょっと取り上げてみます。いうまでもなく「そうじゃないでしょう」な内容ですが、実は1週間前にこれ言ったの、ユン大統領本人です。セマウル指導者大会というイベントの祝辞で、同じことを話しています。以下、<<~>>が引用部分です。
<<・・(※議員の発言を紹介しながら)実は経済が良く、海外でも「スーパースター」と言われているという主張をしたわけですが、まず聞いてみましょう。【キム・ミンジョン/国民の力最高委員「経済分野においては、私は(ユン政権が)90点以上の点数を受けることができるほどの業績を出した、そういう考えをしています。世界的な信用評価機関や経済評価機関も、韓国経済をまさに「スーパースターだ」と言うほど、うまくやっていて・・・」】・・経済が90点以上だ、と。国民がどれくらい同意するのかよく分かりませんが。実際、海外でスーパースターと言ったのでしょうか・・・・調べてみると、ありました。8月、世界銀行が「韓国、成長のスーパースター」というタイトルのレポートを出したことがあります。
大統領室でも、政策方向が正しいと評価されたとブリーフィングまでしたことがありましたが、この世界銀行の報告書はユン政権3年間に対する評価ではなく、1960年からの韓国経済発展全体に対する総合的な評価でした。「成長のスーパースター:韓国が外国のアイデアと革新を活用した方法」というタイトルで、70年間、韓国は経済成長で驚くべき変化を主導してきたと書かれています・・・・言い換えれば、1960年代のパク・ジョンヒ政権から、左右政権を問わず持続的に経済発展してきたことに対する総合的な評価なのですが、まるでユン政権に対する評価であるかのように話したのではないか、こういう指摘が出ています・・
・・その主張どおりなら、今ユン大統領の支持率はすごく高いはずですが、実際にはそうではありません。今も、為替レートで証券市場が弱気を見せています。政府は非常体制を稼働しています。トランプ当選以降「トランプリスク」のため、景気関連指標についても様々な指摘が出ている状況だからです。今の状況だけを見れば、スーパースターとは少し距離があるのが、ユン政権の経済成績表です。ところがキム最高委員は「広報が不足して、知られれていない」、このような主張も出しました。【キム・ミンジョン/国民の力最高委員「しかし、これらのことがすべて知られていません。このような部分が全く国民に知られていないとすれば、まさに広報分野、そのような分野においては、少し点数が低いのではないかと思われます」】。広報が足りなくてわからない。 だからスーパースター級なのに国民がわからないでいる、そう解釈できる余地があります(JTBC)・・>>
ちょうど昨日、野党代表関連エントリーで(本題に入る前に)就業者関連データを紹介しましたが、そのデータによると、『休みました』が244万5千人まで増えました。増えたと言っても、『実際より少なすぎる』という指摘もありますが。「休んだ」とは、「非経済活動人口」のうち、これといった理由無しに仕事もせず、求職活動もしない人たちのことです。マネートゥデイなど多くのメディアがこの件を記事にしていますが、どうやら統計庁は『もっと良い職業を求めて勉強する人が多いから』という説明をしていますが、実際はそうでもない、ということでして。スーパースターとは言えない内容でもあるので、引用してみます。
<<・・最近の雇用指標で目立ったものの一つは、青年層(15~29歳)「休んだ」人口の増加だ。先月「休んだ」人口は244万5000人で、前年同月比9.2%(20万7000人)増えた。これは10月基準で最高記録だ。青年層「休んだ」人口も41万8000人で、昨年同期より14.3%(5万2000人)増え、30代の「休んだ」人口も17.9%(4万7000人)増え31万人となった。雇用動向では、15歳以上の人口は経済活動人口と非経済活動人口に分けられる。経済活動人口は収入のある仕事をした就業者と仕事をしなかったが、求職活動に出た失業者の合計だ。非経済活動人口とは、調査期間に就職も失業者でもない状態にある人を意味する。非経済活動の原因の一つがこの「休んだ」だ・・・・(※統計庁は就業準備のための『一時的なもの』と説明するが)「休んだ」青年層は「欲しい仕事を見つけるのが難しくて」(30.8%)、「仕事がなくて」(9.9%)などの理由で休んだと答えている。自分の目の高さに合った雇用がなく、一時的でない理由で就職準備をあきらめたという意味になる(マネートゥデイ)・・>>
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・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年5月2日)<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・準新刊(2023年12月21日)、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・既刊として、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>(2023年7月29日)も発売中です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。その際の、自分なりの持論に関する本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。