韓国メディアに相次ぐ中国関連記事・・「長期的には中国が勝つかもしれない」「なぜ中国の景気対策はすごいのか」

「安米経中(安保は米国、経済は中国)」については、右も左も概ね同じスタンスです。言い方というか、表現が異なるだけです。昨日の記事ですが、朝鮮日報(朝鮮BIZ)が中国関連記事を載せたので、紹介します。こちらは安米経中な内容はありませんが、基本的には中国の経済政策を褒める内容で、中国の景気鈍化についての指摘が多いけど、実は韓国景気のほうがきびしい、このままだと、中国に追い越されるのではないか、そんな内容です。保守メディアが書いた記事という点も含めて、中国という存在に対して、韓国側が抱いている複数の考え方を垣間見ることができる内容でもあります。いわば中国をベンチマークしよう、とったところです。

やはり中国はすごい、と思いたくて仕方がないけど、「まだ私たちが先を行っている」という考えも捨てられない、そんなところが、です。記事は中国を「一つのチームとして動いている」としていますが・・どうでしょうか。日本や米国のような国がある政策で「国が一つのチームになったように」動くなら、わかります。TSMC熊本工場のとき、日本の動きがちょうどそんな感じでした。しかし、中国は単に『上から下への伝達』が一元管理されているだけではないでしょうか。同時に記事は、ユン政権の経済政策についても、「なぜ中国のようにできないのか」と迂回的に不満を表しています。保守側だからか、具体的な内容は書かれていませんが、この前の「スーパースター」発言のように、自画自賛だけではないのか、と。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・秋あたりから中国政府の動きが顕著に素早くなった。全世界の金融機関が中国の成長鈍化を憂慮し、景気浮揚策の必要性を無数に指摘しても、動かなかった中国政府だった。だが、下半期に入って今年の成長率目標値である「5%内外」達成が不透明になると、一週間、長くても半月に一回は各種対策を注ぎ始めた。 9月末から今月初めまでに発表された浮揚策の規模は数千兆ウォンに達する。金額に換算できない措置も多い。ドナルド・トランプ元米国大統領の再選の可能性を念頭に置いて、早くから周辺国の管理に突入したのだ。特に米国との同盟強化に反発して壁を築いてきた韓国、日本、オーストラリアなどに力を入れている。韓国に一方的に観光・事業目的のビザを免除してくれたのに続き、前任よりも高い「級」の人を駐韓中国大使に内定したのが代表的だ。世界最大の貿易国である中国が先に手を差し出し、韓国など各国では中国と協力して実利を得なければならないという世論が形成されている・・

 

・・中国は常に自国の状況に対して「すべてがうまくいっている」と自話自賛するが、実際の水の下では激しく動いている。最近続けて出した政策面を見ると、中国がどれほど危機意識を持っているかを体感できる。中央政府の指示の下、各省庁と地方政府が一貫して政策施行に乗り出しているのを見ると、国家の未来のために文字通り「ワンチーム」に動いていることが分かる。長い間不振だった消費が少しずつ蘇り、不動産も底を打ったという分析が出ている。中国経済が崖っぷちだとの指摘があるが、成長が鈍化しているという側面だと韓国もそうで、むしろもっと厳しい・・・・中国は米国をはじめとする西方国家の牽制に対抗して各種先端産業を育成しており、その結果、電気自動車・バッテリー・クリーンエネルギーなどで続々と勝機をつかんでいる。韓国はそれでもメモリ半導体で先頭を維持しているが、これさえも競争国が追いついてきて、市場が縮小している。

来年トランプ政権が始まると、中国がもっとも影響を受けると言われているが、今の経済の基礎体力を考慮すれば、韓国が受ける影響が大きい可能性だってある。公約通りなら、韓国の対米輸出品に10~20%普遍関税が適用されるだろう。これに中国産輸入品に60%の関税が課せられると中国内需不振につながり、韓国の中国輸出も影響を受けることになる。二重で衝撃を受けるわけだ。米国大統領選挙以後、韓国証券市場が中国本土証券市場よりも大幅に下がったのも、このような懸念が反映されたのだ。それにもかかわらず、韓国では中国と同じくらいの緊張感を見つけるのが難しい。

 

ユン政権では、各省庁と与党ともに成果広報に余念がないことが、これを物語っている・・・・中国のように褒めるのは褒めながらちゃんと行動に出ればいいのに、そうでもない。経済活力を引き上げることができる強力な政策、トランプ政権の登場に備えた先制的な対策が、目立たない。緊急事態であるだけに、野党も経済部門だけは力を合わせなければならないとか、そんな考えもないように見える。世界は不確実性の時代に置かれている。難しい状況であるほど、一つになって素早く動く国と、そうでない国とでは、未来が明らかに分かれる。このままだと、私たちを駆け抜ける中国の後ろ姿を見ることになりそうでこわい(朝鮮BIZ)・・>>

これは他の保守系メディアも同じで、「同盟も気にしない米国優先主義が続く場合、米国の国際的地位は弱化するだろう。この場合、米国は中国との短期的には勝てても、長期的には負ける可能性がある」という記事もあります(16日、中央日報の週刊誌中央サンデー)。「国内の一部ではトランプが中国とのデカップリングを公約として掲げたので、自由民主陣営で韓国が製造業で有利になる好機を迎えたという主張を広げた。また、米中の間であいまいな態度を取るのはいけないとも言う。もうアメリカ側に付く時が来たとも言う。しかし、米中関係がそんなに簡単にデカップリングできるものなのか?」、などです。結局は、いわゆる「戦略的あいまいさ」になるのが、まだまだ衆論のようです。

 

 

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