一昨日と昨日、多くの首脳会談関連ニュースがありました。APEC首脳会議での首脳会談だったので(多国間会議での首脳会談は時間が短く、既存の議題の再確認だけの場合が多い)さほど話題になった内容はありませんが・・中国は日本、韓国に対して『自由貿易』を主張しました。APEC演説のときもそうですが、日本、韓国との首脳会談でも同じことを主張しました。自由貿易というワードは、自由民主主義陣営、特に米国が推進しているサプライチェーン再編に対する『反対語』として中国側がよく使います。この件について日本・韓国メディアの記事を調べてみると、日本と韓国の反応に結構な差があります。
韓国で開かれた前回の日中韓首脳会談のときも、中国と韓国はこの件に熱心で、ユン大統領は中韓FTA拡大などを議題としたものの、岸田総理はこれといって反応しませんでした。それからも、韓国政府はこの自由貿易を強調するようになり、中韓FTAの強化とともに、政府ブリーフィング、通商政策ロードマップなどで核心的な内容として取り上げてきました。今回も日韓の反応は結構異なっており、韓国メディア(記事によりますが)は、「再確認した」、「共感帯」とのことで、FTA強化関連でも、早期に実現するようにした、と。結構盛り上がったようです。韓国メディアの記事も、基本的には「中国側が~と話した」な内容が多いですが、もうちょっと調べてみると、ファイナンシャルニュースの記事などから、中韓FTA、自由貿易関連で両国ともに結構盛り上がったことがわかります。後でこの記事の内容を引用します。
逆に、日本の場合、石破首相がどんな反応を示したかについては記述がありません(韓国メディアにもありません)。NHKになどを読んでみると、「習近平主席は『両国は協力とウィンウィンの関係を堅持して世界の自由貿易体制とサプライチェーンの安定を守るべきだ。世界的な問題や地域の問題で協力を強化して真の多国間主義を実践し、ともに地球規模の課題に対処すべきだ』と述べた」など、~と述べた、~べきだと言った、などの内容ばかりです。ただ、産経新聞によると、石破首相が「戦略的互恵関係の包括的な推進」の維持を表明していることに対し、中国側は「称賛する」と強調した、とのことです。「北京の外交筋は『習政権は『米国べったり』とみなしていた岸田前首相よりも石破首相とは話ができると考えているようだ』と指摘する」、とのことで、まだまだ石破首相がどんな反応をするかは、安心できない部分もあります。以下、<<~>>でファイナンシャルニュースを部分引用します。
<<・・ユン大統領と習近平中国主席がペルーアジア太平洋経済協力体(APEC)参加を契機に2年ぶりに首脳会談を行った。ユン大統領と習主席は経済分野での自由市場などに基づいて両国間の経済協力を行っていこうと意見を集め、「韓中FTA(自由貿易協定)サービス投資交渉」を早期に結びつけることに共感した。特に、トランプ政権発足前の韓中両国が経済的側面で懸念される事案に対する調整で経済分野でウィンウィンを追求するという方向を韓中両国首脳は再確認した。ユン大統領と習主席は15日(現地時間)、首脳会談を通じて経済分野では自由市場、法治、国際主義に基づいて共同の信念を土台に民生を最優先する両国間経済協力を先に行こうとしたと、キムテヒョ国家安保室1次長が現地のプレスセンターブリーフィングで伝えた。
特にキム次長は「韓中FTA問題と関連して、韓中FTAサービス投資交渉を今後加速化して、早期にそれが実るように希望すると、習主席も同意した」とし「ユン大統領もこの問題に対して肯定的な進展を希望する」とした。来年が韓中FTA発効10周年を迎えるだけに、韓中FTAサービス投資交渉という残りの課題を早急に仕上げようということだ。次長は「それは高水準の対外開放を通じて韓中両国が共に発展を図ろうという意味になる」とし「韓国と中国の経済協力が両国ともに、両国国民に利益になるように一緒に作っていこうという意味」と説明した。トランプ政権の発足をはじめ、国際情勢の変化に対応するための韓中両国の考えも今回の首脳会談に反映されたという評価だ。保護貿易を主張するトランプ政権を意識し、韓中両国首脳は自由貿易の必要性と活性化に共感を持っていることを世に知らせた。これは、経済分野においては、対外開放において両国の共通点が確実だと知らせ、「韓中FTAサービス投資交渉」を意図的に強調したものだと思われる(ファイナンシャルニュース)・・>>
ちなみに、今回、石破総理もユン大統領もトランプ氏と会うことを期待していたとのことですが、トランプ氏は「就任前には首脳と会わない」という方針だった、とのことです。読売新聞によると、「トランプ氏陣営が来年1月の正式就任まで原則として外国首脳に会わない方針を決め、日本側に伝えた」、と。2016年には就任前に当時安倍総理と会っていたけど、今回は会わないことにした、とも。本当にそれだけなのか、それとも・・
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