最近、株式市場関連ニュースが大幅に増えたものの、各メディアの内需関連の経済関連記事も相変わらずです。第2金融圏の家計ローンが大幅に増えているとか、内需不況で自営業者が大変だとか、やっと不動産PF(プロジェクトファイナンス)に自己資本比率を20%以上にすると決めたとか、青年雇用及び40代雇用が大ピンチだとか、いつもの内容です。PF関連は、「プロジェクト」だけを担保にして、自己資本5%にもならない施行社(プロジェクト総括会社)がほとんどでしたが、これを20%まで増やすという内容です。確かにこれだと今までよりは安定するかもしれませんが、それだとPFそのものが成立しなくなるのではないか、そんな気もします。今日は、その中から『小商工人の廃業』関連を取り上げてみます。
経済関連ニュースの中にも特に話題になったものが、7月の「小商工人100万人廃業」関連でした。経済記事は単に政権批判のコメントばかり目立ちますが、この記事はもっと広い範囲で話題になり、国会議員や経済専門家たちもよく引用するようになりました。本ブログでも7月16日に取り上げたことがありますが、ちょうど中国で「上半期だけで100万店が廃業」というニュースが流れてた頃、韓国でも2023年に100万人の小商工人が廃業した、というニュースがありました。
当時、各メディアは「自営業者」と報じていましたが、詳しくは、「2023年に廃業した自営業者・小商工人」が100万人だった、というデータです。小商工人とは、自営業者より広い範囲で、常時勤労者5人未満(製造業など一部業種では10人未満)のことです。廃業数は、詳しくは98万6000人ですが、廃業したとちゃんと届け出た人だけの数字なので、実際はずっと多いのではないか、と各メディは指摘しています。不景気、金利高、新型コロナ対策として支援されていた分がなくなったこともあって、2003年から関連データを作成して以来、もっとも多い数字でした。で、ここからが今日の国民日報の記事ですが・・意外なところに着目して、去年より廃業が増えているのではないか、という内容です。
それは、政府が支援する「店舗撤去費支援」の数です。もちろんすべての廃業に支援されるわけではありませんが、政府が店舗撤去費用を支援する制度があります。3,3㎡単位で13万ウォンまで、または全体で250万ウォンまでの支援で、去年は2万件でした。今年、政府はこの予算を22000件まで増やしましたが・・10月時点で、すでに22000件が全部なくなってもう予算がない、とのことでして。去年2万件だったので、今年はもっと多いのではないか、そんな趣旨です。今年は100万人を超えるのか・・といったところですが。記事は、「いったい、通りの店(小さな店)がどれだけ消えたのか」という題です。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・今年1~10月に廃業小商工人に支援する店舗撤去費事業の申請及び支援件数が、すでに昨年の総件数を超えたことが分かった。割り当てられた予算も今年を2カ月余り控えて、すでになくなり、申請の受付も終了となった。17日中小企業ベンチャー部によると、先月まで店舗撤去費の申請件数は4万1220件、支援件数は2万4831件だ。昨年全体の申請件数(3万247件)と支援件数(2万2404件)を超えた数値だ。今年割り当てられた予算547億ウォンもすべて使い果たし、7日に申請受付が終了した・・・・政府は今年、店舗撤去費支援対象(2万2千件)、昨年(2万件)より10%増やした。廃業する小商工人が多いというのは、内需不振がそれだけ深まっているという意味だ・・
・・これまで「景気回復の流れが続いている」と評価していた政府も、スタンスを変えつつある。企画財政部は15日、「最近の経済動向」を発表し、「最近韓国経済は物価安定の勢いが拡大する中、緩やかな景気回復の勢いが続いているが、国内外の状況変化による不確実さが存在する」と診断した。5月からずっと書いてきた「内需回復の兆し」という表現が入らず、代わりに「緩やかな景気回復勢」に変えたのだ。7~9月期実質国内総生産(GDP)成長率が0.1%にとどまり、主要機関が今年韓国成長率見通しを相次いで下方修正する状況を反映したものだ(国民日報)・・>>
自営業者、小商工人、そして個人事業者(一般的に自営業者にはカウントしない代理運転や配達バイク営業などもすべて含めだもの)関連のニュース内需を表すデータとして注目されるのは他の国でも同じですが、自営業者が総就業者の20%(6月19.7%、多いときは25%超えたりします)になる韓国では、特にそうです。このままだとちょっと短いので、9月23日に取り上げた個人事業者関連データを紹介して終わりにしたいと思います。
企画財政委員会所属与党議員が国税庁から受け取った資料によるものですが、2022年基準、個人事業者総合所得税申告分1146万4368件のうち、860万9018件(75.1%)が月所得100万ウォン(年1200万ウォン)未満でした。所得が全くないという「所得0ウォン」申告分も94万4250件(8.2%)。申告分なので実際の所得とは異なる可能性。集計期間が新型コロナ期間だったこと(2022年分)などなどを考える必要があるでしょうけど、それでもかなりのインパクトで、このニュースも結構話題になりました。このように、内需不況はすでに結構前から続いているわけですが・・引用部分にもありますが「回復」という言葉が政府発表にずっと付いていたこと。これがもっとも大きな問題ではないでしょうか。14日の「スーパースター」発言もそうでしたが。
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