7月9日に本ブログでもお伝えしましたが、韓国も来年から超高齢化社会に入りました。「65歳以上の人口が、早ければ6月中に1000万人を突破、来年初めには人口の20%が65歳になる超高齢化社会に進入する」(文化日報、6月12日)、と。5月基準で全国65歳以上の人口は995万4395人でした。そんなこともあって、朝鮮日報が、日本の高齢者のためのバリアフリー文化を取材、記事にしました。10月29日に掲載されたものですが、少し短いバージョンが11月18日にまた掲載されました。タイトルが「10年後の私たちの姿(※現在日本の高齢者人口は30%で、10年後には韓国もそうなると言われています)東京を散策してみた」から、11月18日版には「日本がどうして椅子王国になったのか(※エレベーターに椅子が多いことで)」に変更されています。
内容は同じなのにちょっとタイトルが韓国メディアっぽくなりました。また、10月版にはあった「未来の車はエコ車でもなく、日本車だ(高齢者のための設備が充実していることで)」という文章もなくなっており、ひょっとすると日本を褒めたことでなにかあったのかもしれません。で、内容を読んでみると、超高齢化社会である日本は様々な配慮としてのインフラに満ちていて、とても素晴らしいというものですが・・私には、これが「単に高齢者のためのこと『だけ』ではないだろう」と思いました。人全般のための配慮が、そんなインフラを生み出したのでしょう。なにせ、私がこの記事を真っ先に思い出したのが、賃金未払い問題です。実はあれも『人(人が働くという行為そのもの)』を重要視しない認識が問題の根本だと言われています。そういうのもまた、人に対してどう思っているのかによるもの、でしょう。以下、<<~>>で引用してみます。10月29日版です。
<<・・日本は現在655歳以上の人口が全体の30%だ。韓国は10年後の2035年に日本のようになる。日本で65歳以上の人口が20%を越えたのが2005年だ。つまり今の韓国は、日本の20年前であり、今の日本は韓国の10年後だ。世界的に早い高齢化であらゆる社会現象と問題を経験した日本だが、彼らが20年にわたって経験した社会変化を、私たちは10年で経験しなければならないわけだ・・日本は椅子王国だ。大勢の高齢者が外を歩くから、あちこちに座って休むことができる椅子がある。エレベーターの中にも椅子がある・・路上横断歩道の入り口には高齢者用ボタンがあるが、押すと歩行者緑灯信号が1.5倍長くなる。タクシーに乗れば座席の前に取っ手が大きくかかっている。
それを掴んで引っ張って起きれば、降りるときも楽だ。バスに乗れば、手の届くところに取っ手がある。高齢者の転倒事故が多いからだ。市内バスは時速30㎞で走る。次の停留所に降りようと、あらかじめ下車のドアに向かって動くと、運転手が動かないようにと言う。乗客が降りて、乗って、席に座った後、バスが出発する。時速60㎞以上で走るソウルのバスは、東京基準でバス・レースに近い・・・・挙動が大変な高齢者を車に乗せるとき、乗る5分、降る5分で済む。日本にはボタンを押すと座席が車外に出て、ボタンを押すと中に入るトヨタ、ホンダの車などがある。サイズが小さい車両でも、後部座席に車いすが入るように設計されたものが多い。未来の車は電気車、水素車だとみんな言うが、私が見るには「日本車」だ。動く超高齢社会になるには、誰でもどこでも歩き回ることができるバリアフリー社会にならなければならない・・
・・日本にはこのような大人たちの遊び場が多い。高齢者が集まって活動する、いわゆるサロンが多く、その数が6万以上だ。読書、囲碁など趣味を共有する高齢者グラブは全国に10万以上あり、会員数は600万人に達する。自宅で一人で過ごすのは大変で、病院に入院するほど深刻ではない高齢者が集まる小規模多機能住宅が5000軒余りだ。家と病院の中間の存在で、私たちにはそんなものは一つもない。医師と看護師が挙動不便な高齢者の家を訪ねる訪問診療と看護は年1000万件以上行われる・・
・・日本では、社会的引退者たちに「登山に行くのも良いが、登山に行って来てから何をするかがより重要だ」と言う。「共に過ごすなら韓国人だろう!」と思うかもしれないが、私たちがともに過ごすのは学校の同窓、故郷の友人、職場の仲間などが中心だ。そういうものは、75歳を超えると弱くなる。近所中心に適合したインフラを作るのが今後の宿題だ。韓国社会は未来をあらかじめ準備することはできないが、何でも「すぐそこまで迫っている」となると、上手くできると思う。もう超高齢社会が迫った。そろそろ動いて、適切な親高齢社会文化とインフラを作っていこう(朝鮮日報)・・>>
引用部分にはありませんが、日本には、ミュージッククラブなどを利用する高齢者も多い、自分の趣味を持つ高齢者も多いという内容があります。この趣味を持つことは、特に重要ではないだろうか、そう思いました。推し活とかも、やりすぎない限り、とても肯定的なものでしょう。ただ、書かれている内容全てが、「迫るとうまくできる」としていいものとはとても思えません。
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