韓国では、住宅価格に関するデータが公表され、複数のメディアが結構大きく取り上げています。なんか、資産家の住宅と、そうでない人の住宅が、40倍以上も価格差があり、しかも資産家は複数の住宅を持っている、とのことでして。個人的に、『平均的に見て、一般の人が買えないほど住宅価格が高すぎる』のは大きな問題だと思います。ただ、高いものが高く、安いものが安い(その間に多くの選択肢がある)なら、それは別にいいじゃないだろうか、とも思っています。しかし、不動産共和国、アパート(マンション)共和国とまで言われている韓国。社会雰囲気というか、もともとこういうものに反応しやすいこともあって、かなり話題になっています。
資産の多くが不動産だとか、家を担保にしてまた家を買う人が多いとか、そんな話が出てきてから久しい今日この頃。ある意味、データで示されたとでもいいましょうか。ソウル経済(18日)、SBS(19日)、韓国日報(別のデータ、10月6日)が紹介するデータによると、資産額基準で上位(資産が多いい)10%の住宅と、下位(資産が少ない)10%の住宅価格は、40倍も差がある、とのことです。特にすごいのは、上位1000人が、「5年間で」家を4万軒も購入した、という部分です。ネットでは「実際に感じるのとデータが合わない(もっと差が大きい)という話もありますが・・住宅の価格差よりも、所有している家の数のほうが気になります。また、資産という言葉がよく出てきますが、内容的に「純」資産ではないので、上位10%という人たちには家計債務がどれくらいあるのかも気になるところです(債務を繰り返して家を複数購入する場合、資産より債務がきになりますので)。さすがに統計庁の住宅平均価格データなので債務までは出てきませんが。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・昨年、住宅資産の上位10%の世帯が保有した住宅資産価額が12億5000万ウォンを超えたことが分かった。18日、統計庁が発表した「2023年住宅所有統計」によると、昨年住宅を所有した世帯の平均住宅資産価額(公示価格基準)は3億2100万ウォンで、2022年(3億1500万ウォン)より上昇した。世帯当たりの平均所有住宅数は1.35軒、平均面積は86.6㎡だった。所有した平均世帯主年齢は57.3歳、平均世帯員数は2.55人だった。資産価額基準上位10%世帯の平均住宅資産価額は12億5000万ウォンと集計された。これは2022年より約4000万ウォン増えた数値だ。一方、下位10%の平均住宅資産価額は2022年より100万ウォン増えた3100万ウォンにとどまった。
住宅資産価額の格差は40.5倍に達した。少数の富裕層が高価な不動産を買う現象が今回の統計調査でも確認されたという評価だ・・・・実際、すべての住宅保有世帯のうち、公示価格が12億ウォンを超える住宅に住む世帯の割合は3.5%に過ぎなかった・・・・住宅資産価額上位10%が保有した住宅数は平均2,37軒で、下位10%(0.98軒)より約2.4倍多かった。住宅面積も上位10%(115.4㎡)が下位10%(63.3㎡)より1.8倍広かった(ソウル経済)・・>>
で、「1%はどうなんだろう」と思って調べてみたら、10月に韓国日報が記事にしていました。上位1%の住宅価格は平均で29億4500万ウォン、平均で4.7軒の家を所有しており、上位1000人が4万軒も家を所有している、とのことでして。しかも、これは「5年間に購入した分」だけです。さすがに明らかに「貸す」目的だと思われますが、なにか他に理由があるのでしょうか。続けて引用してみます。こちらは国会議員が統計庁データを分析したもので、2022年データです(先の記事より1年前)。
<<・・2022年の住宅所有世帯のうち、資産(2023年1月1日公示価格)基準上位1%世帯の住宅価格は、平均29億4,500万ウォンだった。前年(34億5000万ウォン)より14.6%減少した水準だが、4年間で着実に増加してきた。上位1%が所有する住宅数は平均4.7軒で前年(4.6軒)より小幅増加した。住宅所有世帯の平均住宅数(1.3軒)の3.5倍水準だ。上位1%の平均所有住宅数は2017年5.5軒から2019年4.9軒などに減少する傾向だったが、2022年には増加した。居住地域別にみると上位1%世帯の72.3%がソウルに住んでおり、京畿(16.9%)、釜山(2.9%)、仁川(1.2%)、大邱(1.2%)の順だった・・・・最近5年間、住宅購入が多い上位1,000人が、計4万1,721件(6兆1,474億ウォン)の住宅を買い入れたことが分かった・・・・もっとも買った人は、5年間に住宅を793軒を買い入れた。買収金額だけが1,157億8,960万ウォンに達した。2位の人は710軒を1,150億7,960万ウォンで買った(韓国日報)・・>>
引用はしませんが、同じことを扱っているSBS(19日)は、金融機関の不動産首席委員の言葉として、(※今年になって不動産価格が回復したという話もあるが)超高価マンションを中心に住宅価格が大きく上がったので、住宅価格の差はさらに広がるだろう、としています。不動産価格が振るわなかった地域では、既存の価格よりも安くで取引されたものが多い、とも。2024年になってから各メディアが不動産価格が回復していると、見方にもよりますが「なんで買わないのか」という趣旨の記事を結構載せましたが・・実際はそういうものだったのでしょうか。またSBSは、『債務で投資した人は資産は高くなり、そうでない人の資産は振るわない現象がどんどん深くなっている』としています。そう、問題は、その住宅資産が債務で購入したものではないのか(その可能性が高い)、といった部分。そこが、もっとも注目すべきではないでしょうか。
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