経済関連ニュース、ちょっと長くなるけどいくつかまとめてみたいと思います。前に、◯月危機説という話が頻繁に出てくることで、「どこまでは本当なのかはわからないけど、こういう話がここまででてくること、それ自体が問題ではないのか」という趣旨を書いた記憶があります。市場そのものが不安定で、市場が信頼されていないから、こんな話が頻繁に出てしまう、それがもっとも大きな原因ではないだろうか、という意味でした。こういう話は、企業関連でも出てきます。いままでいくつかの大企業に流動性リスクの話が出て、大当たりしたものもあるし、ただの噂にすぎなかったものもあります。
泰栄建設などは、こういう話が出てから実際に問題が起きて、大きな話題になりました。いまでもPF(プロジェクトファイナンス)事業だけで50件近くが残っているということで、まだまだ解決されたとも言えません。そんな中、17日~18日頃、ロッテグループに関する話がありました。借入金が返せそうにないとかそんな話で、系列社の株価がいっせいに下落、ロッテグループが「不動産・預金合わせて71兆ウォンもある」と声明を出すなど、結構大きな騒ぎになりました。ネット上ではいろいろ大げさな話が出ていますが、論拠があるのは「ロッテケミカル」の収益低下あたりです。
建設などで大きな影響を受けたロッテグループの現在のキャッシュ・カウ(金のなる木、韓国経済TV21日報道原文ママ)とされるロッテケミカルという会社がありますが、社債返済に問題が起きていて、2兆ウォンを早期償還することになるかもしれないというニュースも出ています。21日のアイニュース24などによると、ロッテケミカルの公募社債2兆450億ウォンで「期限の利益喪失事由」が発生した、とのことです。同社債の発行契約には、3カ年累積EBITDA/利息費用5倍以上を維持しなければならないという財務約定が締結されていたけど、これを守ることが出来なかった、とのことでして。
「6月31日にもみずほ銀行などから調達した長期借入金22595億ウォンに対してもEBITDA/利子費用5倍の財務約定が守れなかった。当該借入金については7月31日、財務約定未充足に対する請求猶予(Waiver)を受けた」、とも。先も書きましたが、さすがにこの件でグループが揺れるほどのことにはならないでしょう(社債評価などで確実に影響は受けるでしょうけど)。でも、まったく根拠がなかったわけでもないのかな、そんな気もします。こういう大企業関連の話が何度も出てきて、またそれに合わせて市場が揺れるのも、市場や企業への信頼が関わる問題ではないでしょうか。
では、次のニュース(テレビ番組のまね)。これももう何度目なのかわからない内容ですが、20代と40代で「働き口」が大幅に減少しています。四半期基準だと、最大の減少幅だそうです。ソウル新聞(21日)の記事です。20代の場合は人口減少の影響もあるでしょうけど、だとしてもスピードが速すぎで、反騰する兆しが見えないというのが一般的な見解です。うろ覚えで恐縮ですが、ハムナプトラ2という映画に、ミイラが動きながら儀式を行うのを見た主人公が「(前作などで何度も見てきたので)数年前にはね、ああいうのを見ると驚いたよ」と話すシーンがあります。この雇用関連も、もうこれだけでエントリーするわけにもいかず、まとめる形になりました。
<<・・統計庁が20日に発表した「4~6月期賃金労働雇用動向」によると、同期間全体賃金労働雇用は昨年同期より25万4000件増えた。新型コロナが始まった2020年4~6月期(21万1000個)以降、もっとも少ない数値だ・・・特に青年層と40代の雇用が大幅に減少した。20代以下の雇用は四半期基準で7期連続で減少を続けており、4~6月期には13万4000個減った。関連統計集計を始めた2017年以降、最大幅の減少になる。40代も最大の幅である5万6000個の働き口が減少した。一方、60代以上(26万1000個)と50代(12万4000個)、30代(5万9000個)では、増えた(ソウル新聞)・・>>
次、もう一ついきます。久しぶりに家計債務関連です。10月まで家計債務が大幅に増加して、いよいよ2000兆ウォン時代が見えてきたとかそんな話もありますが、これは10月~11月あたりから銀行(第1金融圏)を中心に個人向けローンのハードルを上げたり、満期を短くしたりしたからです。そうなる前にとにかく借りておこう、という需要があったのでしょう。これからは(本ブログもそうですが一部の経済メディアは、これまでもこの側面をもっとも強調していましたが)金額の増加よりは、銀行で借りられなかった人たちがどうなるのか、貯蓄銀行など第2金融圏、合法貸金業者である第3金融圏がどういう役割を果たすのか、それでも借りられなかったら、いままで盛大に行われていた自転車操業はどうなるのか。そんなところに注目したほうがいいでしょう。最近は、カードローンが話題です。
ダウムネット百科事典の説明だと、「カードローンとは、クレジットカード会社またはクレジットカード会社と業務提携を結んだ銀行で、カード会員を対象に本人の信用度とカード利用実績に応じてローンを行う商品である。長期カードローンとも呼ばれる。急銭(※生活費など少額の資金)が必要なとき、銀行のハードルを越えられない人たちが、高金利にもかかわらず求めるローンの形である」となっています。
9月時点で平均金利は(カード会社によって)14~15%で、1000点満点の信用スコア(韓国には誰にも信用スコアというものがあり、スコアが高いとローン金利などが比較的安くなります。前は信用等級と呼んでいました)が700点未満の人の場合、17%を軽く超えるとのことです。数年前までは、700点だと、金利が高くても銀行でのローンを利用できたはずですが・・やはり、最近はハードルが高くなったようです。上限金利が20%なので、多分、それより低いとカードローンすらも借りられないのでしょうか。ソウル経済(20日)の記事によると、そのカードローン残高が42兆ウォン、円にして4兆3千億円ぐらいまで増え、これもまた最高記録だそうです。
<<・・先月、カードローン残高が42兆ウォンを超え、最大規模に達した。金融当局の家計ローン管理強化基調によって市中銀行(※一般的に際1金融圏、普通の銀行のこと)が融資のハードルを高め、庶民の資金需要がカードローンに大挙移動したものと見られる。20日、与信金融協会によると、9つのカード会社の10月末のカードローン残高は42兆2201億ウォンで、1か月前の41兆6869億ウォンに比べて5332億ウォン増えた。既存の最大規模だった8月末(41兆8310億ウォン)を超え、最大規模だ。先月末基準NH農協カード以外の専業カード会社8社のカードローン平均金利は年14.4%で、金利が高いほうだったが、需要が急増し、全体規模も急増した(ソウル経済)・・>>
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