来年、日韓外交正常化60周年関連でさまざまな話が出ています。もっとも多いのが、新しい日韓共同宣言についての話です。これは文在寅政権から同じ話がありました(公式発表されたことはありません)。「一緒になにかを言う」というより、日本に「言わせる」、すなわちなにかの言質を取るためのものでしょう。9月12日「いまこそユン大統領の国賓訪日を」という主張を紹介しましたが、これも「60周年」を名分にしています。ただ、目的はすべて同じだと言えます。他にも様々な案件が出ていますが、昨日の韓国日報によると、また一つ60周年ネタが増えました。韓日議員連盟のジュホヨン会長が、東京での「修交60周年特別企画新しいビジョン・相互利益の模索」というフォーラムに参加、「来年こそ、日本の外国人参政権(地方選挙での参政権)問題を解決すべき」と話しました。
まず、この件でもっとも重要なのは、『日本のことを日本が決める』ことです。最高裁判決などが出ている時点で、これが揺らぐとは思えません。しかし、こういう話を持ち出し、「相互」と言いつつ、明らかにそうではない話を「すべき」としながら進めている動きがある以上、油断はできません。韓国は、永住権を取得して3年以上暮らした人なら、外国人でも地方選挙で投票できます。アジアでは初めてだと言われていて、韓国ではこれを民主主義発展の根拠だとする声もあります。しかし、これにはちょっとした『オチ』があります・・が、ちょっと後にして、まず韓国日報の記事を<<~>>で引用してみます。
<<・・韓日議員連盟会長の朱豪英(ジュホヨン)国会副議長が、在日同胞の宿願事業である「外国人参政権」問題を解決するという意志を表わした。来年韓日国交正常化60周年を、権利強化の画期的な年にするよう、国会レベルで努力すると明らかにしたのだ。副議長は26日、東京ニューオータニホテルで「韓日修交60周年特別企画:新しいビジョン、相互利益の模索」というテーマで開かれた2024コラシアフォーラムで、「在日同胞が日本地方選挙で投票権を持つことができるように、日本国会議員たちと話してみようと思う」とし、このように言った。彼は引き続き「大韓民国は外国人でも住民資格で地方選挙で投票する権利を付与する」とし「(投票権は)国際法上普遍的原則であり、相互主義の枠組みでこの問題にアプローチしなければならない」と強調した(韓国日報)・・>>
まず、これを「相互主義」と言っていいのかどうかについて、韓国内でも反論があります。外国人参政権といっても、一つの国の人だけに与えられるわけでもないのに、それを相互といっていいのか、というのです。この議論はともかく、相互主義を言うなら、まず言うべき相手は中国でしょう。ジュ副議長は明らかに韓国を意識して地方選挙での外国人参政権を主張していますが、いざ韓国の法務部(法務省)は、地方選挙権が中国人に集中され過ぎだという理由で、この法律の改編(条件の厳格化)すべきだとしています。2022年11月30日東亜日報の記事によると、韓国で地方選挙権を持っている外国人は12万7600人いますが、その中の9万9900人が中国人だ、とのことでして。このことで、法務部が改編すべきだという意見を出したわけです。ちなみに、中国は外国人参政権を認めていません(というか、国民もほぼ参加できない)。こちらも引用してみます。
<<・・法務部が国家間の相互主義原則に基づき、韓国に居住する外国人永住権者に関する地方選挙投票権を改編する必要があるという意見を明らかにした。もし法務部の意見通りに改編がなされれば、(※2022年)6月の地方選挙で投票権を持っていた約10万人の中国人は、次の地方選挙では投票権を行使できなくなる可能性もある(※まだ改編されていません)・・・・議員側が「外国人参政権を相互主義により廃止する方案を検討しているか」と法務部に質疑した結果、法務部はこのような意見を明らかにした。法務部は回答で「法務部は国民の多様な意見を集めて先進化された移民政策の体系的推進のために努力する」としながらも、「現在、3年以上の永住権者に地方選挙権を付与しているが、海外居住韓国国民はほとんど海外で選挙権のない。この問題を解決するために、海外先進国の永住権制度を参照、相互主義を原則として永住制度改編を推進する必要がある」と述べた。
現行法上、永住権者は大統領選と総選挙では投票権を行使することができないが、地方選挙では投票権を行使することができる。法務部がこのような基調によって、国内に3年以上居住した永住権者に地方選挙投票権を与える公職選挙法の改正を実際に行う場合、今後地方選挙では外国人投票権者の多くが投票権を失うことになる。代表的なケースが中国だ。韓国が3年以上居住した中国人に地方選挙投票権を与える一方、中国は外国人永住権者に投票権を許可していない。中央選挙管理委員会によると、いままでの地方選挙で外国人有権者は12万7623人で、ほとんど(9万9969人・国会予算政策処3月末推算)が中国人だ(東亜日報、2022年11月30日)・・>>
本エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年5月2日)<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・準新刊(2023年12月21日)、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・既刊として、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>(2023年7月29日)も発売中です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。その際の、自分なりの持論に関する本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。