韓国メディアの半導体関連記事が増えたのは、もう目新しいことでもありません。TSMC熊本第一工場が開所式をした頃から一気に増えて、日・米・EUなどの補助金、政府の通商政策内容、サムスン電子の株価関連などなどがあり、ずっと多くの関連記事が掲載されました。ちなみに、まだまだ大きな話題になっているサムスン電子の株価ですが、かなりの株式消却を行って立ち直るように見えたものの、それからまた下落し、株式消却前の株価に戻ったと聞きます。それらの中でも特に強調されているのが、政府補助金です。本ブログで取り上げた各記事も、結論部分は「だから、政府は早く補助金を」になるものばかりでした。
中には各国の補助金を「WTOがちゃんと仕事をしていたら、こんなことにはならなかったはず」と、批判的に書くメディアも少なくありませんでした。しかし、いざ米国のトランプ大統領(当選者)が補助金を見直すと言ったら、なんでそんなことをするのか、できるはずがないのでは、そんな記事が一気に増えました。27日の東亜日報の記事などがそうです。他にも、今日の中央日報など、大手からネットメディアまで多くのメディアが記事を出しています。サムスン電子とSKハイニックスが受け取る予定だった(米国に工場を建てることで)補助金が約1兆円に及ぶが、まだ受け取っていない、とのことでして。本当に取り消すことができるのか・・については人によって意見が分かれていますが、取り消すのではなく追加で行政命令を出して、事実上の「条件の強化」を行う可能性はある、などなどの話が出ています。
個人的に、両社ともに、中国の半導体工場の心配からしたほうがいいのでは・・な気もしますが。SKハイニックスはともかく、本ブログでも何度か取り上げた(最新のものは9月29日のエントリー)テイラー工場も気になります。サムスン電子がファウンドリー部門での飛躍を掲げ、補助金前提で米国に作っているテイラー工場。次々と思わしくないニュースが出てきます。ファウンドリー半導体で跳躍するために作っている工場なのに顧客社が確保できず、結局はスタッフの多くが帰国した、というニュースが出たばかりです。また、11月4日の記事には、なんとサムスン電子がテイラー工場関連代金をちゃんと支払っておらず、サムスン物産が代わりに支払うために現地で資金を借りている、とのニュースもありました(朝鮮日報系列の資本市場関連メディア「インベスト朝鮮」)。もともとはサムスン物産がサムスン電子からもらって、それで払う予定だったのに、まだもらってない、とのことでして。大変ですね、系列会社も。以下、<<~>>で記事から引用してみます。あと、早めに告知ですが・・明日は1日休みをいただきます。次の更新は、12月2日のいつもの時間(11時頃)になります。
<<・・ドナルド・トランプ次期米国行政府が、半導体支援法上の補助金支給を全面見直と示唆し、サムスン電子とSKハイニックスなどグローバル半導体企業に非常がかかった。サムスン電子とSKハイニックスは、トランプ当選者の大統領就任式が開かれる来年1月20日前までに補助金最終契約を結ぶために、ジョーバイデン政権と水面下で交渉中だった。そんなとき、トランプ当選の側で全面見直しを明らかにしたのだ。トランプ当選者がメキシコなどに対する関税賦課方針を明らかにしたのに続き・・・・これに先立ち、サムスン電子とSKハイニックスは今年、それぞれ64億ドル(約8兆9300億ウォン)、4億5000万ドル(約6300億ウォン)を受けることで米商務省と予備的覚書(PMT)を結んだ。
これは、両側の暫定合意で法的拘束力を備えるためには最終契約を結ばなければならない。問題は、サムスン、SKがトランプ当選者の就任前までに最終契約を結んでも、不確実性は相変わらないという点だ。「DOGE(※政府効率化省)」が最終契約に対して手続き上の問題がないかなどについて調査することを示唆したためだ。財界関係者は「法に基づく補助金だから手のひらをひっくり返すのは容易ではないだろう」としながらも、「トランプ大統領が行政命令などを通じて予期せぬ規制を加えることもでき、不確実性が大きくなった」と憂慮した(東亜日報)・・>>
<<・・サムスン電子の実績不振が、サムスン物産にも影響を及ぼしている。サムスン電子が米国テイラー工場の工事代金をサムスン物産に適時に支給せず、サムスン物産が資金調達に出た、と伝えられている。投資銀行(IB)業界によると、サムスン物産は米国で限度貸出(RCF)と相互融資(バイラテ・ローン)を活用して2億5000万ドル(約3455億ウォン)の調達を準備している。サムスン物産は「検討しているのは事実」とし「ただし、米国法人で安定した運転資金を確保するための目的」と明らかにした。しかしサムスングループに詳しいある関係者は、「サムスン物産が資金を調達する理由は、サムスン電子から米国テイラー工場関連工事代金がちゃんと支給されないからだと把握される」と話した。
サムスン物産の流動性が足りないわけではないが、サムスン電子が工事代金をちゃんと支給しなくて困ることが、たびたび発生すると言われている。サムスン物産の現金及び現金性資産は今年6月基準で4兆1235億ウォンだ。サムスン電子が「財務諸表管理」のために工事代金を支給していないという分析も出ている。工事代金を支給しなければ、それだけ現金を保有でき、短期的に現金流動性が改善されるという説明だ。サムスン電子の現金及び現金性資産は今年6月49兆8444億ウォンで、前の四半期比で27.8%減少した(インベスト朝鮮)・・>>
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