昨日お伝えしましたが、尹錫悦大統領の弾劾案が可決されました。尹大統領は職務停止となり、韓悳洙(ハンドクス)国務総理が権限代行することになります。ですが、東亜日報など多くのメディアが報じていますが、実はそのハンドクス国務総理も内乱幇助で立件状態で、ちゃんと権限代行が遂行できるのかについては疑問も提起されています。野党側には、「国務総理も弾劾対象(弾劾案を出す)」という主張もあります。ちなみに、国会で弾劾案が通ったのは3回目ですが、他にもいろいろあったためか、「国務総理による権限代行」はもう10回目だそうです。ちなみに、韓国では国務総理は『パッとしない人(ある程度仲裁役ができるひと)』が選ばれるとされており、そのためか、『国務総理は大統領にはなれない(あまり人気がない)』とも言われています。
また、米国も政府レベルでは「民主主義の回復力」としながら肯定的に話していますが、ウォール・ストリート・ジャーナルやワシントン・タイムズなどは「リーダーシップの不在」をしてきしており、特に、タイミング的にトランプ政権と重なることが大きいとしています。こちらはデジタルタイムズです。ちなみに、大手メディアは「外国からも褒められている」というニュースばかり載せています。ちょうど前のトランプ政権でも、朴槿恵大統領が弾劾され、文在寅政権がスタートしました。あのときは空白より、むしろ文政権のほうが問題ではなかったのか・・そんな気もしますが、今回もし李在明野党代表が次期大統領になるなら、(控え目に書いて)同じ展開になるかもしれません。以下、各紙から<<~>>で引用してみます。
<<・・尹錫悦大統領に対する弾劾訴追案が14日可決され、ハンドクス国務総理が大統領権限代行を引き受ける。総理権限代行は大韓民国政府樹立以後10回目だ。ただし、警察が内乱の疑いで告発韓悳洙国務総理を被疑者として立件した状態だ。ハン総理の他にも、崔相穆経済副首相兼企画財政部長官など長官9人、国務委員ではないが国務会議に出席した趙太庸国定院長などについても警察が召喚を通報した状態だ。国務総理が権限代行を引き受けて、コントロールタワーの役割を果たすことができるかをめぐっては、疑問が提起される可能性がある。国務委員が相次いで召喚され、国政空白の可能性があるという懸念も出ている(東亜日報)・・>>
引用部分にはありませんが、権限代行でも大統領同じ外交活動をすることはできます。しかし、記事によると「現実的には限界がある」、とのことです。2004年(盧武鉉大統領が職務停止になっていた頃、当時権限代行だった)高建国務総理は、「準・首脳外交」はできたけど、首脳会談は議論もなかった、とも。これは他のメディアにも似たような記事があり、権限はともかく、他国からするとわざわざこのタイミングで重要な会談をする理由がないのでしょう。続けてデジタルタイムズから引用してみます。
<<・・米国の日刊ウォールストリートジャーナル(WSJ)は今回の弾劾は「尹大統領に対する国民の怒りを冷やし、誰が国政を率いるかについての、いくつかの疑問を解決するだろう」と観測した。ただ、ハンドクス国務総理など高位閣僚たちに関して「多様な刑事的調査が進行中」とし、「リーダーシップ空白の潜在的リスクは残っている」と述べた。WSJは早期大統領選挙が行われる場合に、共に民主党のイ・ジェミョン代表が「明確な先頭走者」と紹介した。ただし、李代表も選挙法など5つの裁判を受けていると述べた・・
・・CNNは「ハンドクス国務総理が大統領権限代行になるが、彼も非常戒厳と関連して捜査線上に上がるなど、政治的問題に直面して政治的不確実性を加えている」と指摘した。尹大統領については「検査出身の保守政治家」で「彼は2年余り期間の在任中、低い支持率、大統領夫人と人事の問題などで困難を経験してきた」と紹介した。続いて「韓国が今後数カ月間、2016~2017年、朴槿恵大統領弾劾局面のような政治的不確実性に直面することになった」と診断した。
ワシントンポスト(WP)も「これから、長期的不確実性の期間に突入することになる」と報道した。 WPは、憲法裁判所の弾劾審理の間、韓国は停止状態に入るとし、このような韓国の「リーダーシップ空白」は、米国の政権交代によるドナルド・トランプ米大統領当選者のホワイトハウス復帰と重なるタイミングで発生するとも述べた。続いてこのような権力空白状況は米韓関係で韓国を「弱い側に置く可能性があり、外交・貿易政策と関連した対応能力を弱める可能性がある」という専門家たちの分析を伝えた(デジタルタイムズ)・・>>
先も書きましたが、朴槿恵大統領のとき米韓関係の問題といえば、空白よりも、その後(文在寅大統領)でした。運転者論とか、もう懐かしい話です。米朝首脳会談が2回目で決裂したとき、関西の空港であのニュースを見ていました。大阪城に行ったときだったか、それともレナの着物のために神戸に行ったときのことだったか・・とにかく、あのときテレビニュースに大勢の人たちが注視していましたが、大して驚く人はいなかった(こうなるだろうと思った、な反応)ので、ちょっと笑ってしまった記憶があります。今回は、『星(裁判)5つ』に輝く、文大統領よりもさらに左側政治家の李在明大統領が登場すると・・そう、そんなシチュエーションよりはむしろ「空白」がいいのではないか、そんな気もします。とりあえずしばらくは憲法裁判所の判断待ち、といったところでしょうか。今日の更新はこれだけです。次の更新は、16日(月曜日)のいつもの時間、11時頃になります。
ここからはいつもの告知ですが、久しぶりに新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。新刊は「自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
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