尹錫悦大統領関連では、いずれまた取り上げることになると思いますが・・今のうち(?)に他の件をお伝えします。実は昨日(15日)、家計・個人事業者(すなわち『法人』ではない人たち)債務関連で、今年(10月まで)で延滞者が614万人だというニュースがありました。韓国経済TVなど多くのメディアが報じています。延滞率がもっとも高いとされる第3金融圏(合法の貸金業者)は入らないデータなので、実際はもっと多いと見るべきでしょう。延滞の「件数」でいうと、2146万件だそうです。経済参加人口が約2800万人ですし、第3金融圏以外でこれだから、ニュースにもなるでしょう。
昨日はほぼ全てのメディアが「2万1460件」と報じて(多分、最初に報じたニュース通信社がミスしたため)いましたが、午後あたりからは「2146万件」とちゃんと報じるようになりました。人数で614万人なのに件数で2万1460件のはずないでしょう。また、20代、30代の債務返済能力が、大幅に低下したというニュースもありました。月数百円の利子が払えない人が多く、政府による生計費ローンの延滞率が30%を超えた、とのことでして。こちらはヘラルド経済です。韓国には政府・公共機関が少額の資金を低い利率でローンを出す、各種「政策金融商品」というのがあります。
その中に、少額生経費ローンというものがあります。最近は、延滞経験があったり、ある程度の所得を証明しないとローンを組むのが難しくなっていますが、それでも100万ウォン(約10万円)までは政府が貸す制度です。毎月数千ウォン(数百円)の利子が発生する、とのことですが、それが返せない人が急増し、ついに延滞率が29.7%まで高くなりました。去年末には11.7%でした。特に青年層の延滞率が目立ち、20代が36.2%、30代32.4%という高い延滞率・・というか、いくら政府が出すものとはいえ、ローンとしてはすでに成立しないレベルになっています。複数のメディアが「青年層の債務返済能力が大幅に低下した」「こんなときに弾劾事態まで重なった」などと報じています。今日の「生計費ローン」とは別になりますが、5月23日にもエントリーにも政策金融商品と、その延滞について書いたことがあるので、未読の方は参考にしてください。以下、各紙から<<~>>で引用してみます。
<<・・景気低迷により庶民経済がどんどんくるしくなっていく姿だ。銀行ローン、カードローンなどなどで、延滞した個人借主数は600万人を超え、延滞残高は50兆ウォンに迫った。15日、国会政務委員会所属のキム・ヒョンジョンともに民主党議員室が金融監督院と信用情報院から受け取った資料によると、10月末信用情報院債権者変動情報システムに累積集計された(延滞してから、その延滞が解消された人も含む)延滞個人そして個人事業者の借主数は614万4千人と集計された。彼らの延滞件数は2千146万件、延滞残高は計49兆4千441億ウォンだ・・
・・このような中、大統領弾劾による政局混乱がしばらく続くと思われ、ただでさえ不振な内需がさらに萎縮し、庶民経済が影響を受けると懸念されている。実際、代表的な庶民急銭(※急に必要な少額の資金)と呼ばれるカードローンは残高が先月最多記録を記録した。先月9社のカード会社のカードローン残高は42兆2千201億ウォンで、5332億ウォン増え、8月末の最高記録を更新した。金融脆弱層の債務返済能力が低下すると、制度圏金融(※合法金融機関)ではなく違法金融業者に関する相談も去年に比べて4倍に増加した(韓国経済TV)・・>>
<<・・弾劾政局を迎え、経済にも非常がかかった中、庶民金融商品の延滞率はすでに最高水準に上がった状態だ。15日、国会政務委員会所属・・・・資料によると、低信用・低所得層を対象にした政策金融商品である「少額生計費ローン」延滞率は10月基準で29.7%に達した。昨年末11.7%だった延滞率は、5月20%台に進入した後、急に上昇し、30%突破を目前にしている。少額生計費ローンは、信用評価下位20%以下で、年収3500万ウォン以下の人たちを対象に、延滞があったり、所得の証明確認が難しい場合でも、最大100万ウォンまで当日すぐに貸す制度だ。急銭を求めることができず、違法金融業者のところに流れていくことを防ぐために、金融当局が各銀行の支援で昨年3月に導入した・・
・・高物価・高金利が持続し、景気回復が遅れ、延滞率上昇は金融圏全般で現れる現象だが、この少額生計費ローンの延滞率はその中でも特に高い。容易なローンし構造により借主のモラルハザードを指摘する声もあるが、毎月数千ウォンの利子も払えないほど彼らの借金返済能力が限界に来たという分析も出ている。年齢別に見ると、青年たちの延滞率が特に高かった。20代の延滞率が36.2%で最も高く、30代(32.4%)の延滞率も30%台に達した。景気鈍化の余波に就職難まで重なり、青年層の債務返済余力が大きく下がったと思われる。40代(29.6%)、50代(26.3%)、60代(22.6%)、70代以上(22.6%)など年齢帯が高くなるほど延滞率は低下する傾向を示した(ヘラルド経済)・・>>
多分、同じ資料上のデータだと思われますが、貯蓄銀行(第2金融圏でも代表的なもので、普通の銀行から借りられなくなった人たちはまずここに行きます)でローンを組んだ自営業者の元利金延滞率が9.96%(今年1~3月期基準)、大手に限ってのデータではありますが貸金業者利用者の延滞率が12.6%(去年12月基準)とのことで、個人的にはこのデータのほうが問題ではないのか、そんな気もします。この部分は報じないメディアが多いですが。
ここからはいつもの告知ですが、久しぶりに新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。新刊は「自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
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