盧武鉉大統領のとき、なんでもかんでも大統領が原因だというジョークがありました。たとえば、「ゲームがクリアーできなかった。そのとき、いったい盧武鉉大統領はなにをしていたのか」などです(笑)。さすがにジョーク化していましたが、当時、盧武鉉大統領の支持率がかなり低く、各メディアに似たような趣旨の記事が多かったので、そういう影響もあったと言えるでしょう。2~3年前、日本に関わる半導体関連ニュースが増え、米国側の半導体関連措置がどんどん強化され、中国経済関連でおもわしくないニュースが増えて、そしてサムスン電子の影響力が低下した問題なども重なり、韓国では半導体関連ニュースが大幅に増えました。でも、その記事のほとんどが、さすがに全部読んだわけではないので全部とは言えませんが『ほとんど』が、結局は補助金が原因だ、という結論になります。さきの大統領ネタに似ている気もします。
中身は海外のメディアから得られる情報の引用、日・米・台の関連協力の話、関連した専門家からの指摘などで、そこまで問題があるわけでもありませんが、本当になにもかも結局は「政府は急いで半導体に補助金を」という話になります。半導体関連で、ブログに2つか3つの記事を同時に引用したことがありますが、その際に全ての記事(候補含めて)が最後は補助金の話になって、結論の部分は引用しなかったりしました。良い(?)思い出です。ちなみに今韓国の半導体支援関連法律は、税金控除などはあっても補助金については動きがなく、『政府が直接補助金を支給してもいい』という法律案がまとまっただけです。
そんな中、他の記事とは異なる観点の半導体関連記事がありました。龍仁(ヨンイン)や平沢(ピョンテク)など、大規模半導体関連団地周辺の不動産の動きを見れば、現在半導体が不況であることが見えてくる、という趣旨です。ソウル経済、17日の記事です。去年と比べての基底効果(ベースエフェクト)、HBM(広帯域メモリー)など一部の品目の好調による全体データの錯視効果、そして中国からの物量作戦などで思ったより早く価格が下がったメモリー半導体などなどで、実は韓国の半導体関連って、すでに不況パターンに再進入しているのではないか、そんな指摘は、すでに出ています。あまり話題になっている(認められている)とは言えない意見ですが。そんな中、補助金で完結する話よりは面白い記事だと言えるでしょう。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・半導体不況に宅地返却相次ぐ、平沢・龍仁マンション価格も急落(題)。半導体不況で、平沢や龍仁など半導体前進基地の不動産市場も急速に凍えつつある。サムスン電子など半導体業界が投資縮小、延期を決めたことなどで、知識産業センター、オフィステルなどその周辺地域の商業用不動産は「空室の沼」にはまった。半導体クラスターだけを頼りに供給されたマンション市場も、未分譲が溢れている。16日、不動産業界によると、平沢高徳国際化計画地区に知識産業センターを建設するために、韓国土地住宅公社(LH)と土地契約を結んだA施行会社(※ある建設プロジェクトを総括する会社のこと)が契約金納付後、残金支払を延滞し、契約も解除された・・
・・別の施行会社も110億6500万ウォンで契約を結んだが、同じく支払いが延滞、LHと土地契約が解除された。この敷地はサムスン電子平沢キャンパスから2キロほど離れたところで、サムスン電子半導体工場による間接雇用誘発効果が大きいと期待され、知識産業センターとして脚光を浴び、多くのプロジェクトが進行された地域だ。平沢のある知識産業センター関係者は、「平沢の知識産業センター空室率が50%以上になっている」とし「当初計画より分譲価格が下がり、テナントに入ろうとする企業を見つけるのは容易ではない」と伝えた・・
・・半導体クラスターが入った龍仁も状況は似ている・・・・契約金は分譲価格の5%だが、(※契約がほとんどないため)契約祝賀金という名目で3%を返し、事実上、契約金は2%だけ出せばいいという広報まで出ている。平沢など半導体クラスター付近の商業用不動産市場がこうなった原因は、半導体の業況不振である。最近、サムスン電子は平沢キャンパスに建てようとしていたP4工場などの完工時点を遅らせた。P4工場の一部施設の場合、早ければ今年10月に完工する予定だったが、需給調整に乗り出したサムスン電子が完工時点を来年に遅らせたことが分かった。完工時点が遅くなり、工事のための人たちも抜け出して近隣商圏では売上が減少しつつある・・
・・問題は、平沢と龍仁の半導体クラスター組成が、さらに延期される可能性があることだ。地域住民と環境団体の反発、地方自治体の訴訟などで、工場稼働に必要な電力送電線路の建設が遅れている。龍仁半導体クラスターに必要な液化天然ガス(LNG)発電所の敷地選定も、どんどん延期されつつある。政府が最近、送電線の建設に必要な費用を支援することにしたことだけが幸いだ・・・・(※しかし)これと関連しも、て建設業界のある関係者は「電力などインフラ構築を急ぐことは重要だが、地域住民の反対などが強い」とし「いま、政治的混乱が大きい上、選挙が近づくと半導体支援に対する政策の方向が変わる可能性もあるので、楽観できる状況ではない」と話した(ソウル経済)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、久しぶりに新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。新刊は「自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
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・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年12月22日)<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・準新刊(2024年5月2日)は、<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・既刊として、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中(2023年12月21日)です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。