韓国メディアが見た、「下車感という言葉から見えてくる、経済格差と出生率の関係」

本ブログだけでなく、韓国メディアも無数に報じている、『階級』関連の話。久しぶりに「下車感」という言葉が出てきて、読んでみました。結構前に本ブログでも取り上げたことがありますが、覚えておられますか。記事でも説明していますが(毎日経済11月10日)、下車感とは『車から降りたとき、まわりからどれだけ見られるのか』を意味する言葉です(韓国では車から降りることを下車と言いますが「降車」とは言いません)。高いクルマから降りると、まわりから見られる、それがどこまで「感じられる」のか、という意味です。そして、それが出生率にどんな影響を及ぼしているのか、とも。以下、<<~>>で引用してみます。

<<・・乗車感ではなく、「下車感」というユニークな言葉の存在も、社会の誇示や虚勢文化を投影した結果だという指摘です。ご存知のように、下車感とは、車両から降りるときに周囲の人々から「見られる」から始まる満足感を意味する言葉です。羨ましい視線をたくさん集めてこそ下車感の良い車だそうです。英米など西欧圏はもちろん、同じ東洋圏の日本でも、これに該当する直接的な表現はありません。どうやら、周辺の印象や反応をとても気にしているからこそ、生まれた言葉だと言えそうです。

 




 

韓国社会で車に関連するこのような文化が強いのは、自動車が単純な移動手段ではなく社会経済的地位を投影していると意識する傾向が強いからです。この前、オンラインコミュニティでは、小学生の子どもを持った親が、子どもが学校で「皆勤したから足元を見られた」と話したという内容の投稿が話題になりました。この記事の作成者は、ギリギリの生活をしているのに、子どもたちが「友達はみんな海外に行くのに、国内旅行だけで恥ずかしい」というようになり、やむを得ず超低価格航空券を熱心に探している、とも話していました。皆勤賞は、一度も欠席せず、誠実かつ健康に学校に出席したことを記念する自慢できる対象です。ところが、最近は、『学期中に海外旅行が一度も行けなかった』(※数日はかかるから、学校を休むことになる)ことを暗示するとされ、皆勤した子が逆に責められている、というのです・・

 

・・いつからか、ソウルを筆頭にアパート売買価格を基準に行政区域を分けた「不動産階級図」のようなものも登場しました。これをめぐって、不動産関連ネットコミュニティーなどでは、どこ地域等級が高評価になったのか、低評価になったかで無数の話題が出ています。現実でも、どの地域に住んでいるかが、階層を分ける判断に重要な基準となってから久しいです。数年前には、小学生たちの間で「多世帯住宅に住んでいるから」、「沈滞アパートに住んでいるから」などなどで様々な階級が生まれているというニュースが伝えられ、論議にもなったりもしました・・

※この件、前にも2016年1月20日オーマイニュースから引用したことがありますが、結構前から『住んでいる家』の階級に合わせてグループが決まると言われています。「(※記者が引っ越そうとしていたマンションの近くにある)小学校にはいろいろと奇妙な噂があった。同じ学区にある賃貸マンションの子供とは一緒に遊ばないという規則。1年生から塾2~3つは必須だ、などの噂だ・・・・引越しの後、実際に他の子の親たちと知り合い、一つずつその実体が把握できた。賃貸マンションの子と遊んではならないだけでなく、普通のマンション同士でも、広さによって階級がレベルが分かれている・・・・自分が住むマンションの広さで、階級が出来上がっているというのだ。金のスプーンがどうとかの『身分社会』が、まさに小学校の時から始まっているわけだ」、という内容でした※

 

・・このような現象は、結婚と出産を控えた若い世代にはどうしても負担として作用します。小学生の時から「両親の車は何なのか」、「どこに住んでいるのか」、「どんな家に住んでいて、広さはどうなのか(※基本的にマンションが『上』とされます)」、そんなこと言われなければならないなら、最初から子を産まなきという人たちもいるわけです。特に懸念されるのは、現在、韓国社会が時間が経つにつれ所得水準別の出産率の差が広がり、中産層からますます出産をしない状態になっているということです。例えば、全体の出産率を100%とすれば、ここで低所得層が占める割合は2010年11.2%から2019年8.5%に2.7%ポイント下落し、同じ期間中産層が占める割合も42.5%から37%で5.5%下がりました。一方、高所得層は46.5%から54.5%に8%ポイント増えました。その年に100人の子供が生まれたとすれば、このうち55人は高所得層の子供であり、37人は中産層の子供、低所得層の子供は8人に過ぎないという意味です。

 

そんなに大勢の子どもが生まれる時代ではなくなりましたが、高所得層はそれでも多少は子どもを産み、中産層は出産を躊躇していて、低所得層はまったくあきらめ始めた、と言えます。よく、「今ほど裕福だった時代はない」と言われます。それでも、出産率は低いです。「私の子供に、『他人ほど』してあげられないなんて」と比較して、自らを責める雰囲気が蔓延する限り、ちゃんとした出産率の反騰を期待するのは難しいではないでしょうか(毎日経済)・・>>

最後、全般的には「自分」ではなく他人に向かうのではないか・・そんな気もしますが、気のせいでしょうか。明日は、1日休みをいただきます。次の更新は、22日(日曜日)のいつもの時間になります。そろそろクリスマス、そして年末年始モードですね。速いものです。年末休みをどうするかはまだちょっと考えていますが、決まったらまた告知いたします。

 




 

ここからはいつもの告知ですが、久しぶりに新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。新刊は「自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

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様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年12月22日)<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・新刊(2024年5月2日)は、<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・刊として、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中(2023年12月21日)です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。