さて、ユンダダン(弾)関連です。読者の方々はご存知でしょうけど、12月3日の非常戒厳について私は個人的に「違憲ではあったが、内乱ではなかった」と見ています。なにせ、内乱に相応するなにかの証拠(文書など指示内容)がまだはっきりしていないからです。戒厳令そのものは内乱にはなりません。じゃ、なにがあれば内乱とされるのか。いろいろありますが、この件でもっとも話題になっているのが「国会機能」を維持するつもりだったのか、それとも止めるつもりだったのか、です。前にも国務会議関連で少し書いたことがありますが、戒厳といっても「国会に通告する」「国会機能を保証(総議員過半数が賛成した場合は、大統領は戒厳を解除しなければならないと関連法に明記されています)」が必要で、朴正煕大統領もこれだけは守っていた、とも言われています。
よって、国会機能をどうするつもりだったのか、が内乱なのかどうかの一つのキーポイントになっているわけですが・・当日の映像などを見ると、とても国会機能を維持するスタンスには見えませんでしたが、だからといって何かの関連文書、たとえば該当する指示内容などが出てきたことはありません(この部分、私が知らないだけかもしれません)。まだ調査・捜査が進行中で、16日にもお伝えしましたが各機関が「競争している」状態なので、これからなにか大きな証拠が出てくる可能性もありますが、いまのところ証言だけで、これといった文書などが出てきたことはありません。
そんな中、実物が公開されたわけではありませんが、はじめて「文書」を確保した、というニュースがありました。YTN、 中央日報など多くのメディアが報じています。最初に報じたのはYTNですが、中央日報の記事の場合、捜査機関が『文書を確保した』という題になっています。もしこれが本当なら、ユン大統領にはかなり不利なことになるでしょう。文書はA4用紙1枚の短いものだとのことで、副総理宛てです。内容は、「国会の運営費を止め、戒厳立法府運営のための予算を組んでおくように」というものです。非常戒厳のために立法府を別に組むという内容は聞いたことがありません。もしこれが本当なら、少なくとも国会の運営は止めるつもりだった、ということになります。また、以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・尹錫悦大統領が3日、非常戒厳当時チェサンモク経済副首相に国会運営費を止めて戒厳立法府運営のための予算を組むよう指示した情況が把握されました。YTN取材の結果、警察特別捜査団は最近崔副首相を参考人身分と呼んで調査し、非常戒厳国務会の当時ユン大統領が崔副首相に下達した指示文件(※公的な文書または書類)を確保しました。A4紙の一枚の文書には、「今すぐ国会運営費を止めろ」、「非常戒厳立法部運営予算を組む」などの指示が込められたと伝えられました。先にチェ副首相は国会で文件内容と関連して「財政資金の確保」程度しか記憶していないとし、戒厳を前提とした措置事項のような感じを受けて、応じなかったと説明しました。YTN取材陣はチェ副首相に新しく把握された指示文件内容の確認を要請しましたが、返事はありませんでした(YTN)・・>>
<<・・12月3日非常戒厳事態を捜査中の共助捜査本部(共助本)が、ユン大統領が戒厳宣布当時、チェサンモク経済副首相に国会運営費を止めるよう指示した情況を把握し捜査中だ。22日、共助本は戒厳当日、尹大統領が崔副首相に下達した指示文件を確保したと明らかにした。最近参考人身分で調査を受けた崔副首相はA4用紙一枚の文件に「即時国会運営費を止めろ」、「非常戒厳立法府運営予算を組め」という指示が込められたという趣旨で述べたと伝えられた。警察は「文書の具体的な内容は確認できない」と説明した。
崔副首相は17日、国会企画財政委員会緊急懸案の質疑でも、尹大統領から受けた文件を捜査機関に提出したと明らかにした。彼は「国務会議当時、メモを実務者から受けた」とし「正確な言葉は思い出せないが、財政資金確保の話があった」と話した。続いて「一見したら戒厳を前提とした措置事項のような感じを受けた」とし「会議の進行中に国会が(解除)議決したし、次官補がリマインド(再報告)をしたが、内容がその文件だったので、応じなかった」とした。尹大統領は12日談話で「戒厳は国会を解散させたり機能を止めようとするものではなかった」と話した。しかし、そうではない情況が明らかになったと警察は見ている(中央日報)・・>>
現在、尹大統領側は、憲法裁判所の「弾劾判断関連書類」を受け取らないでいます。これを受け取らないと憲法裁判所の判断手続きが始まらないので、今日あたり、裁判所はどうするかを決めると言われています。普通は、「本人に届いたと見て、手続きを始める」やり方になります。電子メールで送って「届いた」とするか、公示して「届いた」と判断するか、などなどです。いろいろ不利な状態の尹大統領。野党代表との『時間との勝負』が続いています。誰がもっと時間を稼ぐのか。見たこともない勝負です。ちなみに、盧武鉉大統領も朴槿恵大統領も、国会で弾劾案が可決された直後(当日~翌日)、素直に憲法裁判所の送達を受け取りました。
ここからはいつもの告知ですが、久しぶりに新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。新刊は「自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
本エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年12月22日)<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・準新刊(2024年5月2日)は、<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・既刊として、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中(2023年12月21日)です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。