ドルウォンの為替レートが、今朝は1460ウォンまで動きました。通貨安になると、恵沢を受ける部分もあるし、逆に問題も出てきます。通貨高でも同じでしょう。でも、韓国メディアには、ちょっと不必要なほど通貨安を心配する傾向があります。1997年のことがあったから、でしょうか。1~2年前には円安に対しても同じで、専門家の中には「円安によって得られるものも多い」と意見を出す人が(そして相応の記事も)ちゃんといたのに、ほぼ例外なく「通貨危機が来る」という論調でした。こういうのは、「日本のことだから」というのがもっとも大きな理由でしょうけど。KBS(2022年10月21日)は「我が国にも影響するので、日本の国運があまりにも早く衰退しないことを願うだけです(直訳)」という記事まで載せました。
同日、東京特派員が多少呆れた論著で、「日本東京証券街、日本橋兜町で、出勤する証券会社の職員たちに『金融リスクについてどう思われますか』と聞いたところ、みんなびっくりした。初めて聞く話だ、それはどういうことなのか、など。彼らが心配するのは物価だった。輸入物価と消費者物価が上がり、企業の採算性や国民の生活に影響するのではないか、という話だけだった」「これは国内外の経済専門家たちも同じだ」という記事を書いたりしました(同日、韓国日報)。そんなところですが・・最近はまたウォン安記事が増えたわけです。23日、朝鮮日報がウォン安のことで、「為替レート1500ウォンまでいくと、大企業も耐えられない」という記事を載せました。「ドル建て債務が多い」など、他の記事に比べると具体的に書かれていて、ピックアップしてみます。以下、<<~>>が引用部分です。
<<・・ドル為替レートが15年ぶりに1ドル1450ウォン台になり(※今朝1460)、想定外のウォン安が長期化の兆しまで見せている。そのため、中小企業だけでなく、大企業も為替対策の準備に乗り出し・・・・貿易への依存度の高い韓国経済は、とりわけ為替相場が注目される。為替相場がウォン安になると、輸出大企業は収益が増え業績改善につながると思われるかもしれない。しかし、最近の韓国の大企業の多くは米国に生産拠点を移しており、為替レートの変動に大きな影響を受ける。巨額の先行投資を行ったため、ウォン安が進めば債務負担も増え、営業利益が減少する企業が多いのだ・・
・・各企業は重要な局面に立たされている。今年初め、ウォン相場を1300ウォン台と想定して経営計画を立てていたが、急に1450ウォンまでウォン安が進むと、原材料価格だけで10%余計に払わなければならなくなったのだ。さらにウォン相場が来年には1500ウォンまで動くとの見方も出ており、一部からは「このままでは大企業も耐えられない」という懸念の声が出始めている・・・・実際、中小企業でウォン安による為替差益を得ているケースは全体の10%にすぎない。残りの90%は原材料を輸入し、加工した製品を国内の大企業に納入したり、国内で出荷したりしているが、そうした企業ほどウォン安が進めば原材料コストが増大し、大幅な減益になる。
中小企業の相当数は原材料を購入する際、半年または3カ月後に決済代金を銀行にウォンで返済する一種の手形「ユーザンス(usance)」を活用しており、問題はさらに拡大するだろう。中小企業中央会によると、「中小企業にとっては、ウォン安により、原材料を購入した時点よりも多くの金を払うことになったわけだ」と説明した・・・・中小企業の多くが為替ヘッジすら考えられずにいる。為替ヘッジを行う自主管理する力もなく、そのための専門人材を確保できずにいるためだ。最近中小企業中央会が会員企業304社を対象に実施した調査によれば、半数近い49.3%が為替リスクを全く管理できておらず、最大の理由は「管理人材不足」という結果が出た・・
・・短期間で急激にウォン安が進み、緊張しているのは大企業も同じだ。かなりの数の大企業は、為替変動保険に入るなど為替ヘッジで積極的に補てんしようとしているが、為替変動が予想外に拡大すれば、それでも安全圏から外れてしまう。韓国経済人協会が12月22日、売上高基準で上位1000社を対象に実施した「2025年輸出見通し調査」でも、回答企業は来年の輸出増加率が前年比で1.4%にとどまると予想していることが分かった。輸出減少の主因としては、「ウォン安による原材料・原油価格の上昇で価格競争力が低下する」(11.1%)が挙げられた。
業種の特性上、外貨建て債務が多い企業の場合、特に問題だ。LGエナジー・ソリューションは7~9月期決算でドル建て債務が6兆8283億ウォンに達することを明らかにした。当時、同社は「ウォン安が10%進めば、税引き前利益が2388億ウォン減少する可能性がある」としていた。鉄鋼、石油化学業界などは、ただでさえ世界市場で中国の物量作戦に押されていて、ウォン安が大きな負担になっている。原材料の輸入割合が高すぎるためだ(朝鮮日報)・・>>
で、ここからはいつもの告知ですが、久しぶりに新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。新刊は「自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
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・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年12月22日)<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・準新刊(2024年5月2日)は、<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・既刊として、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中(2023年12月21日)です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。