今日、大統領権限代行の韓徳銖(ハンドクス)国務総理の弾劾案が表決されます。理由は、ハン代行がいくつかの法案に再議要求(大統領拒否権)を行使したこと、そして、憲法裁判官の任命に応じなかったことです。この前、弾劾案が通った尹錫悦大統領の場合、憲法裁判所が最終的に承認しないと弾劾は成立しません。9人体制ですが、いまは6人しかいません。6人でもできないことはないという意見もありますが、重大な案件なだけに、これだと裁判官の数が足りないという見解もあり、野党側は残り3人の任命を急いでいます。ハン大統領権限代行は、「任命には、与党と野党の合意が必要だ」と主張しています。
こんな状況だから、野党側には、任命に応じないハン代行のスタンスが、尹大統領を守ろうとしたものに見えたのでしょう。SBS、国民日報などによると、表決は今日の午後3時から始まるとのことです。あとで本エントリーに結果だけ追記しようかと思っています。また、野党は「これからも段階的に弾劾していく」と公言しています。今回、なんと定足数(何人の議員が賛成すればいいのか)も決まっていません。与党は「大統領権限代行だから、大統領のときと同じく3分の2(200人)の賛成が必要だ」としています。しかし、野党側は、「権限代行だけど国務総理だから、過半数(151人)の賛成でいい」というスタンスです。なにせ、いろいろあったことで有名な韓国の国会でも初めてのことなので、意見が別れているわけです。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・国会は今日(27日)午後3時、本会議を開き、韓徳銖大統領権限代行弾劾訴追案を表決します。大統領権限代行弾劾案が本会議に想定され、表決が行われるのは初めてです。先に、ハン権限代行は対国民談話で「与野党が合意して案を提出するまで憲法裁判官の任命を保留する」と、野党の憲法裁判官の任命要求に応じず、共に民主党は直ちに弾劾案を発議しました(※昨日発議、今日表決です)。案に明示された理由は「キムゴンヒ女史特検法」に応じなかったこと・・・・戒厳内乱行為共謀・黙認・幇助・・
・・憲法裁判官任命に応じなかったことなどです。国民の力は、大統領権限代行の弾劾は「大統領弾劾」基準である在籍議員の3分の2以上を基準に見なければならないと主張しています。一方、野党側は、国務総理であるハン権限代行の弾劾案可決基準は他の国務委員と同様に「過半以上」と見ています。弾劾案が可決されると、権限代行の職務は停止され、崔相穆(チェサンモク)首経済副首相兼企画財政部長官が権限代行を引き受けることになります(SBS)・・>>
<<・・共に民主党のキム・ミンソク首席最高委員が、「(憲法裁判官を任命しないことは)ハンドクスが大統領権限代行をいつまでもやっていくという意味でしかない」とし、「タバクタバク(※一歩一歩ゆっくり歩くこと、この場合、段階的に1人ずつという意味)弾劾する」と、権限代行が国会が推薦した憲法裁判官を任命するまで「連鎖弾劾」を止めないと話した・・・・共に民主党はこの日、ハン権限代行が「与野党合意が先だ」という理由で国会推薦憲法裁判官の任命を保留すると、すぐに弾劾案を取り出した。審判を遅延させる意図だと判断したのだ。弾劾案を発議し、27日午後3時、本会議で表決すると予告した。国会弾劾訴追案が可決されると、権限代行の職務は直ちに停止される・・・・ウ・ウォンシク国会議長は27日、本会議で弾劾案表決の前に議決足数基準を直接明らかにする予定だ。国会立法調査処の意見などを参考に、過半数と判断する可能性が大きいと伝えられている(国民日報)・・>>
予想できなかったことではありませんが、思ったより速い気もします。鋼鉄ジーグの歌に「おれがやめたらだれがやるのかダンダダン」というのがありましたが・・弾(ダン)なら妙に合ってる気もします。次にチェサンモク副総理が大統領代行になると、大統領代行、国務総理代行、副総理を同時にやらないといけません。しかも、ノーカットニュースによると、「共に民主党核心関係者」が、「チェサンモク副総理も弾劾されると、イジュホ社会副総理兼教育部長官が大統領権限代行になればいい」と話した、とのことでして。もうそこまで考えているのでしょうか。あとで、結果が出たら追記いたします。
<<・・チェ副首相が権限代行を承継しても、問題は残る。彼はハン代行の弾劾事由とされた憲法裁判官3人、常設特検任命、内乱関連、大統領夫人関連特検などについて、来年1月1日まで決定しなければならない。もし副首相がこれに応じなければ、共に民主党は再び弾劾に入る見通しだ。共に民主党院内核心関係者は「チェ副首相まで弾劾しても、次の順番であるイジュホ社会副首相兼教育部長官が職務代行をすれば良い」と話した(ノーカットニュース)・・>>
※この行だけ、追記になります。国会を通過しました。これで、次はチェサンモク副総理が権限代行になります※
で、ここからはいつもの告知ですが、久しぶりに新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。新刊は「自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
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