もうすぐBYDが韓国市場に進出します。その影響もあってか、中国自動車市場(特に電気自動車関連)での価格競争に関する記事がありました。一時ほどではありませんが、まだまだ多くのメディアが「中国市場」というものにドリームを見ていますが、この東亜日報の記事は、過ぎた価格競争をメインに取り上げ、1990年代後半、東南アジアの一部の国のバイク市場で見られたのと同じことになるのではないか、そんな趣旨を述べています。当時、価格競争で優位だった中国メーカーのバイクの販売が、一時的に日本メーカーを超えたことがあります。しかし、結局は品質の日本メーカー製品が巻き返し、いまはまたシェア1位は日本メーカーです。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・2300万台。2024年に中国で売れた乗用車の台数です。中国経済の不振が続いている中でも、乗用車販売量は6%も成長しました。中国は世界中の自動車販売の半分以上を占める最大の市場です。ところで、おかしいこともあるものです。車が売れているのに、なぜ事業をやめる中国自動車メーカーが増えて、海外ブランドの多くが撤退するのでしょうか。フォルクスワーゲンの大規模な構造調整も、日本ホンダと日産の合併推進も、中国市場での不振が原因だと言われています。その最大の理由は、3年も続いている中国自動車市場のとんでもない「価格競争」にあります・・
・・適正水準の値下げなら販売量を増やして企業利益を増やす効果があります。しかし、中国自動車市場の価格戦争はそのような水準からずっと離れています。昨年1~10月の中国自動車産業全体の売上高は前年同期より2%増加したが、利益は3.2%減りました。6~7%だった売上高対比利益率は4.5%になりました・・・・中国で販売される自動車ブランドはなんと200以上(このうち電気自動車ブランド137)。激しい競争が続くにつれて、脱落者が続出しました。ホンダのプレミアムブランド「アキュラ」と日本三菱は2023年、すでに中国市場から撤退しています。高雄客運、合创汽车、天际汽车などの中国電気自動車のスタートアップが昨年、閉鎖されました。ジーリー自動車とバイドゥの合弁会社として注目されていた极越も12月に突然事業縮小を発表しました。実際、多くの中国電気自動車メーカーの中で年間黒字を出す企業はBYDとリオートくらいです。今、「次に廃業するスタートアップはどこか」のリストが出回っています・・
・・中国企業間の価格戦争の事例は前にもありました。代表的な産業がバイクです。東南アジアはオートバイ天国であり、その市場を支配するのは日本ブランドです。ところが、ちょっとだけの間、中国産バイクがこの市場で優位だった時期があります。1990年代後半でした。当時ホンダ、ヤマハのような日本ブランドのオートバイは東南アジアで約2000ドルで売れました。その半分の価格である中国産が押し寄せ始めました。ベトナムの場合、1999年基準で進出した中国ブランドだけが20以上。圧倒的なコスパのおかげで、中国ブランドは日本産を押し出し、ベトナムのオートバイ市場の80%を占めました。
しかし、価格戦争が続きました。中国企業同士の戦いが繰り広げられました。100ccのオートバイの価格は1000ドルから800ドルに、そして再び500ドルに下がりました。価格戦争が最高潮に達した時、ベトナムのバイク平均販売価格が毎月70ドルずつ下落したという記録があるほどです。そして、価格とともに当然品質も下がりました。安い中国産オートバイは細かい故障が多いうえに2~3年に1回は大幅な修理が必要で、4~5年になれば廃車するようになりました。一部のブランドがアフターサービスをちゃんと行わなかったことなどで、ブランドイメージは急速に低下しました。結果は、中国ブランドすべてのシェア低下。その間、中・低価格の新型モデル、ローン商品を出した日本ブランドが、品質に対する信頼をもとに再び市場をものにしていきました。今、東南アジア市場シェアはホンダ67%、ヤマハ22%。中国産は1%にとどまります。品質さえも下げながら価格競争をした結果です(東亜日報)・・>>
記事は、部品などを供給する会社にとっても同じだとしながら、「部品価格引き下げの幅が、生産効率性を高めて達成できる水準を越えてしまうと、2次協力会社(部品などを供給する会社)が3次協力会社に再び価格低下の分を転嫁し、結局は、3次はより安い原材料を求めるしかない」としています。それが完成車の品質そのものに繋がる、と。これ、韓国の「財閥」グループ関連でよく耳にする話でもあります。なにせ、甲乙関係という言葉が、こういう内容を「下の会社」に要求する内容の契約書の書き方(甲は~という書き方)から来たものだと言われていますから。
ここからはいつもの告知ですが、久しぶりに新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。新刊は自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
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・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年12月22日)<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・準新刊(2024年5月2日)は、<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・既刊として、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中(2023年12月21日)です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。