韓国の雇用労働部次官「賃金未払いが日本の50倍です。みんなで努力しましょう」・・2024年初めて2兆ウォン突破か

今年は、ソル(旧暦の1月1日)が、新暦で1月29日です。28日と30日も含めて3日間の連休になりますが、31日が金曜日なので、人によっては長い連休が取れるのではないかと言われています。そして、その影響もあるのか、複数のメディアがまた賃金未払い関連のニュースを載せています。前にも書いたことがありますが、旧暦1月1日と8月15日(秋夕)が近くなると、ほぼ例外なくこのテーマが話題になります。これ「も」、本ブログだけでなく国内メディアが随分前から書いてきた件ですが・・どうやら、2024年の賃金未払いが2兆ウォンを超える見込み、とのことでして(まだ11月までしか集計されていません)。数ヶ月前、予想として1兆8000億ウォンの話が出ていましたが、さらに増えました。

この件、一時は1兆ウォンが一つの防御線(?)とされていました。なぜなら、IMFのとき、賃金未払いが1兆ウォンを超えていたと言われています。個人的に調べたデータだと、1998年に1兆2000億ウォンレベルまで増えていました。当時の経済規模を考えると、いまの1兆よりずっと大きな金額だったと思いますが。それから賃金未払いは年度別には増加したり減少したりしたものの、全般的には上昇、「日本は賃金未払いが少ないのに」というデータが公開されるなど、大きな社会問題の一つと認識されるようになりました。私の個人的な感覚だと、1997年になるまでは、賃金未払いは特定企業の問題とされていました。それが、社会の問題として認識されるようになったわけです。

 




 

そんなこんなあんなで、2005年、データとしては2004年、賃金未払い金額が1兆ウォンを超えました。当時、結構大きなニュースになっていたと記憶しています。それから、2024年、11月までのデータで、1兆8600億ウォンを超えました。聯合ニュースなど複数のメディアが、このままだと、12月まで含めると2兆ウォンを超えるだろう、と報じています。ファイナンシャルニュース、2024年9月29日の記事、雇用労働部次官(副大臣)が書いたものですが、これは「日本の約50倍」だそうです。詳しく何を基準にしたかは書いてありませんが、記事や分析によっては、十数倍だとも、100倍だとの話もあります。次官の見解として、「人件費を重要なものだと認識していないこと」、そして、「温情」でなんとかする文化がその理由の一つではないだろうか、と。そういえば、拙著に、「金銭的な借り貸しの関係を、人間関係アピールで解決しようとする場合が多い」と書いたことがありますが、表現の程度は異なれど、似たような話ではないでしょうか。以下、<<~>>で引用してみます。というか、書いてある内容自体は問題ないのに、説得力があまり感じられないのはなぜでしょうか。

 

<<・・雇用労働部は、旧正月を控えて6日から24日まで賃金滞納予防・清算集中指導期間を運営すると5日明らかにした。昨年1~11月の賃金滞納は1兆8千659億ウォン規模で、すでに最多記録だ。12月分まで集計する場合、昨年の未払いは計2兆ウォンを超えると見込まれる。これに労働部は、旧正月を控えて設けられた今回の集中指導期間に、専業申告窓口を運営し、一部においては、機関の長が直接現場を訪問して清算を指導するなど、現場中心の政策に乗り出す計画だ。

また、滞納事業主に、融資制度を活用して事業主が自発的に清算するように優先的に支援し、賃金が受け取れなかった労働者が代理支給金を請求する場合、2月末までは処理期間を7日に短縮して支給する予定だ。キムムンス労働部長官は「家族と共に楽しく過ごさなければならない正月に、賃金滞納で困難を経験する労働者がまだいるというのが現実」とし「旧正月前に滞納賃金が清算されるようにすべての努力を尽くしたい」とした(聯合ニュース)・・>>

 

<<・・「Pacta sunt servanda(パクタ・スント・セルバンダ)」という有名なラテン語の格言がある。「契約は守らなければならない」と訳される。これは、今日の民法と国際法の大原則である。誰も異議を提起できないこの当然の原則が、私たちの労働市場ではよく守られていない。そう、「賃金未払い」の話だ。企業や個人は一時的に財政的困難、債務不履行の状態に置かれたりもするが、賃金未払いは一般債務不履行とは異なる。賃金債権は、労働者とその扶養家族の生存と直結する権利であり・・(※政府はかなり努力している、という話の後に)・・それでも相当な規模の滞納賃金は清算されず、これにより多数の労働者とその家族が影響を受けている。企業の倒産や経営問題など賃金滞納の原因のほとんどが経済的要因ではあるが、稟告である日本の場合、賃金未払い額が我が国の50分の1水準に過ぎないことを勘案すれば、私たちの賃金滞納は社会的・文化的要因も大きく作用すると見るべきであろう・・

・・事業をしていると賃金を滞納することだってあるもんだろう、という一部事業主の安易な認識が、常習的な賃金滞納につながっているのも事実だ。賃金滞納増加という裏面には、滞納を容認する社会的雰囲気や、温情的文化など様々な要因が互いに絡み合っているだけに、制度改善や政府の努力だけでは完全に抑えるのが難しい・・・・社会のメンバー全員が、賃金滞納がどれだけ深刻なものなのか警戒心を持ち、共同体としての観点から政府と労使が共に解決のために努力するきっかけになることを期待したい(ファイナンシャルニュース)・・>>

 




 

ここからはいつもの告知ですが、久しぶりに新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。新刊は自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

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様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年12月22日)<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・新刊(2024年5月2日)は、<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・刊として、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中(2023年12月21日)です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。