20年前には逆の内容の記事が結構ありましたが・・ソニーを見習え、という記事がありました。「前の成功体験に囚われすぎるのは危険だ」という趣旨で、1月2日、朝鮮日報(WEEKLY BIZ)の記事です。記事は「2025年、ピンチの電子業界は、ソニーをロールモデルにしたほうがいい」としています。記事では「それができなかった企業」としてインテルを挙げていますが、趣旨からして、サムスン電子あたりを意識した記事ではないだろうか、そんな気もします。前から、「大規模投資でものをいうサムスンのいままでの半導体戦略は、ファウンドリーがメインになった世界では効かない」という話が出ていました。そういう路線の話がしたかったのではないか、と。
でも、記事の趣旨はともかく・・ソニーにはプレイステーションなど新しい事業分野を作ろうとする努力がありました。音楽事業においても、イメージセンサー関連においても、『画質』『音質』へのこだわりがあったから、それが開花して、いまのソニーの好実績もあるのでしょう。よくプレイステーションの話が出ますが、ゲームというのはハードだけでなんとかなるものでもありませんし。今のサムスン電子にそういう分野を開拓する土台があるのかどうか(いまからゼロから始めるのは遅い)、ロールモデルを語るには企業の性格が異なるのではないか、そんな気もします。去年、証券市場で「ベンチマーク」があまり効果がなかったということもありますし。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・2025年新年になる直前、約2ヶ月前。米国と日本を代表する電子会社の実績発表会が開かれていた。両社は両国の看板企業という共通点があるが、置かれている状況は全然異なっていた。ソニーは昨年、東京証券市場で時価総額3位に上がった一方、インテルは株価低下などでピンチに直面していた。しかし、実績発表会で両社の「トーン」は、状況とは異なるものだった。x86というPC用中央処理装置(CPU)への依存度が大きすぎて新しい突破口が必要だという批判を受けたインテルは、依然としてそれまでの代表商品x86にぶら下がっている様子だった。一方、ゲームと映像コンテンツで事業領域転換に成功したという評価を受けるソニーは、自社の失敗したゲームに言及し、それを反省した。「コンコード」はソニーが約3500億ウォンをかけて8年間開発したゲームだが、評価がおもわしくなく、発売12日ぶりにサーバーを閉じたゲームだ・・・・2025年、前例のないピンチを迎えた韓国電子業界に、両企業の対応はどちらがロールモデルになるのだろうか・・
・・2000年基準、全売上において電子事業の割合が69%に達していたソニーは、2020年にこの割合を21%まで下げた。代わりに、ゲームと音楽、映画事業部を大きく育てた。2000年9%に過ぎなかったゲーム比率は2020年30%まで大きくなった。音楽(11%)、半導体(11%)、金融(8%)、映画(8%)などで、バランスをとったのも特徴だ。吉田憲一郎会長は2023年「ソニーは技術基盤の創造的エンターテイメント会社」と自社を定義した・・・・ソニーが電子部門を果敢に整理する構造調整で体質を改善できたとすれば、インテルはそうではなく、前の成功体験により消極的に投資し、本気で投資した部門は重複投資という非効率性まで見せた・・
・・インテルのもう一つの敗因は、「総合半導体企業」にこだわりすぎた点だ。インテルが世の中の半導体の大部分を作っていた1990年代~2000年代初頭には、半導体の「垂直系化(設計から製造まですべて可能な形態)」を成し遂げたインテルのシステムが力を発揮できた。しかし、他人の設計をもとに半導体を作る「ファウンドリ」会社が本格成長し、インテルは製造技術力で遅れた。台湾のTSMCがアップルのスマートフォン用半導体(AP)を大量生産するなど顧客を増やし、より細かい半導体をより間違いなく作るノウハウを積み重ねている間、インテルはこのような機会を逃した。
市場調査会社のトレンドフォース関係者はWEEKLY BIZ(※朝鮮日報)に「インテルの最大の問題は半導体設計と製造まですべてをしていた既存モデルにこだわりすぎたこと」とし「結局これを分離することに決めたが、すでに市場では後発走者になって、これでこのため資源(投資額)は必要以上に分散され、、先端工程の開発が遅れた」と分析した・・・・結局、今日の2つの企業は、前の成功体験にどう対応したかで分かれた。インテルは、後発ランナーであるクアルコムに買収されるのではないかという展望まで出ている。
ソニーの株価は東京証券市場で昨年12月の場中、25年ぶりの最高値を記録した。何よりソニーはゲーム・映画部門で世界最高の底力を誇る知的財産権(IP)企業に変貌した。日本内でのみ1億5000万部以上売れた漫画「鬼滅の刃」を子会社アニプレックスを通じてアニメで制作し、日本映画興行1位に上がった。ソニーが著作権を持つスパイダーマンは映画・ゲーム・アニメ素材として活用した。 2020年に発売したPlayStation 5は累積販売量5000万台を突破した。 2012年11月に98億ドルまで急落した株価は、2024年の年末基準で1303億ドルまで上昇した(朝鮮日報)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、久しぶりに新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。新刊は自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
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・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年12月22日)<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・準新刊(2024年5月2日)は、<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・既刊として、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中(2023年12月21日)です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。