日経新聞が、「ラピダスが6月まで2nm試作品をブロードコムに供給する」という記事を載せました。ラピダスとブロードコムが最先端半導体で協力するという記事は他のメディアの記事でも確認できますが、「6月まで試作品供給」というの内容については、ラピダス側は「具体体にはなにも決まっていない」としています。すなわち、本当なのかどうかはまだ分からない、そんなところです。何かの動きがあるというのは事実でしょうけど。ちなみに、もちろん試作品供給はとても大事なことですが、実際の量産時には「収率」という問題があるため、それですべてうまくいくというわけでもありません。
ただ、このような話が出てくるというのは、なにかの動きがあるという見方もできるので、これからの展開に注目したいと思います・・といったところですが(これくらいの反応が普通かと思いますが)。記事そのものより、反応の方が本題というか、なんというか。日本よりもむしろ韓国でこの件が話題になり、複数のメディアが結構大きく取り上げています。なにせ、サムスン電子のファウンドリー事業がうまくいかないでいることが理由でしょう。一部のメディアは「サムスン電子は今年量産するもんね」という記事も載せていますが、韓国経済TV、朝鮮日報などは慎重な論調です。サムスン電子の場合、ファウンドリー数年前に結構壮大なことを言っていて、テイラー工場などもそのためのものだったはずですが、まだ結果(大手との契約、など)が出せていません。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・日本半導体会社ラピダスが、韓国と台湾が主導してきた半導体「2ナノ工程」競争に飛び込んだ。9日、日本経済新聞は「ラピダスが米国ブロードコムに今年6月までに2ナノ試作品を供給する」と報道した。4月に稼働する生産ラインで世界5位の半導体メーカーブロードコムの試製品を生産するということだ。2ナノ工程は世界1・2位ファウンドリ(半導体委託生産)企業である台湾TSMCとサムスン電子が今年上半期の試験生産に入る最先端工程だ。この競争に技術力で一歩遅れたと評価されるラピダスが挑戦したのだ。
ラピダスはこのため、スピードを出している。日本北海道の千歳市に初の生産ライン「IIM-1」を建て、必須装備「EUV」など設備の搬入と設置に忙しい。ラピダスの小池淳義社長は「2月なら生産ラインの設置も全ておわり、4月から2ナノ半導体試製品の生産を開始する」とし「2027年の大量生産も予定通り進行する」と話した・・・・日本は新興半導体企業ラピダスを前面に出して台湾と韓国、米国に続いて四番目に2nm半導体市場への参入に成功する可能性が高まっている。ラピダスは日本が「半導体再起」のためにトヨタ・ソニー・キオクシアなど企業8社の出資を受け、2022年8月に設立した。ラピダスは2ナノテクノロジーを米国IBMの助けを得て開発した。ラピダスは従業員数百人をIBMに派遣して2ナノ技術を学んでいる・・
・・ラピダスが米国ブロードコムに2ナノ試作品を供給することになると、米国ビッグテックを顧客として確保する可能性が大きくなる。ブロードコムは最近、チャットGPTのようなAIアプリケーションでデータ処理を支援する先端ネットワーキング半導体とデータセンターサーバーへの電力供給を支援する半導体を作りながら、AI受益企業として大きな注目を集めている。ラピダスがブロードコムから物量を受け取れば、先端工程競争で存在感を見せることができるようになる・・
・・サムスン電子は今年上半期2ナノの試験生産を開始し、下半期には大量生産に乗り出す計画だ。TSMCと時差はほとんどないが、問題は収率だ。サムスン電子は3ナノ工程でも収率を高めるために苦労している。半導体業界関係者は「試作品の生産と量産はまったく異なる次元の問題」とし「特に最先端製品であるほど工程ノウハウと経験が重要であるが、その点でラピダスの限界も明らかだ」と話した(朝鮮日報)・・>>
<<・・2022年に設立されたラピダースは、顧客会社が設計した半導体を受託生産するメーカーとして来る4月2ナノ製品の試験生産に乗り出し、2027年から量産工場を稼働するという目標を立てた状態だ。工場を安定的に稼働させるためには、顧客をまず確保しなければならないが、世界5位の半導体メーカーであるブロードコムと手を組むことになるのだ。日経は「有力顧客のための試作品生産が成功すれば、本格的な事業化のための一歩をさらに進むことになる」と評価した。ファブレス(半導体設計専門)企業のブロードコムは、人工知能(AI)チップのリーダーであるNVIDIAのように、AIチップを開発してはいない。しかし、巨大情報通信企業とカスタマイズされたチップ開発を通じて、AIチップ市場の80%以上を掌握したNVIDIAのライバルになることもできるという見通しが出ている。これにより先月ブロードコムの時価総額は初めて1兆ドルを超えた。
ラピダスはブロードコムと協力することで、ブロードコムの顧客に半導体を供給することができるようになる。ラピダスはブロードコム以外にも日本のスタートアップであるプリファード・ネットワークスから2ナノ製品を受託生産する予定だ。台湾のファブレス企業であるアルチップ、ユニチップとも協力を推進している。ラピダスは顧客確保のために新興企業を中心に30~40社と半導体受託生産交渉を進めている。ラピダースはトヨタ、キオキシア、ソニー、NTT、ソフトバンク、NEC、デンソー、三菱UFJ銀行など日本代表大企業8社が先端半導体国産化のために2022年に設立した会社だ(韓国経済TV)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、久しぶりに新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。新刊は自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
本エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年12月22日)<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・準新刊(2024年5月2日)は、<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・既刊として、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中(2023年12月21日)です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。