去年9月、米国側は中国、ロシアなどを牽制するための輸出関連措置を発表しました。HBM(広帯域メモリー)などAIなどに使われる先端半導体関連、3Dプリンティング関連などそれぞれ24の品目において、各国は輸出する際にアメリカに許可を申請しなければなりません。ただ、米国の路線と同じぐらいの措置を取っている国の場合、この許可申請は免除され、日本、オーストラリア、イギリス、ドイツなどが入っています(品目ごとのことで、一つの国家が全ての品目で免除されるわけではありません)。
当時、韓国は免除リストに入っておらず、各メディアが結構大きく報道しました。また、それからも米国からは「HBMなどは同盟国のために供給されるべき」などの発言が続きました。それに関連した、いわば後続措置とも言えるでしょう。今回発表された措置は、『他国が』ではなく、『米国が』他国に販売するAI半導体に関する内容です。米国が製造するAI半導体は、各国ごとに販売できる量に制限を置く、というものです。たとえばエヌビディアなど米国企業が作ったAI半導体は、日本、韓国、台湾など18カ国の同盟国はこの措置の例外とされ、それらの国には無制限に販売しても問題ありません。しかし、それ以外の国には販売量を制限し、中国や北朝鮮、イランなどには全面禁止となります。
物量をコントロールすることで、中国などへの『迂回路』を遮断できるというのが、米国の目的だ、とされています。韓国メディアは、今回は例外適用できたのでよかった・・という論調が多いですが、結局は米国『側』の半導体販売を『こっち側』に限定しようとする動きであるため、結局はサムスン電子やSKハイニックスにとってはあまり思わしくない展開である、という記事も出ています。実際、今回の措置にはエヌビディアなどが強く反発していますが、そのエヌビディアにHBMメモリーを供給しているのがSKハイニックスです。去年9月の措置もそうでしたが、結局は『グローバル・サプライチェーンの(こっち側)再編』の動きの一部であり、金額基準で半導体の35~40%を中国に販売している今の体制そのものを見直すべきではないのか・・そんな話です。ただ、バッテリー部門もそうですが、いうほど簡単な問題ではありません。以下、某戦隊と名前が似ている『電子新聞』から<<~>>で引用してみます。記事は9日のもので、まだ措置が発表される前のものですが、いまでは、本措置は公式発表済みです。
<<・・米国政府が人工知能(AI)半導体輸出措置の対象を全世界に拡大する案を推進する。中国、ロシアなどに戦略資産が流れ込むのを防ぐための措置だ。同盟国である韓国はこの措置の対象ではないが、米国企業のAI半導体輸出が減少する際、広帯域メモリ(HBM)などを供給する国内企業も影響が避けられないと予想される。9日、業界と外国メディアによると、バイデン政権は早ければ10日(米国時間)世界の国々を3つのグループに分け、AI半導体輸出を制限する追加規制案を発表する予定だ。既存の措置と同様に、米国輸出管理規定(EAR)に基づいて行われる。韓国、日本、台湾、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、オーストラリアなど18の同盟国は、追加の措置を受けない。次のグループの国には、「バイデン政権が国別に輸出できる総コンピュータ計算力上限を設定している」とブルームバーグは伝えた。2025~2027年まで3年間、グラフィック処理装置(GPU)5万個に制限する案が取り上げられている。次のグループ、中国、北朝鮮、ロシア・・・・など20カ国への輸出は全面禁止される。
米政府が追加措置に乗り出すのは、中国、ロシアがAI半導体を迂回的に確保する行為を遮断するためだと伝えられた。米国先端技術の迂回通路と推定される中東、東南アジアなどの国家に追加措置を適用して封鎖するという構想だ。米国政府が公式発表していないが、実際に措置が行われれば、AI半導体関連企業に影響すると見込まれる。 GPUを作るNVIDIA、AMD、Intelなど米国半導体企業にはもちろん、GPUとかみ合って大容量データを処理するHBMメーカー、サムスン電子、SKハイニックス、マイクロンも影響を受ける企業として挙げられている(電子新聞)・・>>
それ以外のニュースを少しだけ紹介しますと、尹大統領令状執行が「もすうぐ」と報じられています。大手メディア含めて、「早ければ明日」、とのことです。前回よりかなり大規模になるとの話ですが、どんな展開になるのでしょうか。また、(一般銀行の)クレジットカード延滞率に関する話がありましたが、どうやら3%を超え、3.23%になったようです。3%なら別にそこまで問題でもないのでは・・と思われるかもしれませんが、実は、2003年から数年間続いた、いわゆるカード大乱と呼ばれた時期、延滞率は最高でも3.8%でした(2005年)。
本ブログだけでなく、一部の韓国メディアも、発表される各種延滞率データが現状からして低すぎると疑問を提起していますが、当時もそうでした。クレジットカード使用による破産が相次いだ時期としてその名を残して(?)いるのに、発表されていた延滞率は3.8%にすぎなかったわけです。当時と今で同じ集計なのかは分かりませんが、とにかくカネに余裕がなくなりつつある、という話です。
ここからはいつもの告知ですが、久しぶりに新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。新刊は自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
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・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年12月22日)<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・準新刊(2024年5月2日)は、<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・既刊として、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中(2023年12月21日)です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。