韓国メディア「日本メディアは尹大統領拘束をどう見ているのか」

さすがに、韓国では昨日からずっと尹錫悦(ユンソンニョル)大統領関連ニュースばかりで、他のニュースが目立たなくなっています。黙々と動向だけを伝える記事もあるし、「せまい部屋で寝ることになる」「思ったより良い食事が出た」など、記事なのか個人の書き込みなのかよくわからないものまで、多くの記事が出ています。午後は別の話ができたら・・と思っていますが、とりあえず午前には、聯合ニュースの記事を紹介します。「日本メディアはどんな記事を載せているのか」とまとめたものです。また、SBSから、CSISビクター・チャさんの見解も引用してみます。彼は北朝鮮分野で発言が多いですが、今回は経済関連で、『考えが楽観的すぎるのでは』という趣旨です。どちらも今朝の記事です。以下、<<~>>が引用部分になります。

<<・・日本側の各メディアは、韓国社会内の分断が深化することを懸念し、政治家たちが対話を通じて事態を収拾しなければならないと、16日報道した。日本の主要朝刊新聞はこの日、一斉に一面の記事で尹大統領の件を伝え、一部のマスコミはドナルド・トランプ2期の米国行政府の発足を控え、日韓関係の不確実性が非常に大きくなったという分析も出した。朝日新聞は「現職大統領が拘束されたのは初めて」とし「韓国民主主義の危機は新しい局面に入った」と語った。日経新聞は「韓国の政治対立と社会分断は極限に達した」とし「現職大統領捜査には、世論と次期大統領選を念頭に置いた政治の力が作用したものと見られる」と伝えた・・

 

・・日本内の政治専門家たちも、今回の事態は社会分断の結果だという見解を示した。ニシオジュンヤ慶応大教授は、読売新聞に「相互間に妥協できない韓国政治の厳重な現実を見せてくれた」とし、ユン大統領と公捜処が調査方法などで互いに譲歩すべきだったのに、そうしなかったと話した。オコノギマサオ慶応大名誉教授は、韓国でいままでも大統領が拘束された背景には、理念的完結性を重視する政治文化があるとし、「当面、保守と進歩勢力があらゆる分野で妥協せず競合する場面が続くだろう」と朝日新聞に話した・・

 

・・読売新聞は社説で、今回の件が国内外に与えた衝撃は計り知れないとし、「(韓国)与党・野党は司法手続きに従って冷静な議論を通じて事態収拾を図らなければならない」とした。毎日新聞も「混乱の収拾につながるには」という題の社説で、与・野党政治家たちに「政党の意志で大統領拘束を政争の道具にすることは避けなければならない」とし「政治を正常化する行動が双方に求められる」とした。朝日も「対話による政治安定」を強調した社説を載せ、別の分析記事で「日韓関係は前例なく不確実な領域に足を踏み入れた」と報道した。同新聞は、尹大統領と岸田文雄前任日本首相が改善した関係を石破茂首相も進展させようとしたが、尹大統領の非常戒厳宣布でこのような構想が水の泡になったと評価した(聯合ニュース)・・>>

『対立を開所すべきだとしつつ、その対立から自分のアイデンティティーを見つけようとする社会』。本ブログでも、私の持論として結構前から書いてきた内容です。あくまで聯合ニュースの記事に書いてある部分「だけ」を見ての感想ですが、日経新聞の「社会」への問題提起のほうが、もっとも的確なものではないだろうか、と思いました。また、理念的な完結性(妥協しないという内容も含めて)という表現も、具体的には書かれていませんが、良い表現だな、と思いました。弾劾でダンダダン、分断でダンダダン・・忙しそうです。両国関係については、いつものことではないだろうか、としか思うところがありません。で、ここからはSBSの記事です。韓国では、一部のメディアや政治家を通じて、「今回の件が経済、対外的な信頼度に与える影響はそこまで大きくない」という見解が増えてきました。主に、それに関する内容です。

 

<<・・(※CSISビクター・チャさんはCSISの北朝鮮関連サイトへの投稿で)「前例のない事件で、もう未知の領域に入った」と診断しました。続いて「いままでの過程は、韓国民主主義の回復力と脆弱性を同時に明らかにし、分裂をさらに深化させた」と説明しました。彼は「古くからの政治リスクは、より大きなリスクをもたらす」とし、「政治的混乱と経済的影響を最小限に抑えるために、まずは安定に焦点を当てるべき時だ」と提言した。特に韓国政府が経済について楽観している点を指摘しました。

彼は「政府が2004年盧武鉉大統領弾劾と2016年朴槿恵大統領弾劾当時の経済関連成果を提示し、今回も韓国経済が回復力を維持できると自信を表している」としながら、「こうした評価は、投資家たちに信頼を与えるためのものだろうけど、二つの理由で逆の効果を生む」としました。最初の理由は、「経済に対する間違った信頼を投影すればするほど、政治家たちは内部の争いから抜け出し、効果的なガバナンスに戻る最速かつ効果的な道を探す努力をしなくなる」。そして、「中国の経済成長と半導体輸出実績が回復の役に立った2004年と2016年とは異なり、尹大統領弾劾をめぐる現在の経済状況ははるかに不利だ」としました(SBS)・・>>

 

ここからはいつもの告知ですが、久しぶりに新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。新刊は自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

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