13日、1926年に書かれた「ニューコリア」という本から、「Koji」という言葉について紹介しました。今日も、一つ紹介したいエピソードがあります。ただ、今回はある語源についての内容ですが、前回のように正解(単語の意味)を探すものではなく、「諸説あり」な話になります。定説もありませんのでなんとも言えませんが。そういうことを念頭に置いて、お読みください。原書の11章~13章は、経済発展についての内容で、まさに最大の重要チャプターでもあります。その13章に、金塊と銀塊の話が出てきます。銀塊はあまり生産量が多くなかったようですが、当時の日本の金の半分が朝鮮半島の金鉱から出ていた、とのことでして。まずちょっと引用してみます。
<<・・(※金塊と銀塊のことで)後者の輸出はわずかで、1919年以降、どの年も40,000円を超えたことがない。金塊の輸出額は1910年から1916年にかけて、毎年、米に次ぐ額に達しており、1910年には約900万円だったものが、1916年には1500万円を超えていた。しかし、第一次世界大戦により、金の生産は大きな影響を受け、1918年には輸出額が600万円にまで落ち込んだ。記載された年における金塊の輸出額は次の通りである。1919年4,415,249円、1920年23,822,078円、1921年7,282,742円、1922年3,961,154円、1923年5,586,985円。朝鮮が、日本の金生産量の約半分を占めていることに注目してほしい。朝鮮でもっとも大きな金鉱2箇所は米国の会社が所有しており、それだけで朝鮮の金生産量の約61%である(1926年アレインアイランド「ザ・ニュ―コリア」13章より)・・>>
さて、ここでいう「2つの金鉱」がどこなのかは明記されていません。これについてちょっと調べてみましたが、時期にもよるものの(途中で日本に売却した金鉱ももあります)、当時、米国会社が採掘権をもっていた金鉱は、「雲山(ウンサン)金鉱」と「遂安(スアン)金鉱」になります。どちらもいまの北朝鮮側になります。特に雲山金鉱は朝鮮半島最大だと言われ、かなり繁盛していました。大勢の人たちが働いていたと言われています。で、この2つの金鉱に雲山金鉱が入るのはまず間違いないと思います。他についても、地理的に近いところに大きな金鉱があったという話はいろいろ残っていますが、米国会社が所有していたという記録はありません。もちろん、欧米の国々は結構進出していましたが、フランス、イギリスでした。で、残りの一つはスアンのほうだと思われます。
今日の話は雲山鉱山について、ですが・・韓国では「(事業などがうまくって)ものすごい収益を出す」、「狙っていたものがたくさん手に入る」などのことを、「ノダジ」と言います。朴槿恵政権でよく出ていた「統一大当たり説」というのがあります。そこでいう大当たりが、韓国語でデバックと言いますが、それと似たような言葉だと言えるでしょう。最近はノダジよりデバックを使う人が(いわば若い人が)増えたわけですが、まだまだノダジという言葉を知らない人はいないでしょう。その語源が当時の雲山鉱山にある、との「説」があります。当時、雲山鉱山で働いていた人たちが、出てきた金に勝手に触れることが多かった、とのことでして。だから監督していた人たち、おもに欧米から来た人たちですが、彼らは「ノータッチ!」とよく叫んでいました。そこで、ノータッチがそのままノダジになりました。ノータッチという言葉が、本来の趣旨とは別の意味になったわけです。
以下、13章からもう少し引用して、そのまま明日は1日休みをいただきます。次の更新は、18日のいつもの時間、11時になります。ニューコリアは今「自分なりの」翻訳を進めております。詳しく報告できるのはまだ先のことになりそうですが、このような話、原書には書いてないけど自分なりに書き加えた短いエピソードなども少しは載せることができたらいいな・・とも思っております。原書が結構な分量なので、どこまでできるかは分かりませんが。それでは、以下、100年前の話を引用します。
<<・・(※1912年から1923年の、経済発展に関するデータを載せながら)これは、比類のない経済発展の記録である。私は、経済発展というものが、それによって恩恵を受けた、あるいは苦しんだであろう、ある社会の「進歩」を図るにおいて、一般的な尺度であるとは信じていない。しかし、西洋文明の今の基調を築いた人たちの多くが、社会のための後援者、ロータリアン(※奉仕団体ロータリークラブの会員)たちだったと信じているならば、朝鮮についてだけは、こう言える。表が示す期間、世界中のどの政府がどの国にもたらした「進歩」よりも、日本が朝鮮に多くの「進歩」をもたらした、と。農産物輸出が10年余りの間に1000パーセント以上、工業製品の輸出が3000パーセント以上、水産物の輸出が3000パーセント近く、林業の輸出が4000パーセント以上、鉱物の輸出が1000パーセント以上増加したこと。もし朝鮮が自治国のままこれを達成できていたなら、このデータについて西側諸国全体が「国家の進歩の驚くべき例」として大いに褒め称えていたことだろう(同13章より)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、久しぶりに新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。新刊は自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
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・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年12月22日)<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・準新刊(2024年5月2日)は、<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・既刊として、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中(2023年12月21日)です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。