トランプ氏の大統領就任も近いですが、ジョン・ボルトン氏のインタビュー記事があったので紹介します。基本的には、トランプ氏は朝鮮半島問題にはあまり興味がなく、もし米朝首脳会談をやることになっても、それは世論のためのもの(人気のためのもの)であり、そこまで積極的に解決に乗り出すことはないだろう、という内容です(チャンネルA記事その1、記事その2)。ちょうど去年12月20日にもNHKのインタビュー記事があったので、日本、中国関連ではそちらから引用します。チャンネルAの記事は、朝鮮半島問題以外はありません。去年までは国内経済問題での話が多かった石破政権のことで、今年になってから、外交でも懸念の声が強くなってきました。韓国の場合は、完全に政治空白状態なので、なおさらです。
で、朝鮮半島問題というか北朝鮮問題について、トランプ氏が「あまり積極的に乗り出さないだろう」となると、それは文在寅大統領による部分も大きいでしょう。当時、解決の形はまだ具体的に見えなかったものの、米朝首脳会談など、かなり話題になっていたのは事実です。トランプ氏がその路線をやめたのは、やはり文政権の「運転者論(トランプ氏と金正恩氏を乗せて文在寅氏が運転するということで、いわば仲介者論)が失敗したからでしょう。もし次の政権が李在明氏だったりしたら、もう自動運転(運転者なしに米朝が直接動く)で進むのかもしれません。以下、<<~>>が引用部分です。
<<・・トランプ外交政策の優先順位3つを尋ねたところ、ジョン・ボルトン氏は次の3つについて述べました。【ジョンボルトン/元ホワイトハウス国家安保補佐官「(トランプ外交政策では)ウクライナ問題が最も重要です。 二つ目は中東問題です。それから、国際的に大きな影響を及ぼす違法的な移民問題があります」】。核問題を含む朝鮮半島問題はありませんでした。トランプ2期政権を相手にした韓国の対米外交が難しくなる可能性を明らかにしたのです。【ジョンボルトン/元ホワイトハウス国家安保補佐官「(トランプ再集権で)韓国に何の問題もないことを願っています。しかし、トランプは同盟関係について無知なので、心配になります」】。米韓防衛費分担金問題については、トランプが既存の合意を覆し、韓国にもっと負担をかける可能性があると言いました。【ジョンボルトン/元ホワイトハウス国家安保補佐官「私たちは、すでに韓国政府の貢献増大について議論し、韓国はそうしました。トランプ政権と初期に接触して対話をしなければならないでしょう」】(チャンネルA)・・>>
ボルトン氏は、抑止力の強化手段として、米国の戦術核の朝鮮半島の配備を提案しました。前は実際に配備されていましたが、いまは撤収済みです。本ブログでも何度か書いたことがありますが、韓国内、そして一部の米国政治家の間では韓国の核武装が提起されていますが(総合的に見ると可能性はあまりないといったところですが)、ボルトン氏は周辺国への影響などもあるので、それには反対していると述べました。
<<・・ジョン・ボルトン前ホワイトハウス国家安保補佐官に北米会談の成事の可能性から聞いてみました。ボルトンは、北朝鮮の金正恩委員長が、もはや米朝首脳会談に大きな興味を持っていないだろうと分析し、会談の主導権もトランプより金正恩にあるとしました。核能力が向上したうえ、ロシアとの密着により、米国と会談する必要性が減少したということです。【ジョンボルトン/元ホワイトハウス国家安保補佐官「金正恩は非常に強い立場にある。北朝鮮の核能力に応じて、合意どころかトランプと出会うことにさえ、あまり関心がない可能性がある」】・・
・・北朝鮮は核を放棄しないとも強調しました。【[ジョンボルトン「北朝鮮は核を放棄するように『演じ』ました。北朝鮮核問題を外交的に解決する可能性は現実的ではありません」】・・・・ボルトンは、トランプも成果のない会談を望んではいないけど、メディアの関心を得るために平壌に行くことに決める可能性はあると分析した。しかし、その場合、北の核に正当性を付与する状況につながる可能性があると見ました(チャンネルA)・・>>
ここからは、去年12月20日のNHKの記事より、ジョン・ボルトン氏の日本、中国関連の部分です。まず日米関係について、次に中国です。 <<・・「岸田前総理大臣は、日本が5年間で防衛費をGDPの1%から2%に倍増させるとした。これこそが、トランプ氏に何度も何度も訴え続けなければならない点だ。バイデン大統領が日本と韓国と合意して3か国で演習を行うことにしたのはよいことであり、これを継続していきたいということや、安倍元総理大臣の構想であったアジアの安全保障にまつわるクアッドの枠組みが非常に重要だということも訴えるべきだ。日米の協力関係が緊密ならどんな利益があるのかを説明することが大切だ」と強調しました・・
・・一方、中国との関係について、ボルトン氏は「もしも習近平国家主席がトランプ氏に電話し、『ドナルド、私はあなたが選挙で選ばれうれしい。バイデン氏は多くの問題を引き起こした。お互いが協力して通商問題を解決しよう。あなたの1期目に試みたとおり、世紀の取り引きを成立させよう』と言えば、トランプ氏はそれに飛びつくだろう。私は彼が世紀の取り引きを成立させるかはわからないが、彼の態度はかなり早く変わると思う」と指摘しました(NHK)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、久しぶりに新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。新刊は自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
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・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年12月22日)<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・準新刊(2024年5月2日)は、<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・既刊として、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中(2023年12月21日)です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。