前にも「最近、世論調査で尹大統領・与党の支持率が回復しつつある」という内容をお伝えしましたが、ついに「政権維持(政権延長、大統領選挙で与党候補に投票する)」が「政権交代(野党候補に投票)」を上回る調査結果が出ました。世論の変化が明らかになったとも、保守集結による、ある種の錯視現象だとも言われています。リアルメーターという機関の調査で、結構有名なところです。ちなみに、毎週行われてきた大統領の支持率調査は、いまは大統領が職務停止中なので、行われていません。ニュース1などの記事によると、初めてこの調査を行った12月4週では、政権交代が政権維持を2倍上回っていた、とのことでして。でも、これで与党側のスーパーミラクルウルティメイトゴッドサプライズユンユン逆転劇になるのか、と言いますと・・まだなんとも言えません。
まず、世論調査そのものが、あまり当たらなくなっています。最近の例だと、前回の総選挙があります。結果は野党の大勝でしたが、事前の調査セは、政党支持率でそこまで大きな差があったわけではありません。今回は野党への牽制のために与党を支持するとしているけど、実際に選挙になれば、調査のときより、野党側に票を入れる人たちが多くなるのではないか、そんな指摘もあります。また、いつもは世論調査の電話にちゃんと応じなかった人たちが、特に保守側を中心に「今回だけはちゃんと答えなければ」と、調査に応じたのが原因だという話もあります。
実際、もっとも野党支持が強いとされる湖南(全羅道地域)でも「政権維持」が34.9%もあり(政権交代58.3%)、あの地域にしてはちょっと「維持(延長)」が多すぎないか、な気がします。実際の選挙では、この地域では8~9割の票が野党側に向かいます。しかし、だとしても、公開されているデータとして、与党・政権維持の主張が強くなりつつあるのは事実です。気になるのは憲法裁判所の判断です。世論に合わせる形で結果が出るだろうというのは、明らかです。
これが本当に「世論」としてちゃんと調べられた数値なら、どんな判断を出すのか。ここまでやっておいて、大統領が職務復帰になったら、そのときはどうなるのか。もし弾劾になって、早期大統領選挙になった場合、この「回復の流れ」を活かすことのできる候補が、与党側に存在するのか。気になるところです。そして、個人的にもっともインパクトがあるのは、支持率が上がったか下がったかではなく、「ここまで簡単に世論が変わるのか」という点です。考えてからやるのではなく、やってから考えていないか、と。これこそ民主主義だとする声もありましたが、じゃ、今回の調査結果はなんなのか、などなど。いつものことだと言ってしまえばそれだけですが。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・与党「国民の力」の政権延長論が48.6%になり、野党側による政権交代論(46.2%)を誤差範囲内で上回ったという世論調査の結果が出た。20日、リアルメーターがエネルギー経済新聞の依頼で16~17日、全国18歳以上の有権者1004人を対象に実施した1月3週目の政党支持率関連世論調査によると、与党国民の力の政権延長意見は7.4%P上昇した48.6%だった。野党側による政権交代は6.7%P下落した46.2%と調査された。両意見の差は2.4%Pで、誤差範囲内の数値を示した。よく分からないという意見は5.2%だった。
リアルメーターは1カ月前から定期的に関連調査を実施しているが、次期大統領選挙、与党になってほしい政党選好度において、12月4週目の初回調査で政権交代論が政権延長論より約2倍ほど優勢な結果を示していた。だが、両意見の差は毎週少なくなり、約1ヶ月ぶりに、政権延長論と政権交代論がほぼ同じ数値に並ぶ展開を見せてきたとリアルメーターは説明した。地域別に見てみると、大邱・慶尚北道(政権延長60.5%、政権交替34.2%)と釜山・慶尚南道(政権延長53.4%、政権交代43.8%)で、与党の政権延長論が強かった(※これらの伝統的に地域は保守支持が強いとされています)。
全羅道地域(34.9%対58.3%)と忠清道地域(42.3%対52.8%)では、政権交代論が政権延長論に比べて優勢だった。ソウル(47.3%対46.0%)はほぼ同等で、仁川・京畿地域はは政権延長論(50.8%)が政権交代(44.7%)より高かった。支持政党別には、「国民の力」支持層は92.6%が政権延長論意見を出した。共に民主党支持層では92.6%は政権交代論を望んだ。支持政党無しの層では政権延長(37.7%)より政権交替(44.2%)意見が多かった。
政党指導調査では、国民の力は前週比5.7%P高まった46.5%を記録した。共に民主党は3.2%P低くなった39.0%と調査された。両党間の差は7.5%Pで、昨年7月3週目以降6カ月ぶりに国民の力が共に民主党に誤差範囲外で高かった。国民の力支持率は昨年2月5週目(46.7%)後、初めて45%を上回った。共に民主党は昨年8月の2週目(36.8%)以後約5カ月ぶりに40%台を下回った(ニュース1)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、久しぶりに新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。新刊は自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
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