韓国外交部が、G7+、すなわちG8やG10などの加入を「長期課題」にした、というニュースがありました。それは長期課題でいいだろうといったところですが、KBS(16日)はこれを「戒厳事態によるもの」というニュアンスで報じています。現外交部長官(外務大臣)の任期中の加入を目指していた、でも戒厳事態によって難しくなった、という論調です。記事は、「事実上、現時点では不可能だと判断したものだ」としています。そういえば、前任の人、パクジン長官の頃、各国大使を集めてG8加入のために!とカンパイしたというニュースもありました。あの頃から、「私の任期中には加入」というのを目標にしていたのでしょうか。
でも、そもそも、いま公式に、または具体的にG7枠の拡大は動いていません。そもそもいまのG7にそんな話を進める余裕があるのかも疑問です。記事に載っている外交部関係者の話にも、「主要国が共感してくれる必要がある(いまはそれができていない)」という内容がありますが、これは別に今回の事態『だけ』に関するものでもないでしょう。ここは読み方にもよる、とは思われますが。半導体や観光関連の記事もそうでしたが、この記事もまた、内容そのものより、他の側面が気になります。たとえば、「なんでもかんでも」戒厳事態によるものだとしていること(そうすることで、国そのものの問題ではないと強調すること)。そして、「いま、そこ?」といったところ、などです。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・「近い将来、我が国のG7プラス加入の可能性を念頭に置いて、グローバル中枢国家というビジョンの実現に、具体的な成果を蓄積していくことで、(※外交部長官の)在任期間中にG7プラス候補国の地位をしっかりとしたいと思います」。昨年1月、ジョテヨル外交部長官は就任演説でG7プラス加入を話しました。主な7カ国(G7)はアメリカ、イギリス、フランス、カナダ、ドイツ、イタリア、日本です。しかし、先進国を代表してきたこれらの国家にもはや代表性がないという指摘は着実に提起されてきました。特に昨年からワシントン政街(※政治関係者たち)を中心に、経済成長と国格成長を遂げた韓国をG7グループに含めて外縁を拡大しなければならないという声が本格的に出てきました。このような流れに合わせてジョテヨル長官は「G7プラス加入」を任期中に必ず成し遂げたい最優先政策に挙げました。
しかし12月3日、戒厳事態でこのような計画は事実上、機を逃してしまいました。国内政治がここまで混乱していることが、全世界に中継される状況で、先進国グループに加入することは不可能だからです。外交部は本日(16日)政府ソウル庁舎でチェサンモク大統領権限代行副首相兼企画財政部長官主管で開かれた「主要懸案解法会議」で外交部主要推進計画を報告しました。ジョテヨル長官の成し遂げたかった政策最優先だったG7プラス加入と関連しては、「私たち対外政策の一貫性維持のためにG7との協力強化持続推進する」とだけ書きました。
外交部当局者は「国内政治状況もあるため、この部分(G7プラス加入)は長期的な課題という認識の下、主要国の共感を得る努力が重要だ」と説明しました。この当局者は、「変わったのは国内政局、政治状況であり、G7プラスの必要性が変わったわけではないから、そんな部分はもっと長期的な観点から持続的な努力が必要な課題ではないかと思う」と付け加えました。わずか2ヶ月前までは、現実味のある課題だったのですが、政治的不確実性の影響に、「先進国グループ」への編入は現時点では不可能になったという政府次元の判断が出たと言えます・・
・・米朝交渉だけでなく、トランプ2期の「インド太平洋政策」と同盟の役割調整にも私たちは声が出せないと懸念されています。トランプ2期政権は在韓米軍はもちろん、日米韓三角協力も中国牽制に活用しようとしており、「クアッド(米国、日本、インド、オーストラリア)」を強化しようとしているわけですが、このような過程で私たちはなにも言えないでいます。すぐに岩屋毅日本外務大臣はトランプ大統領就任式に招待され、米国に行きますが、ジョテヨル外交部長官は招待されませんでした。岩屋外務大臣が就任式でマルコ・ルビオ新任国務長官に会い、日米韓協力の重要性を強調すると言っている、そんな状況です(KBS)・・>>
盧武鉉大統領の任期中、あくまでネットミームとして、なんでもかんでも大統領が原因だとする話が流行ったことがあります。ゲームがクリアーできなかったこと、夜なのにお腹が空いたとき、すべて盧武鉉大統領が原因だというのです。たとえば、普通にゲームがクリアーできなかったという話をしたあと、「そのとき、大統領はいったいどこでなにをしていたのか。大統領が原因だ」という結論になります。それのリアルバージョン・・そんなイメージです。そもそも、「具体的に話が進んでいたのに、今回のことで急にキャンセルになった」とか、そんなシチュエーションならまだ分かりますが、そういうわけでもないでしょうに。
ここからはいつもの告知ですが、久しぶりに新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。新刊は自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
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・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年12月22日)<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・準新刊(2024年5月2日)は、<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・既刊として、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中(2023年12月21日)です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。