全就業者約2800万人の韓国、個人事業者922万人の所得が年130万円未満(2023年)

これもまた、似たような話がずいぶん前から続いていますが・・大企業初任給料とか1人GDPとかではずいぶんと良い数字を出している韓国ですが、「月100万ウォン(年1200万ウォン)も稼げない人たち」シリーズが続いています。読者の方々には「同じデータをどっかで見た」という方もおられましょうけど、あれは2022年データです。去年9月発表され、本ブログでも、拙著でも引用したことがあります。野党国会議員の中に、この件を分析している人がいて、去年9月に2022年データを、そして昨日(26日)、2023年データを発表しました。

結論から書きますと、「個人事業者922万人」が、年1200万ウォン(約130万円)を稼ぐことができませんでした。本データに入る前に、ちょっとだけ「データの範囲」について書かせてください。ソース記事もそうですが多くのメディアが「自営業者」としていますが、詳しくは「個人事業者」です。韓国は全就業者の約20%が自営業者で、個人事業者と自営業者を同じデータとして報じるメディアが多いですが、詳しくは異なります。「個人事業者」は法人でない事業者すべてを意味するので、一般的には自営業者にはカウントしない「店を持っていない」人たち、たとえば代理運転や配達バイク営業などもすべて含まれています。

 

しかし、去年9月もそうでしたが、まずデータそのもののインパクトがかなりのものです。なにせ、「年130万円にならない」が922万人なら、全個人事業者の75%を超えているわけですから。また、明らかに前の年と比べてもおもわしくない方向に進んでいるし、ネットの一部では、自営業者とされる人たちが「個人的にこれは現実味のあるデータだと思う」という旨を書いたりしています。実際、2022年に比べると、「年130万円未満」が、7.1%増えた、とのことでして。2022年データでもそうでしたが、今回も、韓国日報SBSなど大手メディアが「自営業者」の現状として、大きく取り上げています。記事本文で個人事業者としていますが、これもまた見方によっては、そう報じても間違っていないほど自営業者と重複するデータだという意味にもなるでしょう。以下、<<~>>で引用してみます。引用でも原文ママ自営業者にしました。

 

<<・・月の所得が100万ウォンにも及ばない個人事業者が、2023年、初めて900万人を超えたことが分かった。高金利・高物価・高油価で「3高」現象が本格化した頃だ。昨年の自営業者所得も、消費不振で内需回復の兆しが見えない状況であり、戒厳、弾劾政局まで重なって、あまり期待ができそうにない状況だ。国会企画財政委員会所属ジョンイリョン共に民主党議員が26日国税庁から提出された個人事業者総合所得税(※韓国の個人所得税で、人件費など経費はすべて引いた分)の申告現況資料を見ると、2023年基準、月収入100万ウォン未満の個人事業者は922万185人で、前年に比べ7.1%増えた。該当年の最低賃金月換算額である201万ウォンにも及ばない水準だ。全体の個人事業者の中では75.7%の割合で、自営業者10人のうち8人が最低賃金も稼げなかったという話になる。

新型コロナ前の2019年には610万8,751人だった月収入100万ウォン未満の自営業者は、それから持続的に増えて、4年ぶりに50.1%(※約311万人)が増えた・・・・今年5月申告予定の2024年所得分も、見通しは明るくない・・・・しかも、今月16日、韓国銀行基準金利凍結で自営業者・小商工人の困難は加重されている。通貨政策で解決するには限界があり、財政を拡大しなければならないという声が高まる実情だ。韓国銀行総裁が「15兆~20兆ウォン規模の追加経済予算編成が望ましい」とし「全国民対象の支援より、自営業者を対象にしなければならない」と強調したのも、このためだ(韓国日報)・・>>

 

データを詳しく見てみると、年間0ウォン所得を申告した個人事業者が105万5,024人、0ウォン超過~1,200万ウォン未満所得を申告した個人事業者が816万5,161人です。さすがに0ウォン申告は、副業かなにかだと思われます。または、事実上の休業状態だと思われます。自営業者として組んだローンは、自営業をやめると満期延長などができなくなるので(条件によりますが)、どうせ赤字になる営業はせず、自営業者としての立場を維持したまま他の仕事で生活する「ゴースト自営業者」も増えています。それとも関係するデータだと言えるでしょう。

一般的に新型コロナが本格化するまえの2019年データと比べることがおおいですが、当時は「1,200万ウォン未満(月100万ウォン未満)個人事業者」は610万8,751人でした。先の引用部分で、4年ぶりに311万1,434人増加したことになります(引用部分で「50.1%増えた」としているデータ)。SBSニュースは引用はしませんが、最後が「しかし、ファイティング!(ファイト!)」で終わります。原文ママです。もちろん個人としてのファイトが足りなかったというのもあるとは思いますが、ファイティングでなんとかなるデータには見えません。

 

ここからはいつもの告知ですが、久しぶりに新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。新刊は自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

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様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年12月22日)<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・新刊(2024年5月2日)は、<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・刊として、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中(2023年12月21日)です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。