トランプ政権になってから、世界的に「関税」が話題(?)です。日本を含めて世界各国がその影響を受けずにはいられないでしょう。日本ではやはり自動車関連の話が多いですが、韓国でもっとも注目されているのは半導体です。まだこれといった動きはありませんが、中央日報(2日)の報道によると、トランプ大統領は半導体関連でもなにかの発表を控えており、「それは、2月18日になるだろう」と、ノストランプムスみたいなことを言った、とのことでして。引用部分にもありますが、まず、韓国の米国への半導体輸出はそんなに多くありません。韓国も米国への輸出が多い国なので「半導体も、対米輸出は結構多いのでは」と思われがちですが、(年度にもよりますが)対米輸出は対中輸出の4分の1~5分の1だけです。
サムスン電子がエヌビディアに供給するHBM(広帯域メモリー)も基本的には中国への輸出を前提にしたモデルに使われているし、SKハイニックスがエヌビディアに供給するHBMも、台湾のTSMCに送ってから完成する仕組みです。ちょうど2月2日にもエントリーしましたが、一部のシンクタンクから「米国が中国への経由地として指摘しているのは、韓国、台湾、タイ、ベトナム」という話も出ています。もし今回、本当に18日になにかの措置が発表され、そこに中国、台湾、または韓国関連の何かがあるなら、結局はHBMもレガシー半導体も大きな影響を受けることになります。中国「だけ」だとしても大きな影響があるでしょうけれども。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・ドナルド・トランプ米大統領が・・・・1日(現地時刻)メキシコとカナダから輸入される製品に25%、中国産製品に10%の関税を課す内容の行政命令に署名した(※メキシコ関税猶予措置が発表される前、2月2日の記事です)。近いうちに半導体に対する関税まで予告しており、韓国産業界の緊張感が高まっている。外国メディアの報道などによると、トランプ大統領は前日、自身の執務室で開かれた記者会見で、半導体などに対する関税方針を明らかにした。半導体対策を議論するために、ジェンソン・ファン、エヌビディア最高経営者(CEO)との面談内容を説明しながら、そのように述べた。トランプ大統領は「私たちの出会いでどんな話があったのかは言えないが、良いミーティングだった」とし「私たちは、結局は(eventually)半導体に関税をかけることになるだろう。石油とガスにも関税をかけるだろう」と明らかにした。続いて「これらのことはすぐに起こるだろうし、おそらく、2月18日頃になるだろうと思う」と付け加えた。
半導体は、1997年、世界貿易機関(WTO)の情報技術協定(ITA)により、加盟国間には無関税を適用されている。WTO加盟国の間では、どの国に輸出しても関税はない品目となるわけだが、トランプ大統領は協定とは異なる、米国に入ってくる半導体には関税をかけると宣言したのだ。現在形成されている価格設定に、考慮されていない関税が適用されれば、それほどチップ価格の上昇は避けられない。ある半導体業界関係者は「関税が生じたからって、急に半導体価格を、相応の分、下げることはできない。そのため、結果的に供給価格が上昇し、これは短期的に需要萎縮を引き起こす可能性がある」と話した。
主要チップ供給国である台湾でも「半導体関税」に対する懸念が高まっている。台湾経済紙の科技新報によると、中華経済研究所リアン・シェンミン院長は「2月中旬、半導体産業に関税がかけられるだろう」と述べた。ハイエンド工程への影響は比較的少ないが、価格決定力が低いレガシー半導体にさらに大きな影響を与えるだろう」とし「関税を通じて半導体サプライチェーンの再編を招くことになれば、台湾にとって重要な問題になるだろう」とし懸念を表明した。
貿易協会の統計によると、昨年韓国が米国に直接輸出した半導体は106億ドル相当だ。順位は中国・香港・台湾・ベトナムの後、5位であり(※2024年基準で韓国の半導体輸出は、中国465億ドル、香港260億ドル、台湾261億ドル、ベトナム180億ドル、米国106億ドルの順です)、昨年全体の半導体輸出額からすると7.5%の割合になる。全体の半導体輸出を左右するほど大きな割合だとは思えない。ただし、米国に直接行かず、再加工などの理由で他国を迂回する場合があるため、米国がどのカテゴリまで税金をかけるかによって、影響の波及も変動する可能性がある。例えばSKハイニックスの広帯域メモリ(HBM)はNVIDIAに販売するものだが、組み立てのためにTSMCがある台湾に先に輸出する。サムスン電子とSKハイニックスは「まだ確定したことがないため、状況を見守っている」という立場だ(中央日報)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、久しぶりに新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。新刊は自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
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